6.極楽浜(宇曽利湖)
さて、異様な雰囲気の地獄を過ぎると、いよいよ極楽浄土を彷彿とさせる極楽浜が現れます。エメラルドグリーンの湖面に、対岸の山や空が鏡のように映る美しい風景をご覧になれます。
恐山でいう極楽浜とは、恐山と呼ばれる8つの外輪山の中央にできたカルデラ湖を指し、本来は"宇曽利山湖"と呼ばれます。恐山も昔は"宇曽利山"と呼ばれていました。恐山は活火山に指定され、今でも至るところから硫黄泉や火山ガスが噴出していますが、このガスが宇曽利山湖に溶け込んで強い酸性の湖にしています。そのため湖には動植物がほとんど生息しておらず、非常に澄んだ透明度を誇り、極楽浄土の美しさを表していますよ。
7.恐山 震災慰霊塔
こちらは平成23年に襲った、東日本大震災の犠牲者を追悼して建てられた震災慰霊塔。まるで多くの犠牲者を極楽浄土へ誘うように、極楽浜のほとりにあります。背面には大小数十にも及ぶ手形が彫られているのですが、子ども達が手形に手を当てて遊びにきているような雰囲気を感じさせます。
8.恐山温泉
恐山温泉とは、霊場内の至るところで湧出する温泉を入れるように整備した湯小屋。温泉は花染の湯、古滝の湯、冷抜の湯、薬師の湯の4つの湯があり、これに加え宿坊吉祥閣には大浴場や露天風呂もあります。昔はこの湯で身を清めてからお参りしたそうですよ。
湯はすべて源泉かけ流しの強い酸性が特徴で、5〜10分以内に湯から上がるよう注意書きがされています。きれいな青白い湯に舞う"湯の花"がしっかりご覧になれるので、ぜひ入浴してみてはいかがでしょうか。参拝者は無料で入浴できます(入山料は別途)。
入山料:個人 大人500円・子ども100円、※30名以上から団体料金あり
9.恐山菩提寺
こちらは恐山の本尊・地蔵菩薩が祀られる恐山菩提寺。貞年4年(869年)、天台宗を開いた最澄の弟子である円仁(慈覚大師)によって開山されました。伝承によれば円仁が唐に修行中、夢枕に「汝、国に帰り、東方行程30余日の所に至れば霊山あり。地蔵大士一体を彫り、その地に仏道を広めよ」とお告げを受けたそう。円仁は帰国してお告げの通り探し歩き、苦労の末にたどり着き、6尺3寸の地蔵大士(地蔵菩薩)を彫り、本尊として安置したと言われます。
恐山に訪れると必ず見ることになる「風車」は、火山ガスなどによって供えることのできない線香や生花の代わりにお供えされています。風車の儚く回るカラカラとした音色を聴くと、どこか寂しさも感じてしまいますが、亡き者に想いを馳せたり、己の人生を思い返して身が洗われるような気持ちになれるスピリチュアルなスポットです。ぜひ一度は足を運んでみてはいかがでしょうか。
10.例大祭・イタコの口寄せ
最後に、恐山が最もにぎわう"例大祭"をご紹介します。毎年夏に行われる例大祭には、家族の供養や"イタコに口寄せ"をしてもらうため全国から多く参拝者が訪れます。ハイライトは22日に行われる「山主上山式」。恐山を管理する円通寺の住職や僧侶、信者など数十人が"籠行列"を成し、三途の川から地蔵殿まで山主を運ぶ儀式で、厳かで見応えがあります。また期間中は仏降ろしの「イタコの口寄せ」が行われていて、亡き人と話すことができたり、未来を占ってもらうことができますよ。
期間中は大変混雑するので、恐山行きの増便バスをご利用ください。バスの車内では恐山の歴史が語られたり、童謡が流れていて気分も盛り上がります。また山道の途中には"不老水"と呼ばれる湧き水が湧いていて、「一杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで若返る」と言われています。生水のため持ち帰って処理後に飲むことをオススメしますが、人気のスポットです。ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
<祭典期間>
◆大祭典:毎年7月20から24日
◆秋詣り:毎年10月の体育の日が最終日となる3日間(土・日・月)
提供:トリップノート
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