出産後に初めて出る母乳は初乳と呼ばれ、新生児にとって大切な栄養成分や免疫を含むものです。初乳はいつからいつまで、どのくらいの量出るものかや、成分、初乳を与えることの利点、初乳を上手に与えるためにできることなどをご紹介します。

監修者紹介

助産師 池田なおみ先生
『はいチーズ!clip』より
(画像=『はいチーズ!clip』より)

助産師・整体師・まるまる育児やトコちゃんベルトアドバイザー。1男1女の母であり、難しく考えない母乳育児や、幸せな卒乳を推奨。ママが楽に、赤ちゃんも楽に、結果、育児が楽しめるスパイラルアップとなるよう、常に研究中。オンラインやリアル講座の自由が丘みひかるサロン代表。

ママの初乳はいつからいつまででる?

『はいチーズ!clip』より
(画像=『はいチーズ!clip』より)

母乳は三段階に変化します。産後すぐにでるのが「初乳」、その後「移行乳」とよばれる母乳を経て、最終的に「成乳」となります。初乳がでる期間は、個人差があり、産後〇日間などといった明確な定義はありません。初乳が2~3日しか出ない人もいれば、10日以上でる人もいるようです。お産の現場では3~4日3,4日で濃い黄色が薄くなり始め、7日頃に白に近づいてきて、成乳になってきたなと思うことが多いです。

初乳の成分や量など

『はいチーズ!clip』より
(画像=『はいチーズ!clip』より)

母乳と聞くと、牛乳のように白くてサラサラとした液体を想像する人が多いと思いますが、初乳はそれとは異なります。まずは、初乳とはどのような成分でできているのかなど、その特徴について説明します。

初乳の成分やカロリー

初乳には、赤ちゃんを守る免疫成分や、赤ちゃんの成長に必要な栄養素が豊富に含まれています。含有量の多いタンパク質には、感染症やアレルギー予防の働きがあるIgA抗体とラクトフェリンが多く含まれています。その他、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンβカロテンなどのビタミン類や、ナトリウム、カリウム、亜鉛などのミネラル、炭水化物、酵素、ホルモン成分などがバランスよく含まれています。

また、初乳は成乳に比べ脂肪分が少なく、赤ちゃんの未発達な消化器官でも消化・吸収しやすくなっています。また、100mlあたりのカロリーは、通常の母乳(成乳)は60kcal程ですが、初乳は80~150kcalもあると言われています。

初乳の時期はたくさん分泌しないし、赤ちゃんの胃袋も小さいので、少量で栄養満点。新生児にはこの上ない食事といえますね。   

初乳の量

初乳は一般的に産後直後から数日間しかでません。初乳が1日に分泌される量も、成乳に比べると、格段に少ないのが特徴です。初乳の量が少ないのは、生まれたばかりの赤ちゃんの小さい胃袋にあわせて、ママの体が必要な量の初乳を作っているから。その為、初乳の量が少ないからといって、不安になる必要はありません。

まだまだ吸うのがぎこちない赤ちゃんもペロペロしているだけでも効果的です。ママの体はちゃんと赤ちゃんのことを考えているとは、なんとも神秘的ですね。

初乳の色

初乳は少しどろっとした濃厚な液体で、黄色っぽく、カスタードクリームのような色をしています。初乳が出てから数日後に、だんだん淡い黄色に変化し、初乳から移行乳と呼ばれる母乳が出るようになります。初乳が数日出たあとは、移行乳が1週間ほど続き(これも個人差があります)、その後、成乳と呼ばれるサラサラとした牛乳のような白い母乳に変化していきます。

初乳を赤ちゃんにあげるメリット

『はいチーズ!clip』より
(画像=『はいチーズ!clip』より)

初乳は生まれたばかりの赤ちゃんの最初の食事であり、赤ちゃんの成長を促す成分が豊富に含まれています。特に初乳に多く含まれる免疫グロブリンという成分が、赤ちゃんを感染症やアレルギーから守ってくれるため、初乳が出るなら飲ませるのがベストです。また授乳をすることで、ママの子宮が収縮するので、産後の母体回復を助ける働きもあります。