賃貸物件に長く住んでいるものの、実は「敷金」と「礼金」の違いがよく分からない。そんなことはありませんか?

今さら聞けない敷金と礼金の違いについて、不動産業界で働いていた筆者が分かりやすく解説します。

敷金は「預ける」お金

敷金とは、賃貸物件を借りる際に大家さんに「預ける」お金です。家賃一ヵ月分相当の場合が多いようです。

賃貸契約は基本的に2年とやや長いため、その間に家賃の滞納や借主に責任のある修繕などが発生する可能性もあります。そのため敷金を「担保」として預け、賃貸物件を貸してもらうのです。敷金は賃貸契約終了時に、使用した金額を除いて返却されます。

礼金は「あげる」お金

礼金とは、大家さんに「あげる」お金です。昔、子どもを下宿に預ける親が、「子どもをよろしくお願いします」と大家さんにお金を渡す習慣がありました。それが現代も礼金という形で残っていると言われています。礼金も敷金と同じく、家賃一ヵ月分の場合が多いようです。

よくある敷金トラブル

大家さんに渡す礼金とは異なり、敷金はのちに返ってくる可能性があります。しかし、「思ったより敷金が返ってこなかった」「追加で料金を払うことになってしまった」という事例もあるので注意が必要です。

よくある敷金トラブルは、退去時のルームクリーニング代が予想以上に多くかかること。

賃貸物件を退去する際のクリーニング費用は、敷金の範囲内で納まるのが一般的です。しかし場合によっては、住んでいる間に自然に劣化した壁紙や床材の交換費用まで敷金から払われているケースがあります。こうした「経年劣化」にあたる部分は本来、借主ではなく大家さんが負担すべき費用です。

ただ賃貸契約時点で、契約書に「退去時のクリーニング費用は借主が支払うこと」と記載されていたら、支払うしかありません。契約書に自分に不利な記載がないか、契約時にしっかり確認しておきましょう。