お手軽に感動したい自分もいる
もちろん、“セリーヌ・ディオンはくだらない”と表明すること自体、何も罪ではありませんし、むしろ、好き嫌いの主張は活発にぶつけ合うべきでしょう。けれども、自分のちっぽけなアイデンティティを保護するために、攻撃しやすい対象を見つけることの卑屈さは、非難されても仕方ありません。
それよりも、くだらない、低俗だと理解しつつ、それでもお手軽な感動に浸りたがる自分がいることを認めることのほうが、よほど大事なのではないでしょうか。
アメリカのパンクロッカーでシンガーソングライターのルー・リード(1942-2013パンクバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」のオジリナルメンバー ソロでの代表曲に「Walk on the Wild Side」や「Perfect Day」など)も、「My Heart Will Go On」が好きだったそう。
<あの手のポップソングとしてなら、タイタニックの曲は好きだよ。CD買うほどじゃないけど。車の中とか、バーとか、パーティーとかで流れる用の曲だよね。決して真剣に耳を傾けるタイプの音楽ではない。酔っ払って泣きたいときに聞きたい感じだ。>(『SONGWRITERS ON SONGWRITING EXPANDED FOURTH EDITION』 Paul Zollo Da Capo Press pp.694-695 筆者訳)
悪酔いを承知で聴いてしまう音楽の力
妙な話ですが、たまに“こんなのを好きになっちゃまずいんじゃないか”という曲に出会うことがあります。たとえば「キュン」(日向坂46)とか。そんなとき、ルー・リードの言葉を思い出すのです。 セリーヌ・ディオンの一連のバラードにも、そのように悪酔いするのを承知で聴いてしまう力があるように思います。筆者は、「The Power of Love」がJ-Waveで流れると、手を止めてしまったものでした。
リリースから20年以上経過しても、なお人々の琴線に触れる『タイタニック』と「My Heart Will Go On」。改めて、“趣味”について考える機会をもらいました。
<文/音楽批評・石黒隆之> 石黒隆之 音楽批評。カラオケの十八番は『誰より好きなのに』(古内東子)
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