ドクターの世界を外から見ると、「高収入、社会的地位が確立している」といった羨望のまなざしで見てしまうが、まったく逆の状況だ。そこそこ収入はあるが、税金、社会保険がひかれるので、手取りは意外に小さい。特に勤務医はまったく自由な時間が取れない。そして、社会的地位はあるが、医療事故などの取るべきリスクは高いといった感覚のようだ。
厚生労働省が発表している「平成26年医療施設調査、病院報告の概要」によると、全国の1日平均在院患者数は126万1181人と2013年と比較して1.1%減少している。日本の総人口が減少しているので、それに伴い病院の患者数も減っている状況が今後も継続すると思われる。
医療の世界もこの様な厳しい現状だが、開業医は、自分の息子・娘に後を託したいと思うのが普通だ。そうすると、子弟の医学部への入学を念頭に置きながら、予備校代、大学入学後の入学金、寄付金、授業料などを準備しなければならない。
このようにドクターは、将来の生活に不安を持ちながら日々の治療にあたっているのだが、この状況を補うために様々な資産運用をしている。中でも不動産投資を選択する方が一定数いる。
ドクターが不動産投資を行う利点
一般的に資産運用というと、まず思い浮かぶのが株式など金融資産運用であろう。これと不動産投資を比較してみると、多忙な方にこそ、しっくりあうのが不動産投資というわけだ。
もちろん株式投資にもメリットが数多くある。その一つが短期間で換金できるという流動性の高さである。日々売買されている株式は、時々刻々と価格が変動し、値動きにあわせて利益を確定することが可能だ。
しかし、株式市場は誰にでもオープンになっている以上、そこでのプレーヤーは、プロ向け、アマチュア向けといった階級制ではなく、皆同じ条件で戦う必要がある。また金融資産への投資は、世界経済の行方など時々刻々と変化するトレンドをつかみきっていないと成功する確率は低くなる。日々激務に追われ、それらを追いかける時間のないドクターにとっては、致命的なハンディになるのだ。
一方、ドクターが不動産投資を行う利点は、ある意味ほったらかしで投資を行うことができるところではないだろうか。診療時間はもちろん、当直、回診、カンファレンスなど多くの時間が取られ、さらに場合によっては、夜間、休日も対応が必要になってくる状況では、デイトレーダーのように時々刻々と動くマーケットをフォローすることは不可能だからだ。
株式投資と異なり、不動産は流動性のなさが大きな特徴だ。この点を逆手に取り、多忙なドクターだからこそ不動産を資産運用の柱にすることが、資産形成の早道なのだ。