ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)が、16年ぶりに帰ってきました。

 2005年放送の前作は「バカとブスこそ、東大に行け!」と檄を飛ばす元暴走族の弁護士・桜木建二(阿部寛さん)が、わずか半年で落ちこぼれの生徒たちを東大に導く物語でした。今回は桜木の生徒だった水野直美(長澤まさみさん)が弁護士となって登場、気乗りしない桜木を引っ張って、学力低下と不人気に悩む龍海学園高校の再建に着手します。

髙橋海人は、偏差値28の生徒役

 ジャニーズからは要注目の生徒・瀬戸輝役にKing & Princeの髙橋海人さんが抜擢されました。何やら性格に濃淡がありそうな輝少年ですが、その人物像を読み解いてみたいと思います。

 輝はクラスで派手に目立つことも、先生に反発することもない温厚な少年です。

 学力は芳しくなく、偏差値は学年最下位の28。けれど、事故で亡くなった両親が残したラーメン屋「瀬戸屋」を営む姉をよく手伝い、ネット動画で店を宣伝するなど、細やかにサポートしています。桜木が店を訪れた際も、「姉ちゃん苦労してて。卒業したらオレが店やろうと思ってるんです」と話していました。

 クラスメイトの中ではバドミントン部のエース・岩崎楓(平手友梨奈さん)と親しいようで、コンビニで万引きという、らしからぬ行動をした楓を気に掛けている様子。

「姉思いで友だち思いの男子……いいじゃない!」と思ったのもつかの間、第1話のラストでは“カゲの番長”的な顔を見せ、ほっこり気分に冷や水を浴びせてくれた輝くんなのでした。

ほがらかさと魔性をあわせ持つ

 多重的な人となりをもつ輝という少年を、髙橋さんが血肉の通った演技でいとおしく見せています。

 クラスで慕われ、両親を亡くした悲劇にもめげない“健気(けなげ)な輝”をやり続けるために、彼には“黒い輝”になることが必要なのかもしれません。本当は「こんなのいやだ」と叫び出したいのに叶わないから、悪い自分になっていい自分をいたぶり、いい自分にだまされている人を嗤うことで、心のバランスを取っているのでしょうか。

 髙橋さんは、太陽のほがらかさと月の魔性の両方を宿した人。だからこそ、少年の内心の輝きと翳りを自在に表現できるのでしょう。濃いまつげに縁取られた瞳、心の窓に、とりどりに揺れる気持ちが映るようです。

 この後、輝は東大を目指すことになりましょう。彼が変化していくさまを、髙橋さんは彩り豊かに演じてくれるはず。めちゃめちゃ楽しみでなりません。

少年忍者の深田竜生も出演

 そして今ひとり。龍海学園の生徒ではありませんが、ジャニーズから少年忍者の深田竜生さんも本作に出演しています。深田さん演じる天野裕太は、龍海学園の“東大専科”に入った天野晃一郎(加藤清史郎さん)の弟で、学力優秀な少年です。裕太はその優秀さゆえ自分より“格下”の晃一郎を見下しており、東大に興味を示した兄が気に食わない模様。兄弟の立場は逆転していて、兄を兄とも思わぬ扱いをしています。

 しかしながら、裕太は冷淡な美貌にスタンドカラーの制服がよく似合い、少しサディスティックな振る舞いもまたグッときます。弱気な兄と強気な弟の関係がどう転じていくのかも、注目しておきたいところです。

 東大に行けても、行けなくても、まばゆい少年たちの生きざまから目が離せない――そんな春になりそうです。

<文/みきーる イラスト/二平瑞樹> みきーる ジャニヲタ・エバンジェリスト。メンタルケアカウンセラーⓇ。女子マインド学研究家。応援歴20年超のジャニーズファン。女心を知って楽しく生きるためのライフハック“女子マインド学”を提唱。著書に『ジャニ活を100倍楽しむ本!』(青春出版社)『「戦力外女子」の生きる道』他。Twitterアカウント:@mikiru、公式ブログ:『ジャニヲタ刑事!』