各国の料理に欠かせないスパイスやハーブ。カレーなどのエスニック料理のイメージが強いですが、フランスの食卓でもスパイスとハーブは欠かせません。ちょっと難しそうなスパイスとハーブの使い方を漢方スタイリスト、養生薬膳アドバイザーとしても活躍するスパイスコーディネーターのIKU(梅沢郁)さんに教えていただきました。

フランスのお母さんが愛用する3種の神器

フランス料理に欠かせない!常備したいスパイス&ハーブ
(画像=『PARIS mag』より引用)

刺激的な辛さや独特の香りがクセになるスパイス、清涼感のある香りが食事に彩りを添えてくれるハーブ。どちらも料理に欠かせない名脇役ですが、その種類は多すぎて「どう使えばいいの?」と頭を抱えている方も多いのでは?

また、おもてなし料理のために買ってみたものの、それ以外の使い方がわからずキッチンの奥で眠ったままのスパイスもあるのではないでしょうか。せっかくなら、日常的にスパイスとハーブを取り入れたいですよね。フランスの料理に欠かせないスパイスとハーブを教えてもらいました。

【フランスで日常的に使われているハーブ】

フランス料理に欠かせない!常備したいスパイス&ハーブ
(画像=『PARIS mag』より引用)

ブーケガルニ:“香草の束”という意味。主にローリエをメインに、タイムやセロリ、パセリの茎などを束にして紐で縛り、ブイヨンの臭み消しとして使う。ラタトゥイユやポトフにもよく使われている。フレッシュハーブを使うことが多いが、ドライのハーブをブレンドしても良い。

フランス料理に欠かせない!常備したいスパイス&ハーブ
(画像=『PARIS mag』より引用)

カトルエピス:“4つのスパイス”という意味。シナモン、クローブ、ナツメグにペッパーなどの辛味のあるスパイスを加えたミックススパイス。主にパテやテリーヌといった冷製の肉料理の臭み消しなどに使う。トマトのファルシに入れるお肉に入れても◎。

フランス料理に欠かせない!常備したいスパイス&ハーブ
(画像=『PARIS mag』より引用)

エルブドプロバンス:南フランス・プロバンス地方のハーブミックス。ローズマリーや、タイム、セージなど香りの強いハーブなので、ジビエや魚料理など匂いの強い食材を使う料理の臭み消しに使うことが多い。

フランス料理に欠かせない!常備したいスパイス&ハーブ
(画像=『PARIS mag』より引用)

フランスのお母さんが作る家庭料理は『絶対にこのレシピ!』というものではなく、あくまで目分量。ハーブも、お庭に生えているものを使っていたりするので、その都度入れる種類や量がお料理によって変わるのだそう。

スパイスは“ほんのちょっと”が基本

フランス料理に欠かせない!常備したいスパイス&ハーブ
(画像=『PARIS mag』より引用)

使い方が難しそうなスパイスやハーブ。フランスのお母さんは目分量で使うとはいえ、初心者にはハードルが高い!スパイスやハーブを使うときの注意点はあるのでしょうか?

「オレガノ、バジルなどは“ハーブ系スパイス”と呼ばれ、トマトの青臭さを消すためにトマトソースに入れるとおいしいのですが、ほんのごく少量、お鍋に耳かき1-2 杯ほどでいいんです。ハーブやスパイスは香りが強ければおいしくなると思われがちですが、入れすぎると臭くなりすぎてしまいます。

例えば香りの強いローズマリーは、パスタやじゃがいもを茹でるお湯に入れたり、温野菜を作る蒸し器に入れたりすると食材にほのかに香りが移っておいしくなります。それくらいさりげなく使うのがポイントです」。

あくまでハーブやスパイスは臭み消しのために使うものなので、多く入れてしまっては苦味や香味が強調され素材の味を損なってしまいます。スパイスもハーブも“香味”というくらいなので、味覚ではなく嗅覚で楽しむもの。特にフランス料理で使われるカトルエピスのようなスパイスは薬臭くなってしまうそうなので、注意が必要です。

