資産形成をするにあたり、貯金と投資の割合をどのくらいにするかは、誰もが悩むところでしょう。
貯金は元本割れしないことが最大の強みですが、インフレで価値が目減りするリスクを抱えています。
一方で、投資商品のほとんどは元本保証もなくリスクがつきもの。
大きく資産を増やせる可能性のある反面、損をしてしまうこともあります。
貯金と投資それぞれの強みと弱みを補い、効率良く資産形成をするには、どちらかにかたよることなく適切な割合で保有することが重要です。
そこで、この記事では
・年代別の貯金と投資の割合
・貯金と投資の割合を決めるポイント
・資産運用のリスクを軽減する方法
・リスク許容度で選ぶおすすめ投資
について解説していきます。
自分に適した貯金と投資の割合が知りたい方は、最後まで読んでみてくださいね。
貯金と投資、どのくらいの割合にしてる?
日本人の貯金と投資の割合は、どのくらいなのでしょうか。
金融広報中央委員会のウェブサイトで公開されている「年代別にみた金融商品保有額の種類別構成比(2019年)」から、各年代の貯金と投資の割合をチェックしてみましょう。
世帯当たりの金額平均をチェック
以下は「年代別にみた金融商品保有額の種類別構成比(2019年)」(※)の表です。
年代別にみた金融商品保有額の種類別構成比(2019)
預貯金 | 保険 | 有価証券 | その他 金融商品 |
|
全 体 | 42.7 | 33.7 | 19.6 | 3.8 |
20歳代 | 48 | 25.5 | 8.6 | 17.9 |
30歳代 | 50.3 | 31.2 | 11.2 | 7.2 |
40歳代 | 42.3 | 43.3 | 8.9 | 5.5 |
50歳代 | 37.2 | 42.6 | 14.4 | 5.8 |
60歳代 | 43 | 30.8 | 23.2 | 3 |
70歳代 | 45.1 | 27.5 | 25.2 | 2.2 |
この表によれば、全世代での預貯金の割合は約4割、投資(有価証券・その他金融商品)の割合は約2割ということになります。残りは保険です。
同じく金融広報中央委員会が公開している「家計の金融資産と種類別構成比の変化」と照らし合わせても、1994年以来、貯金と投資の割合に大きな変化は見られません。
金融資産の半分を貯金し、2割を投資に費やす。
これが日本人の貯金と投資の割合の傾向だといえます。
続いては、20~50代以降の各年代の貯金と投資の割合について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
※出典:知るぽると「年代別にみた金融商品保有額の種類別構成比」(2019年)
20代は預貯金の割合が大きい
20代の金融商品保有額の種類別構成比(2019)
預貯金 | 保険 | 有価証券 | その他 金融商品 |
|
全 体 | 42.7 | 33.7 | 19.6 | .3.8 |
20歳代 | 48 | 25.5 | 8.6 | 17.9 |
全体と比べ、20代は預貯金の割合が多いです。
20代は社会人として働き始めたばかりの世代のため、他年代よりも金融資産額が少ないと想像できます。
そのため、リスク資産(投資)よりも安全資産(貯金)の割合が高い傾向にあるのでしょう。
また、若手のうちは、社内預金や財形貯蓄といった貯蓄制度を利用する人が多いことも影響していると考えられます。
30代はライフイベントに備えた割合
30代の金融商品保有額の種類別構成比(2019)
預貯金 | 保険 | 有価証券 | その他 金融商品 |
|
全 体 | 42.7 | 33.7 | 19.6 | .3.8 |
30歳代 | 50.3 | 31.2 | 11.2 | 7.2 |
30代は預貯金の割合が5割を超え、全年代の中で最も高い割合となっています。
30代はライフイベントでの支出がかさむ年代。
住宅購入の頭金や子どもの学費など、大きな資金の捻出に追われる時期です。
流動性に優れる預貯金の割合が、他年代より高くなっても不思議ではありません。
