2019年12月時点で確定拠出年金の受給開始年齢が75歳まで拡大することが検討されています。75歳まで年金受給開始を繰り下げることで受給金額がアップすることは大きなメリットです。しかし「75歳になるまでの生活費をどうするか」について悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、年金受給開始を75歳まで繰り下げるためにはどうすれば良いかについて解説します。

確定拠出年金の受給年齢が60~70歳から60~75歳へ

2019年12月25日の厚生労働省第10回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会で確定拠出年金の受給開始年齢を60~75歳の間で選べるようにすることなどが話し合われました。対象の私的年金はiDeCo(イデコ)、企業型ともに60~70歳ですが、これを5年間延長します。また、確定拠出年金の加入可能年齢も厚生年金被保険者なら従来60歳未満まで可能だったものが70歳未満まで可能に。

iDeCo(イデコ)も国民年金被保険者であれば可能(最大65歳未満まで)となります。本改革の目的は、税制優遇を受けたまま、より長く運用可能にして老後資産の形成をサポートすることです。

年金受給繰り下げのメリットは受給額のアップ

年金の受給年齢を繰り下げるメリットは、受給額のアップに尽きます。65歳で15万5,000円の受給を基準とした場合、75歳まで繰り下げると受け取れる額は、月額28万5,200円と84%のアップです。逆に受給年齢を60歳に繰り上げると月額24%減少して11万7,800円となります。「家計調査報告家計収支編2018年(平成30年)平均結果の概要」によると高齢者無職世帯(夫婦・単身)それぞれの家計は以下の通りです。

・高齢夫婦無職世帯
実収入22万2,834円・可処分所得19万3,743円・消費支出23万5,615円

・高齢単身無職世帯
実収入12万3,325円・可処分所得11万933円・消費支出14万9,603円

可処分所得よりも消費支出が上回っているため、マイナス分を補う貯蓄は必要になります。75歳まで受給年齢を繰り下げるなら75歳以降の生活費は賄える可能性が高いです。ただし60~75歳までの15年間暮らせるだけの蓄え、あるいは仕事を確保しなければなりません。人生100年時代といわれる中で受給年齢の繰り下げの判断は、非常に悩ましいところです。