「弱っているときは恋に落ちやすい」という話をよく聞くが、そんなときに恋愛を始めてもいいのだろうか。婚活アプリで出会ったひとりの男との話。人は弱っていると、考える力はおろか、嗅覚までもマヒしてしまうのか……? 男とドライブデートしたときの、においの思い出。自分が弱っているときに、恋を始めるのは危ない。

「弱っているときに出会った人と結婚してはいけない」
先日、母が私にこう言い放ちました。

思い返してみてください。過去、あなたが弱っていたときのことを。失恋、失職、病気……。
そういったタイミングでは、私たちは正常な判断能力を失いやすくなります。

はじめまして。私、E子と申します。
婚活をしすぎた結果、もう結婚しないほうが幸せなんじゃないかしら? だって今が一番楽しいんだもん、という心境に至りつつある独女ツイッタラーです。

私はいま、どちらかと言えばまったく弱っていません。むしろ、まだまだイケルぜイェーイ! くらいの勢いで、人生絶好調です。悩みがなさすぎて、どうしようかと思うレベル。冒頭の言葉を発した母も、独り言のように呟いていたので、私へのアドバイスというわけではなさそうでした。

しかし、言われて思い返してみれば、過去に思い当たる節がありました。
これは私が仕事がうまくいかず落ち込んでいたときに出会った男の話です。

■出会いは某婚活・恋活アプリ

当時、とある地方で勤務していた私は、ひどく退屈していました。平日は夜遅くまで仕事、2~3時間睡眠をとって、朝早くからまた仕事。土日は少しばかりゆっくりと仕事をし、唯一のリフレッシュは料理のみ。

しかし、ひとり暮らしで自分ひとりのために料理を作っても、むなしく感じていたのです。

近隣に大学があったため、大学へ行き「ババアの手料理をタダで食べたい若い子募集!」の貼り紙を打ち出そうかとも、真剣に考えました。その場合、献立のバリエーションはどのくらい必要か、などと思案していました。

この妙案を友人に相談したところ、「彼氏つくれよ」という簡潔な解が導き出されたため、もっとも手軽なアプリで出会いを求め始めたのです。

■限られた選択肢の中から男をチョイス

何度も言いますが、当時住んでいた場所は地方でした。具体的に言うと、周囲を見渡せば一面の田んぼ、週末には県民の9割が大型ショッピングモールに集う、空気の美味しい土地でした。家族で暮らすには最高のロケーションでしたが、案の定、アプリで近所に住む男を探しても、限られた選択肢しかありません。

私が会うことに決めた男は、下記のような条件の方でした。

27歳(当時)、公立大学引卒、理系研究開発職、見た目普通、服装ダサめ。

フィーリング重視の私は、会ってみないと何もわからないと思い、とりあえず会ってみることにしました。

■助手席に男を乗せ、ドライブデート

基本的にどこか出かけるとなると、車を出さなければならない土地柄。相手の男は車を持っていなかったため、私が彼の自宅最寄り駅まで迎えに行き、助手席に乗せて出かけました。

ドライブデートは大好きですが、助手席に男を乗せるというのは、なんともいえない気持ちになるものです。

男「合流、すごくスムーズですね。僕ならテンパッちゃいます」

女「まぁ、私は毎日乗ってるんで……」

そんな会話をしながら、我々は目的地へ向かいました。ここで、私は重大な問題に気づきました。

■耐え難いにおい

どうも、先ほどからずっと、公衆便所のようなにおいがするのです。
マイカー、こんなに臭かったかしら?
何か持ち物がアクシデントで臭くなってしまっているのかしら?

不穏な気持ちで目的地に到着。車を降りても公衆便所臭は途絶えることはありません。ほどなくして気づきました。男が発言するたびに、男の口から公衆便所臭がしているということに。口から便所のにおいがする原因はわかりません。歯磨きをサボりがちなのか、はたまた体のどこかが悪いのか。初対面なので、それを口にすることもはばかられ、話題には出せませんでした。

そんななか、私は徐々に気分が悪くなってきました。「できることなら、黙っていてほしい」という思いから、私は会話が盛り上がらないように全力を尽くしました。

■芳香剤投入

男が発言するたびに私のテンションが下がるので、男も何かを感じ取ったのかもしれません。男がトイレに行って帰ってくると、においの質が変わりました。先ほどまで、ただのアンモニア臭漂う公衆便所だった男の口臭。今は完全に、トイレ消臭用の芳香剤を置いた公衆便所そのものです。

トイレ用にしろ、口臭用にしろ、消臭グッズは根本的解決にはならないなと思い知らされました。それ以後、私がトイレを頻繁に掃除するようになったのは、この教えがあったからです。出会いに感謝。一期一会です。

■弱っているときに恋を始めてはいけない

弱っているときに恋を始めてはいけない、と実感した強烈な経験を書きたいと思う
(画像=『DRESS』より引用)

これだけ強烈な臭いを放つ男であったにも関わらず、「他に彼氏候補もいないし、付き合うべきだろうか」などと考えてしまったのは、完全に私が弱っていたからでしょう。

心が弱ると鼻も利かなくなってしまうのかもしれません。

恋を始めるときは、まずは自身のコンディションを整えて冷静な判断力を持っていたいと思った経験となりました。


提供・DRESS(「人生を守る知恵、未来を歩く地図」となる言葉や人物、文化を伝えるウェブメディア)

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