2021年の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公、渋沢栄一の故郷として有名な埼玉県深谷市。「深谷といえばネギだけでは・・・?」いいえ、それだけではありません!歴史とグルメを楽しめる埼玉・深谷で行きたいおすすめスポットとお店を厳選してご紹介します。
深谷ってどんな町?
深谷(ふかや)は埼玉県の北部に位置する町。特産品「深谷ネギ」の産地として知られています。ネギの産地だけでなく、今のみずほ銀行やJR東日本など、数多くの会社を経営した実業家で、「日本の資本主義の父」として有名な渋沢栄一(しぶさわえいいいち)の出身地として有名。市内を中心に多くの史跡が残されています。
また渋沢栄一がこの地に日本で初めてレンガ工場を設置したことにちなんで、「レンガの町」としても有名。深谷のレンガは東京駅の赤レンガ駅舎をはじめとした多くの建築物に使われています。実際に深谷駅の駅舎は東京駅を模して造られており、「関東の駅百選」のひとつに選ばれています。
深谷までは東京駅からJR高崎線で行くことが可能。高崎方面の電車に乗って約1時間20分で到着します。また大宮駅からも約1時間でアクセスできるほか、もっと早く移動したい方には、上越新幹線を利用するのもおすすめ。東京駅から新幹線に乗って熊谷(くまがや)駅で下車した後、JR高崎線に乗り換え。約1時間6分で移動できます。
深谷の町を観光する際、渋沢栄一ゆかりのスポットが駅から遠いため、車を使って散策するのがおすすめ。ただ運転免許を持っていない方でも、栄一を主人公にした2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け(つけ)』の放送期間中に運行する路線バス、渋沢栄一「論語の里」循環バスに乗れば、渋沢栄一ゆかりのスポットへアクセスできます。
JR深谷駅から歩いて5分、足利銀行の近くにある「仲町バス発着所」から乗車可能。渋沢栄一記念館や栄一の生家があった「中の家」、道の駅「おかべ」を経由して、深谷駅に戻るルートで平日は1日7便、土日祝日は1日13便運行します。ぜひ利用してみて。
【渋沢栄一「論語の里」循環バスの情報】
<アクセス>
JR高崎線「深谷駅」から「仲町バス発着所」まで徒歩5分
<電話番号>
048-571-1881(深谷観光バス株式会社)
<料金>
【1回乗車券】大人250円、小人120円【1日乗車券】大人500円、小人250円
<乗車券の販売場所>
バス車内、「渋沢栄一翁ふるさと館 OAK(オーク)」(仲町バス発着所よりすぐ、毎週木曜日を除く)
<運行期間>
2021年2月16日(火)から約1年間限定で毎日運行予定
<運行時間>
【仲町バス発着所】8時45分~16時55分発
※詳細は公式HPでご確認ください
【1】三色レンガが特徴的な大正モダンな建物「誠之堂・清風亭」
深谷市の大寄(おおより)公民館の敷地内にある「誠之堂(せいしどう)・清風亭(せいふうてい)」。東京・世田谷区にあった第一銀行の敷地の建物を移築復元したスポットです。このうち「誠之堂」は、大正時代に建築。国の指定文化財に選ばれています。
建物内では、龍や中国の貴人をモチーフにしたステンドグラス、渋沢栄一の肖像レリーフや「喜寿」という文字をかたどったレンガなど、工夫をこらしたインテリアにも注目です。
また隣接する「清風亭」は大正時代、第一銀行の当時の頭取だった佐々木勇之助(ささきゆうのすけ)の古希を記念して建てられた建物。南欧風のアーチが特徴的で埼玉県の指定有形文化財に選ばれています。
建物の中に入ると、大広間のシャンデリアやレンガ造りの暖炉、窓枠にある円柱装飾など、貴重な装飾を見ることができます。ここで大正ロマンの世界観を感じてみては。
【2】富岡製糸場を支えた渋沢の従兄の生家「尾高惇忠生家」
渋沢栄一に大きな影響を与えたのが、従兄の尾高惇忠(おだかじゅんちゅう)。栄一に勉強や剣術を教えた人物で、後に世界遺産に登録された群馬・富岡製糸場の初代工場長として、日本の殖産興業を支えました。その尾高の生家が深谷市にある「尾高惇忠生家(おだかじゅんちゅうせいか)」です。
見学ができるのは、1階のタタキと中庭。タタキからは広大な和室やかまどを見られるほか、ガイドによる解説を聞くことができます。
また中庭にはレンガ造の土蔵があります。明治21年(1888年)以降に建てられた建物だといわれており、渋沢が設立した日本煉瓦製造(にほんれんがせいぞう)株式会社に関わる「上敷免製」の刻印を残したレンガが使われています。
【3】渋沢栄一の魅力を発信する「渋沢栄一記念館」
平成7年に開館した渋沢栄一記念館。深谷で生まれ育った渋沢栄一の生い立ちを紹介する映像を見たり、貴重な肉声テープを聞いたりできるコーナーもあります。
館内にある資料室では、渋沢栄一の生涯を紹介するコーナーや書物、遺墨など、約150点の資料を展示。ここで渋沢栄一の生い立ちと功績を学びましょう。
また講義室では、2020年に誕生した渋沢栄一アンドロイドがあります。約20分間にわたって、栄一が大切にしていた「道徳経済合一説(どうとくけいざいごういつせつ)」についての講義を聴くことができます。生前の姿を忠実に再現した栄一のアンドロイドは貴重なので、ぜひ耳を傾けてみては。
【4】幼少時代の渋沢が暮らした地「旧渋沢邸 中の家」
渋沢栄一の生家があった場所に建てられた「旧渋沢邸 中の家(なかんち)」。現在の家は明治時代に建てられたものです。家の中は入れませんが、外から座敷を見学できます。
建物内には、80代の渋沢栄一を忠実に再現した「渋沢栄一アンドロイド」があり、渋沢が動いている様子を見ることができます。
あわせてチェックしたいのが「土蔵」。かつてこの周辺は藍の畑が広がっており、渋沢家が藍玉の製造にかかわっていたことから、貯蔵庫として使われていました。幼少時代に暮らした渋沢栄一の生家を散策してみて。
【5】深谷名物「煮ぼうとう」の人気店「麺屋忠兵衛 煮ぼうとう店」
深谷の郷土料理のひとつ「煮ぼうとう」。渋沢栄一も好んで食べたといわれている郷土料理で、その味を堪能できるお店が「麵屋忠兵衛(めんやちゅうべい) 煮ぼうとう店」です。渋沢栄一の生家「中の家」の隣に立っており、店内には渋沢直筆の書も展示されています。
提供する「煮ぼうとう」(単品:税込850円)は、深谷ネギをはじめ、にんじんや三つ葉など、地元の野菜がたっぷり入った醤油味のほうとう。コシのあるほうとうの食感と、醤油と野菜の旨味を楽しめます。とろろ飯もおすすめです。
【6】深谷の特産品が手に入る「道の駅 おかべ」
深谷でお土産を買いたい方におすすめのお店が、深谷駅から車で約20分のところにある「道の駅 おかべ」。深谷ねぎやキャベツといった地元の新鮮な野菜のほか、200種類以上の品が揃う土産店、さらにレストランも併設しています。
駅の中にある「ふるさと物産センター」では、渋沢栄一に関連するグッズや、埼玉の食材を使ったお菓子や惣菜などを販売。明治時代に創業したチョコレートメーカーで近くの花園(はなぞの)に工場があることにちなんで、「ショコラアソート」や、埼玉産のいちごを使った「さいたまいちごプリン」(6個・税込1,180円)などを取り揃えています。