福井県勝山市、平泉寺町に鎮座する平泉寺白山神社。古くから信仰の対象であった霊峰白山(標高2,702m)の越前側の拠点として、717年(養老元年)に僧泰澄(たいちょう)によって開かれたと言われています。現在では「国史跡白山平泉寺旧境内」と指定され、2017年は開山1,300年にあたる年でもあります。「苔の宮」と呼ばれる程に苔むす境内は癒しスポット。是非、静かで神秘的な空間を体感してみてください。
平泉寺白山神社とは
石川県、福井県、岐阜県にまたがる霊峰白山。人が足を踏み入れることを許さなかった白山に初めて登拝した僧、泰澄(たいちょう)によって717年(養老元年)、越前側の拠点として開かれた「白山信仰」の聖地です。
最盛期には、48社36堂、6千の僧坊、寺領9万石9万貫、僧兵8千人を要する、白山信仰の巨大拠点として栄えました。しかし、1574年(天正2年)一向一揆により全山が焼失してしまいます。
その後、江戸時代には境内の中心部が再興。1868年(慶応4年)、明治政府より神仏分離令が出されると、1870年(明治3年)、平安時代以来の神仏習合の伝統が破棄され、神社として分離独立、現在に至ります。
苔むす森
境内に一歩足を踏み入れると、空気が変わるのを感じます。杉並木と苔の絨毯が広がる境内は、とても神秘的。特に梅雨明けから夏にかけては瑞々しく、ふかふかの苔が一面を覆い尽くしています。きっと昔も変わらず広がっていたであろう風景。ちょっと足をとめて、歴史を感じてみてください。
今もなお続く発掘調査
一向一揆により、多くの建物跡が土に埋もれてしまいましたが、近年、白山神社周辺の開発工事によって、地中から中世の建物跡や陶磁器類が数多く発見されるようになりました。平成元年から始まった市の発掘調査によると、現在の境内に比べて10倍以上もの敷地だったことが判明。壮大な宗教都市であったことが伺えます。
現在も発掘調査は続けられており、沢山の石畳や石垣、排水溝や坊院跡(僧侶の住居跡)などが発見され、少しずつ全容が明らかになってきています。
発掘調査場所は、苔むす境内からはずれた場所にある為、知らずに寄らないで帰る方達も多いように感じました。是非、発掘された昔の石畳を歩いてみてくださいね。