華やかで美しい二字熟語
昔の日本人は穏やかで慎ましいイメージですが、実は華やかで綺麗な世界観も好きだったようです。例えば、時代劇でよく目にする豪華な着物や城内を彩る美しい装飾などなど。また、二字熟語にも煌びやかな物事を表す言葉がたくさん存在していました。
そこで、こちらでは華やかで美しい二字熟語をご紹介。現実離れした美しいものを目にしたとき、これらの言葉がパッと出てくるとかっこいいですね。お気に入りの二字熟語を語彙の引き出しに加えておきましょう。
⑪飛翔(ひしょう)
縁起の良い場面で使われることが多い「飛翔(ひしょう)」という美しい二字熟語。「空を羽ばたく」「高く飛び立つ」といった意味をもっています。
昔の日本人は、空を飛ぶ鳥や虫たちに憧れがありました。今では飛行機で当たり前のように空を飛び回れますが、それができなかった時代では、空は華やかな存在だったよう。「飛ぶ」「翔る」という、力強く前向きなメッセージが込められていることから、男の子の名前に用いられることも多くなっているようです。
⑫美麗(びれい)
「美しい」「艶やか」という意味をもつ二字熟語の「美麗(びれい)」。「華麗」と似た言葉ですが、主に花や人の見た目の美しさを表現するときに用いられることが多いです。漢字からも、その華やかで美しい雰囲気が感じ取れます。
また平安時代、武将の源頼朝が数々の偉業を成し遂げた梅津氏を称え「美麗」という名を贈ったとも言われ、その言葉の価値が大きなものだったと考えられます。「美」の表現にも、あらゆる二字熟語を使い分けることで、より繊細に伝えることができますね。
⑬月虹(げっこう)
「月の光によって生じる虹」を意味する「月虹(げっこう)」。虹という言葉に華やかで美しい印象をもちますが、月の弱い光から成る月虹は、淡く濁って見えるのだそうです。昔の日本には月を比喩に用いた短歌が多く、その美しさに魅了されていたことが分かります。
一方、美しい月虹が頻繁に観測されるハワイでは「幸せをもたらす」「先祖が月虹の橋を渡り幸福を運び込む」という言い伝えもあり、時代や国境を越えて素敵なエピソードをもつ二字熟語と言えそうです。
⑭玉鬘(たまかずら)
昔の日本女性の「髪の装飾」や「美しい毛髪」を示す二字熟語「玉鬘(たまかずら)」。独特の言葉の響きが、その時代の女性の華やかさを物語っていますね。とくに平安時代では、女性の長く美しい髪はその人の美を象徴するものでした。
一方で、自分の意に反して伸び続けることから、「どうにもならないこと」「運命」を表すときにも使われています。また、源氏物語では、数奇な人生を送った夕顔の娘の名としても登場。その美しさで求婚者が絶えない女性だったそうです。
⑮絢爛(けんらん)
「豪華絢爛」という四字熟語でもお馴染みの「絢爛(けんらん)」は、「目がくらむほど美しい」「贅沢で煌びやかなさま」を意味する二字熟語。まさに、華やかさを表したいときにぴったりの言葉です。
使い方は「絢爛たる~」「絢爛な~」となりますが、今では二字熟語で用いられることはほとんどありません。類義語に「燦爛(さんらん)」という言葉もありますが、こちらは主に「光輝く美しい様子」を表現したもの。昔、これらの表現を巧みに使い分けていたかと思うと驚かされますね。
美しい日本の二字熟語まとめ
美しい日本の二字熟語には、想像を遙かに超える深い意味やエピソードが詰まっていました。漢字の雰囲気や音の響き、意味を繋ぎ合わせると、どんな様子を表現しているかが自然と思い描けます。
また、今では使われていない言葉も多く、私たちの表現の幅がどんどん狭まっていることも分かります。
読書をきっかけに、辞書を開く習慣を付けると、より多くの二字熟語に出会うことができるでしょう。豊かな表現力をもつ美しい二字熟語を、日本人として大切にしていきたいですね。
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