市場規模拡大からパイの奪い合いへ

全国津々浦々に店舗が出店し、シャッター通りとなったかつての商店街に代わる買い物の場として、コンビニが果たす役割は大きい。実際に、日本フランチャイズチェーン協会の調査では、2018年2月の店舗数は5万5395店舗と、前年同月比で1.5%増加した。

積極的な出店攻勢によって、調達コストの削減など収益向上への改善が期待できる一方で、隣接するコンビニ既存店にとっては、新しい店舗のオープンで顧客の奪い合いが発生。その結果として、既存店の来店客数の減少に歯止めがかからない状況だ。

これまでコンビニは、スイーツや本格的なコーヒー、から揚げなどの惣菜でヒット商品を飛ばし、来店客数を伸ばしてきた。いまなお弁当や総菜などの日配食品は、売り上げの増加傾向を維持している。

一方で落ち込みが目立つのが書籍や医薬品、化粧品などの非食品の売り上げだ。このカテゴリーの商品は、ドラッグストアがコンビニより安い価格で商品を販売したり、ネットショッピングが幅広い商品ラインナップを展開したりすることで、コンビニから顧客を引き寄せている。さらに、コンビニが強さを発揮してきた食品でも、スーパーマーケットがレストランと融合したグローサラント型店舗を相次いでオープン。かつてコンビニに顧客を奪われたスーパーが逆襲を仕掛けている。

これまで拡大路線を歩んできたコンビニ業界だが、異業種との激しい争いや、コンビニ店舗の飽和状態など、その成長モデルに転換期が訪れているともいえるだろう。現行のビジネスモデルのままで店舗拡大に突き進めば、既存店舗の経営は苦しくなるばかりだ。多くの店舗がフランチャイズのオーナーが営業する状況を鑑みると、既存店の来店客数が落ち込み、売り上げが伸び悩めば、新規のフランチャイズオーナーの確保にも足かせとなり、店舗拡大路線の修正を迫られる可能性もある。

既存店の運営と新規出店のペースとのバランスを見直して、パイの奪い合いを回避する戦略を描くのか。あるいは、異業種との激しい競争に打ち勝つようなビジネスモデルを確立し、これまでのようにヒット商品を世に送り出すことでコンビニの付加価値を高めたような市場規模の拡大路線を目指すのか。

既存店の来店客数の落ち込みに頭を悩ませる苦境は、コンビニ業界の将来を左右する重要な局面に差し掛かっているサインだろう。

文・ZUU online 編集部/ZUU online