本記事は、井上ヨウスケ氏の著書『38歳までに受けたい「甘くない」お金の授業―― ビターな現実に打ち勝ち、人生を9割ラクにする方法』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
若い人にiDeCoをオススメしない理由
非課税優遇されている制度としてiDeCo(イデコ)も存在しています。個人型確定拠出年金の愛称が、iDeCoです。
iDeCoは、自分の老後資金のために投資していく制度です。毎月つみたて投資をして、60歳以降に受け取ります。この毎月つみたてする資金を拠出金と言いますが、拠出金全額が所得控除となります。非課税メリットという点では、つみたてNISAを上回ります。
ちなみに全額が所得控除と言っていますが、税金が拠出金だけ少なくなるわけではないので注意してください。年収300万円の方であれば、年間10万円の拠出金に対して所得税と住民税が1万5000円ほど少なくなります(所得税率5%、住民税率10%と仮定)。
「所得税や住民税が少なくなるなら、iDeCoの方がいい」と思うかもしれません。しかし、iDeCo特有の強烈なデメリットがあります。それは、基本的には「一度拠出した資金は、60歳まで引き出すことができない」ということです。僕は、これを理由に若い人にiDeCoをあまり勧めていません。
20代の人が老後を迎えるまでに、大きな資金が必要となるライフイベントには、どんなものがあるでしょうか?結婚、出産、住宅購入、子供の教育費などが代表的です。もしかすると、事業を始める可能性があるかもしれません。事業を起こすために、大きな資金が必要になる可能性があります。
「将来はどうなるかわからない」という不確実性は若い人ほど高いのに、60歳まで引き出すことができないなんて、若いうちは使いづらいと思いませんか?
裏を返せば強制的に老後資金を貯められる制度ではあるのですが、非課税メリットだけに惹かれて選択するのは危険だと思います。個人的には、30代になって人生の方向性がある程度定まってからでも、遅くないと思います。30代になると、すでに結婚していたり、子供がいる可能性が20代より高まっているからです。
また「家を買うのか、賃貸で行くのか」なども、20代よりかなり明確になっているので、自分の人生で必要な資金はどれくらいかの目処(めど)が立ちやすいです。それらの資金計画をしっかり立てた後、iDeCoをする方がいいと僕は思います。
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