「言わなくても察してほしい」と思って過ごしていると、相手が期待通りの対応をしてくれないと、不満を募らせる……そんな悪い循環を引き起こします。でも、他人の要求や期待を正確に察知し応えるなんて、まず無理です。自分が思ったことや期待することは、明確に伝えなければ伝わらないし、自分も理解できていないと自覚しておいたほうがいい。

若いころ、仕事に遊びに毎日忙しい男性と付き合っていました。彼は多趣味で友人が多く、後輩からも慕われていました。付き合いはじめのころから、会うのは月に2回程度。連絡もまめじゃないし、愛情表現もほぼありません。

「本当に好きなの?」と聞いても、「付き合っているんだからそういうことでしょ」とだけ。そのうえ彼はとてもモテて、男性がご飯を奢るのが当たり前だった時代に、女性の方から「奢るから会って」と言われるほど。私はいつも心配ばかりしていました。

■ひとり相撲で彼と別れてしまった思い出

あるとき、彼からの連絡がプツッと止まりました。意地を張って私からも連絡をしないでいたら、いつの間にか2カ月が過ぎていました。そこで、これはもう私は彼にとって必要ないのだと思ってしまったのです。

さらに妄想が広がり、彼には他に女性がいて、私とはこのまま自然消滅したがっているのではないか、とまで思い詰めるようになりました。2カ月ぶりに私が彼にした連絡は、「もう、別れたほうがいいのかなと思っている」というもの。

別れを言い出せない彼の代わりに、私から言ってあげようという勝手な忖度と、「それは嫌だ」と言ってくれないかなという、これまた勝手な希望を込めての連絡でした。ところが彼からの返事は、それは落胆する内容でした。

「聡子がそうしたいならいいよ」

これを聞いて、やっぱり彼は別れたかったのだと落ち込み、そのまま別れてしまいました。ところが、これが私の勝手な思い込みが原因だったとわかったのは、それから何年も経って、彼と再会して話をしてからでした。

他に女性がいるというのも自然消滅したがっているというのも、すべて私の勝手な思い込み。私にとって長く苦しい2カ月間も、仕事に遊びに忙しい彼にとっては短いものだったようですし、彼は彼で、連絡をしない私が怒っていると思って様子を見ていたのです。

■「相手への期待」を諦めたらラクになる

人を思いやるのは尊いことですが、「言わなくても察してくれ」という要求は、考えてみればずいぶん図々しい甘えです。相手に対する要求のハードルを自分勝手に上げて、それに応えてくれないから相手が悪いと決めつけてしまう。

夫婦や恋人、同性同士の人間関係でも、親子や仕事上の関係でも、相手に不満を募らせる原因の多くは、こういった相手に対する過剰な期待ではないでしょうか。

もちろん、当の本人はそのことに気づかず、相手が理解して当たり前だと信じて疑いません。しかし、相手の要求や期待を正確に察知し、応えてくれるなんて、超能力者でもない限り無理な話でしょう。

私たちは知らず知らずのうちに、相手に超能力者であることを求めているのでしょう。それに相手だって、期待を薄々感じながら応えたくないことだってある。だから、最初からそこを諦めてしまえば、お互いいろいろと肩の荷が降りるのではないでしょうか。

要求や期待は、明確に伝えなければ伝わらない。伝えるときには、わざわざ伝えることに対する苛立ちを見せずに、冷静に伝える。そのうえで、要求や期待に応えられない場合もあることを想定し、許容する。そりゃそうですよね、相手は他人なのだから。

「察する」の強要と「察したつもり」の妄想をやめたい
(画像=期待を捨ててしまえばなんだかスッキリ、『DRESS』より引用)

■サプライズの喜びは大げさに示そう

「言わなくても察してくれ」という要求や期待は、世界中の誰もが抱く気持ちだとは思います。特に同質性が高い日本人の場合、「常識」とか「当たり前」といった言葉で、強く相手に求める傾向があるのかもしれません。

最近できた中国人の友人から、こんな話を聞きました。日本に来てから「社交辞令」に困惑したのだと。中国人が「家に遊び来てね」と言ったら、本当に遊びに来てほしいのですが、日本人は「今度行くね」と笑顔で言ってもなかなか遊びに来ない。

最初の頃は、「行くね」と言ったのに来ない理由がわからなくて、「ねえ、いつ遊びに来るの?」と何度も催促の電話をしてしまったそうです。

ちょっと即物的にも感じますが、これから進むグローバル化を考えれば、自分が思ったことや期待することは、明確に伝えなければ伝わらないのかもしれません。また、相手にむやみな期待を持たせるような、あいまいな言動をしないということが、新しい常識になっていく予感がします。

一方で、期待を超えるようなサプライズをしてもらったときには、どうでしょうか? そういうときには、想定外の喜びと感謝の気持ちを、素直に相手に伝えればいいでしょう。照れて何も言えずにいたら「この人、嬉しくないんだ」と思われてしまうので、やや大げさめにした方がいいのかもしれませんね。

ちなみに、私は感謝の気持ちをあらわすのが下手で、多くのタイミングを逃してきました。特にサプライズの瞬間は何も考えられなくて対応できず、あとからジワジワと理解と感謝の気持ちが芽生えるのですが、そのときにはもう相手は目の前にいません。鈍いのでしょうか……。

そんな不器用な人を好きになってくれるマニアックな人がいて助かりましたが、感情表現はすぐに、そして大げさにすることを強く強くおすすめします。


提供・DRESS(「人生を守る知恵、未来を歩く地図」となる言葉や人物、文化を伝えるウェブメディア)

【こちらの記事も読まれています】
【星座占い】12星座別 2020年下半期の運勢まとめ
ダイエットの「我慢」「辛い食事制限」という考え方は今すぐ捨てる
【手相占い】結婚線の見方 - プロの占い師が伝授します
VIO脱毛体験記。あまりの激痛にめげそう
ヘアケアおすすめ商品。 硬い、太い、多い髪をしなやかにする手触り