フランス料理に欠かせない!常備したいスパイス&ハーブ
(画像=『PARIS mag』より引用)

また、単体で使うより3つ以上を組み合わせることでよりおいしくなるのだそう。

「フランスのブーケガルニ、カトルエピスはもともと複数のスパイスが入っているので、取り入れやすいのではないでしょうか。それでも薬臭さが気になるときは、家庭にあるブラックペッパーやパセリを入れるのがおすすめです。この2つのスパイスは、食材と他のスパイス同士を調和させてくれるので、香りがまとまりますよ」。

体調が崩れがちな季節だからこそハーブとスパイス!

蒸し暑く食欲も落ちやすい季節は、スパイスやハーブが活躍してくれます。そんな時期はどんなスパイスやハーブを取り入れたらいいのでしょうか?

「フランスでよく使われるタラゴンは、甘い香りのするハーブで利尿作用があります。ハーブティーが好きな方はこれを煮出して飲むのもおすすめです。ほのかな甘い香りが美味しいですよ。夏と違って梅雨時期は意外と雨と冷房で体が冷えてしまい、水分代謝が悪くなる事で口の中が粘つく事が多くなります。そんな時は、殺菌効果のあるクローブを煮出したお湯でうがいをしたり、紅茶やコーヒーを淹れたりすると口の中がさっぱりしていいですよ。

フランスの国民食タブレはクスクスで作りますが、浮腫み(むくみ)をとってくれる押し麦やキヌアに変えるのもおすすめ。茹でるときにブーケガルニやエルブドプロバンスを入れると、グッとフランス料理らしい風味がプラスされます」。

フランス料理に欠かせない!常備したいスパイス&ハーブ
(画像=『PARIS mag』より引用)

そして、夏野菜と相性がいいのがターメリック。

「切ったナスやズッキーニの表面に、少量のターメリック、塩コショウをつけて油で焼くだけ。お醤油をちょっとかけて食べるとおいしいです。疲れている時は、肝機能を強化してくれるターメリックを、こんな具合に気軽に日々のお料理に取り入れてみてください。疲労回復の手助けをしてくれます。

また、夏バテにはターメリックが入っているカレーがぴったり。カレーはビタミンやミネラル・タンパク質が豊富なお肉やお魚、お野菜をたくさん入れて作りますよね!これらの栄養価の高い食材を、芳香性食欲増進効果や消化促進効果のあるスパイスでしっかりと煮込んで作るので、食欲のない暑い日でもカレーの香りを嗅ぐと、なぜかお腹がすいてきて、たくさんの栄養を吸収することができるんです。これがカレーが夏バテに効くと言われている理由なんですよ。」

ハーブには健康効果があるので、体調を崩しやすくなる季節には積極的に摂るようにしたいですね。

フランス料理に欠かせない!常備したいスパイス&ハーブ
(画像=『PARIS mag』より引用)

「フランスのハーブの使い方のいいところは、ベースになる数種類のハーブがあって、そこから料理によってアレンジを変えられるところ。豚肉料理ならセージ、魚料理ならタイム、野菜ならオレガノやバジルといった相性のいいハーブをプラスして、変化させるのも楽しいですよ。

同じ肉料理でも、タラゴンを加えるとフレンチ風に、チリパウダーでメキシカン、バジルでイタリアン、と使うスパイスやミックスでいろいろな国のアレンジもできるんです。いつもの料理だけど、ほんのちょっとのスパイスで変化が楽しめるのもスパイスの魅力です」。

ハーブとスパイスを使いこなせるようになったら料理上級者!フランス流のハーブ術を身につけて、1ランク上の料理を作ってみてはいかがですか?

■協力

IKU:梅沢郁(スパイスコーディネーター)


提供・PARIS mag(シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン)

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