40代は保険の割合が増える
40代の金融商品保有額の種類別構成比(2019)
預貯金 | 保険 | 有価証券 | その他 金融商品 |
|
全 体 | 42.7 | 33.7 | 19.6 | .3.8 |
40歳代 | 42.3 | 43.3 | 8.9 | 5.5 |
預貯金の割合は全体とほぼ同水準なのに対し、投資の割合は他年代よりも低く15%を切る40代。
その分、保険の割合は全体と比べ9.6%も高くなっているのが特徴的です。
40代は子どもの学費で多額の資金が必要となる世代のため、貯蓄型の生命保険などで万が一に備えつつ資産形成を図っているものと推測できます。
50代以降はバランス良く
50代の金融商品保有額の種類別構成比(2019)
預貯金 | 保険 | 有価証券 | その他 金融商品 |
|
全 体 | 42.7 | 33.7 | 19.6 | 3.8 |
50歳代 | 37.2 | 42.6 | 14.4 | 5.8 |
60歳代 | 43 | 30.8 | 23.2 | 3 |
50代以降は、預貯金・保険・投資へバランスよく資産配分している様子が見て取れます。
定年退職を意識する世代ではありますが、意外にもリスク資産である投資の割合が、他世代と比べて若干高い傾向です。
子どもが自立し、老後の生活に向けて本格的に資産形成を考え始めるのが50代以降ということの表れでしょう。
貯金と投資、割合を決めるポイント
貯金と投資の割合に正解はありません。
なぜなら、人によって金融資産額や生活状況、リスク許容度が異なるためです。
先に紹介した「年代別にみた金融商品保有額の種類別構成比」を参考に、自分にとって適切な貯金と投資の割合を考えましょう。
そこで、貯金と投資の割合を決める際のポイントを3つ紹介します。
・リスクの許容度で決める
・ライフプランとお金を結びつける
・目的をしっかり設定する
貯金と投資の割合をどうするか悩んでいる方は、ぜひ続きを読んでみてくださいね。
リスクの許容度で決める
貯金と投資の割合を決めるポイント1つ目は「リスク許容度で決める」です。
元本が保証されている貯金に比べ、投資にはリスクがつきもの。
投資する金融商品によって想定されるリスク幅に違いがあるため、自分のリスク許容度を見極めた上で、投資の割合や投資先を決めることがポイントです。
具体的には、投資した商品が最悪のパフォーマンスをした際に許容できるかを基準に判断するのがおすすめです。
ライフプランとお金を結びつける
貯金と投資の割合を決めるポイント2つ目は「ライフプランとお金を結びつける」です。
ライフプランとお金は密接に関係しているため、ライフステージによって最適な貯金と投資の割合も変わっていきます。
ライフプランをしっかりと立てることで、貯金と投資の割合をどう変えていくと良いのか見えてきますよ。
目的をしっかり設定する
貯金と投資の割合を決めるポイント3つ目は「目的をしっかり設定する」です。
ひとことで資産形成といっても、その目的は住宅購入資金・子どもの教育費・老後の生活費などさまざま。
資産形成の目的をしっかり設定し、何のために・いつまでに・いくらくらいのお金が必要なのかを明らかにすれば、具体的な運用プランが立てやすくなります。
資産運用のリスクを軽減するには
貯金と投資の割合を決めると同時に、運用のリスク軽減を行うことが資産形成のためには不可欠です。
そこで、資産運用のリスクを軽減する方法を3つお伝えします。
・最低でも3か月分の生活費を残す
・生活費の口座は分けておく
・投資先をひとつに限定しない
投資で大きな失敗をしたくない方や、安定運用で資産形成を目指したい方はぜひ参考にしてくださいね。
最低でも3か月分の生活費を残す
投資はリスク資産。
一時的に含み損が出ることも珍しくないため、「すぐに使わないお金」を使うことが鉄則です。
運用の途中でやむを得ず中断することになれば、大きな損をしてしまうかもしれません。
不測の事態が起きたときに備え、最低限の生活資金は預貯金などの流動性の高い資産で保有しておくとリスク軽減できますよ。 投資をする際は、貯金すべてをつぎ込むのではなく、少なくとも3か月分の生活費は確保しておくことをおすすめします。
