女性をキープする、と聞くと女慣れした男性を思い浮かべる人も多いと思います。しかし、自分に自信が持てない男性も意外とやってしまうこの行為。ですが、彼らの場合は決して複数の恋愛を楽しむためではなく、自分の恋愛感情を貫けない弱さが原因。一途になりきれない理由について、お話します。
■独りよがりな恋愛
「二兎追う者は一兎も得ず」……こんな言葉を聞いたことのある人は多いと思います。「キープ」は、複数の女性に恋心を向けることです。「本命」がいながら遊び目的でほかの女性を口説いていたり、恋に慣れた男性を思い浮かべるかもしれません。
ですが、自分に自信のない男性の中にも女性をキープする人はいます。それは、恋愛に慣れているのとは逆に、自分の思いを貫く勇気がないから起こること。もし、こんな扱いを受けそうになったときは、まず相手から離れることで自分を守ることができます。
30歳のある男性の話です。これまで、学生時代も含めて女性とまともにお付き合いをしたことのなかった彼は、好きな女性ができて告白しても振られることを繰り返していました。恋愛が上手くいかないのは、女性の気持ちがわからないから。もともと他人と積極的にコミュニケーションを取ることが苦手だった彼は、女性と接するときもどこか自分に引け目を感じながら、相手にどう思われるかばかり意識していました。
「受け入れて欲しい」「好きになって欲しい」気持ちがあっても、女性の内心を汲み取ることが苦手だった彼は、相手の気持ちを知ることを避けていました。もし、彼女の好みが自分とは違ったら。違っても、好かれたいなら努力ができます。でも、彼の場合は「自分のことが好みでないならもう無理」と、最初からがんばることを諦めていました。女性の気持ちを理解することを放棄してしまったので、彼の恋愛はどうしても独りよがりになりがちです。
好かれるためにどう動くか考えるより「自分のことを好きなサイン」ばかり求めるようになり、しまいには笑顔を向けられただけで「笑いかけてくれたってことは俺に好意があるはず」と本気で思い込むようになりました。相手の目線を持てない彼の恋愛は、空回りを繰り返します。好きな女性が俺と笑って話してくれる。それだけで「好かれている」と思い込み、告白するけどあっさり玉砕。
確かに、女性は好意のない男性とも親しく会話することができます。それはコミュニケーションのひとつであって、恋心の有無に関係なくこなせることです。
ですが、彼にはそんな振る舞いが理解できません。いけると思ったのになぜ振られてしまうのか、「じゃぁどうしてあんな笑顔を向けてくれたのか」と悩んでも、それを確認することからも逃げていたのです。振られるのは、受け入れてもらえないということ。つまり、こんな自分ではダメってことと同じ。
そのうち、彼は女性を好きになることが怖くなった、と言います。「好きになっても、どうせ上手くいかない。勘違いして痛い目にあうのはもうこりごり」こんな気持ちが、彼から自信を奪っていきました。
■どちらに対しても「好き」と言いきれないジレンマ
しばらく恋愛から遠ざかっていた彼ですが、ある女性を好きになります。彼より年上のその女性は、優しいだけでなく芯の強さもあって誰からも好かれる存在。男女問わず人気があって、彼だけでなく多くの男性がその女性を狙っていました。
自分なんて絶対無理だろうなぁ。そう思うけど、惹かれる気持ちは止められない。彼は、何とかしてかっこいい自分を見てもらいたいと女性の前で振る舞いますが、やはり一方通行のアプローチは届かず、進展しない関係が続きます。
そんなとき、彼のことを好きだという女性が現れます。これまでの女性たちと明らかに違うのは、その女性は自分にだけわかりやすい関心を向けていた点。女性から関心を持たれることに慣れていなかった彼ですが、積極的に自分に関わろうとする彼女の姿はとても心地よく、今までの女性たちからは受け取ることのなかった愛情を感じ、すぐに自分も好きになりました。
ですが、彼の心にはそれ以前に好きになった年上の女性がいます。それは、後から現れた女性のように「先に好かれたから自分も好きになった」人ではなく、彼が自ら恋心を覚えた女性。どうしても、その年上の女性を忘れることが彼にはできませんでした。
