——いい香りに誘われて向かったその先に待っていたのは素敵な移動珈琲屋さん。店主は行く先々で、一杯一杯、丁寧に、誠実に、心を込めて珈琲を淹れながら、人生に少し傷ついた人たちの心を癒していく……。
そんな人間模様を描いた、珈琲好きなら見逃せない注目のドラマ『珈琲いかがでしょう』をご存知でしょうか。
本記事では、原作漫画が人気を呼び実写化された、現在放映中の『珈琲いかがでしょう』の見どころやあらすじをご紹介したいと思います。
ドラマ概要・見どころ
「珈琲いかがでしょう」 毎週月曜 夜11時6分~夜11時55分
(2021年4月5日スタート全8話 テレビ東京系)
出演: 中村倫也、夏帆、磯村勇斗、光石研 ほか
原作: コナリミサト「珈琲いかがでしょう」(マッグガーデン刊)
移動珈琲店「たこ珈琲」の店主、青山一(あおやまはじめ)を中村倫也さんが演じています。
移動販売車の珈琲屋として街に現れては、美味しい珈琲を振る舞い人々の心を癒す青山。その一方で、お店に訪れる、お客様には何やら訳ありの過去があることが描かれていきます。
ストーリーは、オムニバス形式。一話あたり2つのエピソードで展開され、各エピソードにはバラエティ豊かな豪華俳優陣が出演しています。各話、珈琲にからめたメッセージがあるのも見どころです!
ちなみに、ドラマで見られる数々の美味しい珈琲についての技術協力は、猿田彦珈琲、平岡佐智男さんが務められています。
以下では、すでに放送となったいくつかのエピソードを紹介します。
第一話あらすじ
エピソード①「人情珈琲」
垣根志麻(夏帆)は、誠実・丁寧・義理・人情をモットーに働くOL。取引先へのお礼も丁寧な手書きのお礼状を出すのが常。だが、効率重視の部長(井上肇)からは「そんなもの誰も読まないよ!」と毎日のように怒られている。もてはやされるのは、いつも、明るくて要領がいい後輩・馬場(足立梨花)ばかり。
ある日、垣根が一人寂しくランチタイムを過ごしていると、どこからともなく珈琲のいい匂いが漂ってくる。香りの先には、青山一(中村倫也)が営む移動珈琲店「たこ珈琲」があった。一杯一杯丁寧に淹れる青山の所作と珈琲の美味しさに感動した垣根は、「私も丁寧な仕事をしたいけど、そんなもの誰にも必要とされない」と愚痴をこぼしてしまう。
そんな垣根に、「見てる人はちゃんと見てくれます」と、青山は美味しい珈琲と笑顔で励ました。するとその後、青山の言葉通り、垣根の誠実さが評価されるときが訪れて……。
エピソード②「死にたがり珈琲」
「得意なことは、ただ心を無にして謝ること」という早野美咲(貫地谷しほり)はクレーム電話のオペレーター。ある休みの日、美咲はベランダで「こんな昼下がりは死にたくなる……」とぼやいていると、どこからか珈琲の香りが漂ってきた。マンションの真下を見ると移動珈琲店の青山の姿。美咲はのぞき込んだ拍子に干していたガードルを落としてしまい……。
恥ずかしさのあまり顔を赤くしながら、美咲は青山のもとへガードルを取りに行く。お詫びに珈琲を注文する美咲は、いろいろ悩みつつも結局いつも通りのカフェオレを頼む。「いつも無難な選択をしてしまう。私はどうせ個性のないカフェオレ女」と美咲はぼやく。
そんな美咲に、「カフェオレは、没個性なんかじゃないですよ。カフェラテともカプチーノともまた違うマイルドで優しい味わいになる。同じ豆でも飲み方はいろいろ。個性もいろいろです」と青山が伝える。
青山は美咲をある場所に連れて行き、カフェオレをふるまい、そのカフェオレには、ガラムマサラがほんの少し足されていた。ただそれだけで美咲の飲んだことのない美味しい飲み物になった。「ほんの少し変化を足すだけで世界ががらりと変わるんだ」と美咲は、自分も少しずつ変わっていこうと決意する。
第二話あらすじ
エピソード①「キラキラ珈琲」
ある日の青山一(中村倫也)はみかん畑に囲まれた田舎道で営業を終え、深夜、車で東京へ移動していた。すると、その車に、髪をピンク色に染めたみかん畑の娘・大門雅(山田杏奈)が、こっそり乗り込んでいた。青山は家に帰るように諭すも、雅は「田舎がイヤ!東京で何かしらになりたい」と引き下がらない。
早朝、東京に到着すると、青山は雅に、キラキラしたピンク色のかわいい珈琲・ロサメヒカーノを淹れるのだった。雅は、インスタで知り合った、礼(臼田あさ美)の世話になることになっていた。原宿でスカウトされたり、かわいいものに囲まれたり、東京への期待感がますます高まるばかりの雅。だが、雅はキラキラしているように見えた東京の現実を思い知る――。
礼の斡旋によって売春をさせられそうになった雅。間一髪のところで雅を救ったのは、青山だった。青山に助けられた雅は、今度はロサメヒカーノでなくストレートの珈琲を飲ませてもらう。
「美味しい。ロサメヒカーノが美味しかったのは青山さんの作る珈琲がちゃんとしていたからだったんだね。何かしらになりたいなら、何かしらをちゃんとやらないとダメなんだ。根っこがちゃんとしてないとダメなんだね」と雅は実家へと帰っていった。
エピソード②「だめになった珈琲」
犯罪めいたことに手を出す礼(臼田あさ美)に愛想をつかして、ルームメイト・ヤイ子(三浦透子)は礼のもとを去っていった。独りぼっちになった礼の部屋に、青山が「雅さんが部屋にスマホを忘れたそうです」と訪れてくる。青山が早速スマホを探し始めると、古びたエスプレッソマシンが出てきた。
「これ、あの頃から動かないんだよね」と礼は、かつて画家を目指して美術学校に通っていた頃の話をする。画家になりたいと必死に夢を追うものの、なかなか報われない日々。華々しく活躍する同級生との差は開くばかり。妬み・嫉み・ひがみ――様々な負の感情が礼の心を蝕みいつの間にか絵を描かなくなった。エスプレッソマシンが動かなくなったのも、ちょうどその頃だった。
「このエスプレッソマシン、直せますよ」と青山。そう言って青山は、機械にたまっていた石灰を徐石灰剤で溶かしだす。白いドロドロを吐き出すエスプレッソマシン。それと同じように礼は、心の底のドロドロした思いを吐き出した。
そんな礼に青山は「苦みを知ったからこそ描けるものがあるのでは?」と励ます。そして礼は、動き出したエスプレッソマシンとともに、再び画家として歩み出すのであった。