東京オリンピック・パラリンピックは2021年の7月23日に開催予定ですが、長引く新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ここに来て開催か中止かが議論されています。そこで、多くの人が気にはなるけれど意外と知らないのが、中止になったらどのくらいの経済的損失があるか、ではないでしょうか。今回は、東京オリンピック・パラリンピックが中止された場合のお金の問題について解説します。

五輪開催で期待される経済効果は約32兆円

まずは、当初予定されていたオリンピック・パラリンピックの経済効果から見ておきましょう。東京都オリンピック・パラリンピック準備局の試算では、「大会開催に伴う経済波及効果」は約32兆円となっていました(2017年3月時点)。

なおこの金額は、招致が決定した2013年から、大会10年後の2030年までの長期間で見られる効果を試算したものです。

五輪中止の経済的損失は約4兆5千億円

それでは、中止の場合の経済的損失はどのくらいなのでしょうか。経済学者である関西大学・宮本勝浩名誉教授の試算によれば、東京オリンピック・パラリンピックが中止になった場合の経済的損失は、約4兆5,151億円とされています(2020年3月時点)。

ちなみに宮本名誉教授によれば、無観客開催の場合の経済的損失は約2兆4,133億円です(2021年1月時点)。中止に比べれば半減するものの、無観客開催でも経済的損失が出ることには変わりありません。