彼が年上の女性に向けていたのは、一種の強い憧れのような気持ちでした。手に入れたい、セックスしたい、という生々しい恋心より、「ただ好きでいられればいい」と自分の気持ちだけで満足できてしまう感覚を、当時の彼は憧れだとわからずにいたのですね。
告白したいけど、振られることはわかっているし関係が壊れるのは嫌だ。そして、自分に好意を向けてくれる女性のことも捨て去ることができない。愛される心地よさを知ってしまった彼は、先の見えない片想いに身を浸しながらも自分に捧げられる愛情も手放すことができませんでした。
どちらの女性に対しても、はっきり「好きだ」と言えないジレンマが、彼を苦しめていました。
■「二兎追う者は一兎も得ず」
彼の犯したミスは、中途半端な愛情のまま、自分に好意を寄せてくれる女性を受け入れてしまったことです。彼女の愛情に応え、キスもセックスもし、確かに好きだと思うけれど、やはり年上の女性のことも忘れられない。
それは、例えば彼女とケンカをしたときなど、色濃くその存在を彼の中に浮かび上がらせます。やっぱりあの人のほうが好きだ。こんな女、いらない。女性と向き合うのではなく、「もう一方の恋心」に安易に逃げてしまうことで、いつしか女性を「キープ」のように扱うことも平気になりました。
いさかいがあっても、結局彼女のほうから折れて自分を追ってきてくれる。自分は「もう一方の恋心」を捨てなくても、愛される。そんな慢心が、彼から真剣に人を愛することの大切さを忘れさせます。
一方で、年上の女性に向けた気持ちも自信のなさから発展させることができず、「好きでいられればいい」状態のまま、告白には至りませんでした。「努力しなくても好かれる自分」と、「手の届かない人を慕う自分」。そんな自分に悩むこともあったけど、結局は目の前に差し出される女性からの愛情をはねのけることができずに、「好きだ」と言えないまま中途半端な関係が続きました。
彼女のほうはどうでしょうか。自分が向ける気持ちに応えてくれるくせに、決定的な言葉はない。彼がほかの女性を「本命」にしていることはわかっているけど、私を抱いてくれるし、愛情も見せてくれる。いつか「彼女」になれるかも。そう思いながら側にいるけど、本音はいつ捨てられるかわからない不安を抱えたまま、無理をしていたのではないでしょうか。
結局、「ケンカのたびに『やっぱりあの人のことが好きだ』と言われ続けて心が壊れた」と、女性は彼から離れていきました。そして彼は、女性から別れを告げられて初めて、自分がいかに彼女を愛していたかを思い知りました。ですが、もう彼女は自分への愛情に見切りをつけた後。追いすがろうにも、これまでさんざん年上の女性の存在を持ち出してきた自分が、今さらどんな言葉をかければ良いのかわかりません。
「二兎追う者は一兎も得ず」。自分の気持ちに自信を持てなかった彼は、結局どちらの恋も手に入れることができず、今もひとりでいます。「『好きだ』と言えたら良かったのにね」そう言うと、彼は無言でうなだれました。
■「キープ」は誰でもしてしまう可能性がある
彼が繰り返し伝えたのは、「決して彼女を傷つけたかったわけじゃない」というもの。ふたりの女性に向ける気持ちに踏ん切りがつけられないのは自分のせい、それが何より女性を苦しめていたのに、彼の中では「そんなつもりはなかった」という言い訳が渦巻いています。
それは、自分の気持ちを相手に伝えることを恐れたという、弱さが原因です。自分に好意を持っている女性をキープしたがる男性の多くは、複数の恋愛を楽しむことが目的です。一方で、自信のない男性も、一途になりきれない臆病さから自分に向けられる愛情を手放すことを恐れます。
「キープ」はどんな男性でもしてしまう可能性がある、と心得ておくと、むやみに気持ちを捧げることを避けられます。もし、こんな扱いを受けそうになったらどうすれば良いのでしょうか。そのときは、「1対1で向き合えないならもういい」と、潔く相手から離れることです。
安易に愛情を渡してしまうことは、男性の自信を引き出すのではなく努力を放棄させることにつながる場合もあります。人を好きになることも、好かれることも、決して当たり前ではありません。それをもう一度思い出してもらうためにも、キープされそうになったら自分自身を守ってくださいね。
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