東南アジアではわずか2〜3カ月の産休だけで復職するのが一般的です。「こちらのワーママがみんなやっているんだから、私にだってできないことはない」という意気込みのもと、2カ月の産休だけで復職してみました。復職2週目には海外出張にも挑戦しました。今回は、復職するための保活と、復職後の仕事の様子についてご紹介します。
■生後2カ月の息子は保育園へ
当初は住み込みのメイドを雇い、子どもの面倒を見てもらうつもりでいましたが、メイド派遣会社から「手続きが遅れている」と連絡がありました。
役所関係の手続きが想定どおり進まないのは東南アジアあるあるなので、これくらいは想定の範囲内です。出産前に目をつけておいた保育園に再度連絡し、メイドが到着するまで昼間はそこに預けることにしました。
3月中旬に入園の意向を伝え、4月2日に入園。出産前後を通して、保育園を決めるのにさほど時間と手続きを要さなかったのはとても助かりました。
朝は夫が朝8時半までに息子を送り届けそのまま出社、夜は私が6時半までに息子をピックアップします。お互いの仕事の性質から、このような分担になりました。
ちなみに我が家、育児や家事の分担は、ほぼ同じくらいの割合です。「お父さんだからこうすべき」「お母さんだからこうすべき」というような議論になったことはなく、「親だから、お互い助け合いながら」やっています。
■生後2カ月の息子を預けることへの葛藤
出産前はなんの疑問も持たずに「メイド採用の手続きが間に合わなかったら保育園」と考えていましたが、いざ産んでみたら「まだ首も座らない赤ちゃんを保育園に預けるなんて……。復職するためにそこまでする必要があるのか?」と罪悪感を感じるようになりました。
これが母性なのでしょうか。それともただ単に、日本の古い価値観にとらわれているだけなのでしょうか。
とはいえ、それなりにプライドを持って続けてきた仕事なので、志半ばで辞めるという選択肢はありません。結果的に少しモヤモヤした感情を持ちながら復職しました。
入園初日の昼過ぎに、保育園から連絡用アプリを介して息子の写真が届きました。先生と一緒に絵本を読んでいてとても楽しそう。と言っても0歳児なのでただ眺めているだけなんでしょうが、多国籍な環境で同じ年齢の子たちと一緒に過ごすことは私や夫では与えられない刺激をもらえそうで、預けてよかったと心の底から思え、モヤモヤした感情や罪悪感はあっという間に消え去りました。
また、0歳児クラスのママさんはほとんどが働いていて、睡眠不足かつ疲れた顔でお迎えに行く私を「最初は大変よね、お互いがんばりましょう」と元気づけてくれ、気の持ちようとしてもありがたかったです。
■仕事のパフォーマンスは?
たった2カ月しか休んでいないので、さほどブランクなく戻れると思っていましたが、出産という大イベントを経てそれ以外の物事を忘れたのか、それとも会社がスタートアップで物事の進み方が早いからか、最新状況のキャッチアップと、仕事のペースを戻すのに少し時間がかかっています。
また、妊娠前なら「あと1〜2時間やって帰ろうかな」と思っていた夜6時は、今の私には「お迎えのために仕事を切り上げる時間」になったので、残業はできません。
産後に復職してバリバリ働いている友人たちは口を揃えて「残業できない分、勤務時間内のパフォーマンスが上がった」「成果を出そうと意識して働くようになった」とアドバイスしてくれるのですが、まだそのような高尚なことを言える次元ではないというか……。
育児もまだ不慣れなので、どちらも中途半端にならないよう、気をつけたいと思っています。
■産後の体力は?
産後1カ月は産褥アマさんを雇って体を十分に休めることができたのと、仕事はデスクワークなので、8時間フルタイムで働くこと自体はさほど問題ありません。むしろ、産休中と比べて息子をだっこする時間が減ったことにより、肩や腕、腰への負担が減って助かりました。
一方で、まだ幼い息子は夜も3〜4時間おきに泣くので、その都度おむつ交換や授乳などをする必要があり長時間眠ることができません。夜の面倒は夫と1日ずつ交代してはいるものの、昼間に眠くなることもしょっちゅうです。
ランチタイムにさっさとご飯を食べて残り時間を昼寝にあてるなどして、なんとか日々を過ごしています。常に「眠い」です。いつになったらそう思わなくて済む日が来るのでしょうか。
■復職2週目で海外出張をして得た収穫
大事な会議があり、復職2週目にマレーシアからフィリピンに出張してきました。その間息子は、昼間は保育園で面倒を見てもらい、保育園の送り迎えと朝晩は夫に頼むことにしました。夫は快く送り出してくれました。
行くと決めたのは自分ですが、生後2カ月の息子を保育園に預けると決めたときと同様、生後2カ月の息子を置いて海外出張することに対する罪悪感、そして夫に負担を強いることへの申し訳なさ、息子に数日会えない寂しさというような、出産前には想像も及ばなかった感情に揺さぶられて出張への迷いが生じました。が、「世の中のお父さんは出張してるんだから、お母さんが出張してもおかしくない」と自分に都合のいいように解釈して行ってきました。
実際に海外出張してみて、大事な会議に参加できてよかったのはもちろんですが、「生後2カ月の息子を置いて海外出張なんて常識的にありえない」と及び腰になるのではなく、挑戦してみて実際になんとかなった、という経験を得ることができたのは大きな収穫でした。
また、3月に夫が出張して私がワンオペ育児をしたことがあります。そのときに夫が抱いたであろう感謝の気持ちを自分も持つことができて、夫との相互理解が深まったように思います。
ところで、私が海外出張したことで、
「海外出張を許してくれるなんて、すごいね旦那さん」
「その間、子どもは旦那さんが見てるんでしょ? 信じられない」
と、周りの日本人からの、夫に対する評価はうなぎのぼりです。
夫が出張に行ったら、彼らは私のことを褒めてくれるのかな……と複雑な感情を抱いたりもしますが、そういうのは気にしないことにします。
なお、授乳しないと胸が張って痛くなるので、搾乳器を持参しました。出張の荷物の中に搾乳器を忍ばせる未来がやってくるとは、若い頃はこれっぽっちも思いませんでした。
■古い価値観に惑わされず、自分たちのやり方を
日本にいた頃は人の目を気にするタイプでしたが、海外で暮らすようになって、そういうのが気にならなくなりました。特に子育てにおいて、生後2カ月の息子を保育園に預けることに対する罪悪感など、たまに日本の古い価値観にとらわれもしました。
でも、それが気にならなくなれば、幼い子どもがいる共働き夫婦には日本よりも東南アジアの方が仕事と子育てを両立しやすいかもしれません。
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