自信をもって声をあげよう

細分化するワーキングマザーたち「恵まれている」人は声をあげてはいけないのか?
(画像=『LAXIC』より引用)

ワーキングマザーの多くが、出産前に比べて生産性や働く意欲が上がったと感じている。にも関わらず、時短勤務を選択したために評価の対象外となってしまったり、自分よりも明らかに仕事をしていない男性社員に昇進の先を越されたりして悔しい思いをしている。

そして、悔しい思いをしているのに「私は100%完璧にできていないから」「抗議をしたりしたら厚かましいと思われてしまうのではないか」と不安になり、自分に自信が持てないが故に声を上げられずにいるのだ。

だが、考えてみてほしい。出産を機に一時的に補佐的なポジションに就いたとしよう。補佐的なポジションについた人の能力は、補佐的なものでしかなくなってしまったのだろうか? 時短勤務を選択すると、スキルや能力までダウンするのだろうか?

家事も育児も仕事も100%完璧にできていないと感じているからといって、両立のための努力を怠っているわけでは決してない。むしろしんどくて仕方ないくらい努力を続けているはずだ。

完璧ではないからといって、自分の悩みを誰かに相談したり、改善案を提案してはいけないなんていうことがあるだろうか?むしろ完璧ではないからこそ、サポートやアドバイスが必要なのに。

人は誰もが、体験していないことを完全に理解することはできない。理解のギャップを埋めるためには、思いを言葉にして発信し続けるしかないのだ。

実際に声を上げてみると、思いのほか共感して、アドバイスや励ましの言葉をもらえることが多い。もちろん厳しいご意見をいただくこともある。反感を買わないように日頃から努力を重ね、伝え方に配慮することも必要だ。声を上げることは何度やっても毎回勇気がいることもあえて付け加えておく。

「特別」「恵まれている」と言われるような環境も、そうやって多くの人が勇気を出して声を上げ、努力してきた結果でもあるのだ。

声をあげている人は宇宙人なんかじゃない

細分化するワーキングマザーたち「恵まれている」人は声をあげてはいけないのか?
(画像=『LAXIC』より引用)

一方で、歯を食いしばって仕事に家事に育児に奔走していると、自信を持って声を上げるどころか「私はあんな風にできない」とますます絶望的な気分になってしまう気持ちも、痛いほど理解できる。私自身、育休から復帰して数年はまさにそんな心境で、しっかりと自己主張し道を切り開くワーキングマザーたちを宇宙人でも見るような気持ちで眺めていた。彼女たちと同じように声を上げられないでいることに劣等感を感じ、素直に応援できない心の狭さに自己嫌悪を募らせた。

だが、徐々に子供が手を離れ、適度に家事の手を抜くことを覚え、限られた時間の中でも仕事で結果を出せるようになってきた今、見える風景が少し変わってきたように感じる。時間と気持ちに余裕ができたことで、声を上げる人に素直に共感できるようになってきた。そして気が付けば徐々に自分でも声を上げるようになってきたのだ。

今なら少しわかる気がする。声を上げるワーキングマザーたちは、別に宇宙人なんかじゃなかったのだ。

私の周りには、声を上げられないままモヤモヤを抱えて悩み続けるワーキングマザーがあふれている。

今すぐに声を上げることが難しくても自分を責めないでほしいし、自分よりも大変なのに頑張っている人がいるからと遠慮して、声を上げることを躊躇しないでほしい。

私たち女性には、自ら細分化して溝を作っている暇はないのだ。目の前のことで精いっぱいな人がいてもいいし、問題提起し、解決に向けて動く人がいてもいい。大切なのはそれぞれの立場を尊重することだ。尊重しあうことで、声も上げやすくなる。

声を上げてくれる人が増えれば、さらに多くの人が勇気を出して声を上げることができるようになる。しかも声を上げるのはワーキングマザーに限らないかもしれない。ダイバーシティを必要としているマイノリティはワーキングマザー以外にもたくさんいる。

幸いなことに、自信は他の能力同様に後天的に身につけることができるそうだ。今、私たちワーキングマザーに必要なのは自信を持って声を上げること。そして、声を上げる人のことを自信を持って応援し、起きている変化の歩みを緩めるのではなく、加速させることだ。私たちのこどもたちが、私たちと同じような悩みに悶々として自信を失うようなことにならないためにも。

吉井 直子

神奈川県出身、東京都在住。大学卒業後、大手IT企業に就職。その後数回の転職では外資系企業での製品/デジタルマーケティングを経験。グローバルな環境で多様な人材・働き方の中で切磋琢磨する厳しさと楽しさを覚える。転職の合間に二人の娘の出産を経て、現在はフリーランスのマーケテイング・プランナーとして自分らしい働き方を模索中。「目の前の問題を言葉にして解決への一歩を踏み出すことを目指す“カエルチカラ・プロジェクト”の「なかのまどか言語化塾」一期生。

「カエルチカラ・プロジェクト」は、目の前の課題を変えるための一歩を踏み出せる人を増やすことを目指すプロジェクトです。

女性を中心に何らかの困難を抱える当事者が、個人の問題を社会課題として認識し、適切に言語化し、データを集め、発信することで、少しでも改善の一途につなげたい。「どうせ変わらない」という諦念、泣き寝入りから「問題を解決できる」「社会は変えられる」と信じることができる人が増えることを願っています。

発起人: WILL Lab 小安美和、研究機関勤務 大嶋寧子、ジャーナリスト 中野円佳

細分化するワーキングマザーたち「恵まれている」人は声をあげてはいけないのか?
(画像=『LAXIC』より引用)

提供・LAXIC

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