生活費の口座は分けておく
生活費と投資資金は、別々の口座に分けておくようにしましょう。
生活費の口座には、いざというときに生活を守る「生活防衛資金」を蓄え、誤って投資に使ってしまわないように管理を行います。
「投資に使ってもいいお金」と「使ってはいけないお金」を明確に分けておくことで、上手くリスクのコントロールができますよ。
投資先をひとつに限定しない
投資のリスクを軽減するには、投資先をひとつに限定せず、分散投資をするのが効果的です。
分散投資の方法には「資産・銘柄の分散」「地域の分散」「時間の分散」がありますが、投資先をひとつに限定しないことは「資産・銘柄の分散」にあたります。
たとえば、ある会社の株式に1点集中で投資を行った場合、その会社が倒産してしまえば大金を失うことになりますよね。
では、複数の会社の株式や投資信託、債券など、さまざまな金融商品に分散投資をした場合はどうでしょうか。
ひとつの投資先で失敗しても他の投資先の利益でカバーできるため、リスクヘッジができるというわけです。
【リスク許容度で選ぶ】おすすめ投資
貯金と投資の割合を決めた方も、具体的にどんな投資を行うかは悩みどころですよね。
そこで、ここからはリスク許容度で選ぶおすすめの投資について解説します。
・【低】公共債
・【低~中】投資信託
・【中~高】株式投資
自分に適したリスク許容度の解説を読んで、投資する金融商品を選ぶ際の参考にしてくださいね。
【低】公共債
なるべくリスクの低い商品を探している方におすすめの投資方法は「公共債」です。
公共債とは、国や地方自治体が発行する債券のこと。
金融商品の中でも信用度が高く、リスクが低いという特徴があります。
たとえば「個人向け国債」は、元本割れなしで一般的な預金口座よりも高い金利がつく金融商品です。投資で絶対に損をしたくない方に適しています。
【低~中】投資信託
中程度のリスクを取れる方におすすめの投資方法は「投資信託」です。
投資信託は、多くの投資家から少しずつ資金を募り、運用会社が複数の投資先へ分散投資を行う仕組みの金融商品。
商品によって運用方針や投資先が異なるため、リスクもさまざまです。
元本割れするリスクはありますが、少額から始められ、1本で複数の投資先への分散投資が可能なのは大きなメリット。
また、投資信託の運用はプロが行うため、初心者でも取り組みやすい投資方法といえます。
NISAやつみたてNISAの口座で投資信託を購入すると、運用益にかかる約20%の税金が非課税になるため、節税しながらの運用ができますよ。
ぜひ有効活用しましょう。
【中~高】株式投資
高めのリスク・リターンを求める方におすすめの投資方法は「株式投資」です。
株式会社が発行する株式に投資する方法で、相場の変動を利用して売却益を得る・株主に分配される配当金を得るなどして運用益を狙います。
相場変動リスクや企業倒産リスクはあるものの、投資先の企業が成長すれば大きなリターンを見込めるのが株式投資の魅力です。
株式投資でリターンを得るには、企業の成長性や収益性を見極める目が必要となります。
衝動買いせず、投資先をよく吟味することが大切です。
お金の不安や悩みはプロにチャット相談してみよう
この記事では、年代別の貯金と投資の割合について解説しました。
あわせて、貯金と投資の割合を決めるポイント・リスクを軽減する方法・おすすめの投資についても紹介しました。
人によって、また同じ人でもライフステージによって、適切な貯金と投資の割合は変わってきます。
そのため、一度はライフプランを作成して資産形成の計画を立てるのがおすすめ。
自分でライフプランを作るのが難しい場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)などお金のプロに作成してもらいましょう。
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