ここ最近ドラマや映画でお笑い芸人が俳優として活躍する姿が目立ってきています。

 今期は『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ/関西テレビ系)に東京03の角田晃弘さん、『着飾る恋には理由があって』(TBS系)にはずんの飯尾和樹さんなどがレギュラーとして名を連ねています。

“フツーっぽい芸人”が今ドラマで光る理由。『まめ夫』角田『着飾る恋』飯尾etc.
(画像=『女子SPA!』より引用)

さらに『ドラゴン桜』(TBS系)では三四郎の相田周二さんが、『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京系)ではかもめんたるの岩崎う大さんが、ゲスト出演ではありますが強い印象を残しました。

 なぜここまで芸人が数多く起用されてきているのでしょうか。さらに、芸人がドラマに起用される事例は昔からありましたが、ここ最近はその傾向が変化している様子です。

かつてのドラマ起用は“主役級”か“イケメン”芸人だった

 芸人さんの俳優活動と言えばかつては『男女7人シリーズ』(TBS系)、『空から降る一億の星』(フジテレビ系)の明石家さんまさんや、『人生は上々だ』(TBS系)や『竜馬におまかせ!』(日本テレビ系)の浜田雅功さんなど、華のある売れっ子が主役級で起用される傾向にありました。

 他を見回しても、ビートたけしさん、片岡鶴太郎さん、内村光良さんなど、冠番組を持つそうそうたる面々がドラマや映画に出演していました。

『女子SPA!』より引用
(画像=『女子SPA!』より引用)

そののち、綾部祐二さん(ピース)、西野亮廣さん(キングコング)、徳井義実さん(チュートリアル)など、イケメンの芸人さんが主人公の友人や恋の当て馬役などを演じる時期に突入。いずれも高評価を得ています。

 しかし、今、ドラマや映画で見る芸人さんはそのどちらでもありません。むしろ、冠番組を持つ立ち位置でもなくイケメンでもない、街を歩いていても気づかれないようなフツメンが多いような気がします。

 しかし、そんな「周りのどこかにいそう」な空気感が実はキーポイントなのです。

キーワードは“そこら辺にいそう”感!CM出演も多数

『フリーター、家を買う』(フジテレビ/関西テレビ系)で、地味ながらも印象な演技で注目を集めた児嶋一哉さん(アンジャッシュ)が活躍しだしてから、ドラマ・映画で「周りのどこかにいそう」な空気感の芸人俳優の起用が目立つようになりました。

 いまではドラマ・映画以外に、CMでも有名女優の“夫役”として飯尾さんや角田さんらの顔を見ることもしばしばあります。飯尾さんは、田中みな実さんや杉咲花さん、奥貫薫さんと、角田さんも桜井ユキさんや戸田恵梨香さんといういずれもそうそうたる美人女優とパートナーの役をこなしていることは皆さんもご存じのことでしょう。見るたびに相手が違うので、戸惑ってしまうほどです。

メインに美人女優を置く分、その華やかさを邪魔しないこと、そして視聴者からの等身大の親しみやすさを得るためにも、彼らの普通さはどうしても必要です。

 それに加え、華はないけど知名度や存在感をもち、コントなどで鍛えられた演技力もあります。本職俳優でこれらすべて揃っている人はそうそういません。それゆえ起用につながるのでしょう。それは、映画やドラマであっても同じ理由です。