定年前に仕事を引退する「アーリーリタイア」は、労働やお金の心配とは無縁で自由な時間を確保できるイメージなどから、憧れる方も多いようです。アーリーリタイアとはどんなものなのか、いくらくらいの資産があれば実現できるのか解説します。

アーリーリタイアとは

アーリーリタイアは日本語で言うと「早期退職」、定年を前にそれまでの仕事や会社を辞めて引退することを指します。

アーリーリタイアと似た意味を持つ「FIRE」も近年注目を集めています。これは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、お金の心配をせずに済むような状態を作って早々に引退することです。

・アーリーリタイアのメリット

メリットはなんといっても悠々自適に過ごせるという点です。仕事や会社に縛られず、好きな場所に住みながら毎日好きなことをして暮らしていけるのは幸せなことでしょう。

・アーリーリタイアのデメリット

アーリーリタイアを達成した人の中には、最初は解放感でいっぱいでも、その後しばらく経つと孤独感や退屈さで悩んでしまう人もいます。また、貯金がどんどん減っていったり運用に失敗して資産が減ったりすることに動揺してしまうケースも。

アーリーリタイアするならいくら必要?

アーリーリタイアするならいくら必要か、それはその人の年齢やリタイア後の理想の暮らしなどによって大きく違います。自分に必要な金額を知るために、収入と支出を具体的にシミュレーションしてみましょう。

40歳独身のシミュレーション例

・40歳~65歳までの25年間:生活費20万円/月
⇒20万円×12ヵ月×25年=6,000万円

・65歳~85歳までの20年間:生活費18万円/月、受け取れる年金8万円/月
⇒(18万円-10万円)×12ヵ月×20年=2,400万円

6,000万円+2,400万円=8,400万円

もっと長生きしたときのことや途中で病気や介護などに見舞われたりする可能性などを考えると、1億円ほど用意することを目指したいところです。

ただ、貯金だけで用意しようとするより、投資も組み合わせるのが効率的です。たとえば5,000万円を年5%で運用できれば年間250万円使ってもお金が減らずに済みますので、この例の方なら充分暮らしていけるでしょう。

50歳・夫婦・子ども1人のシミュレーション例

・50歳~55歳(子ども独立)までの5年間:生活費35万円/月
⇒35万円×12ヵ月×5年=2,100万円

・55歳~65歳までの10年間:生活費27万円/月
⇒27万円×12ヵ月×10年=3,240万円

・65歳~85歳までの20年間:生活費24万円/月、受け取れる年金20万円/月
⇒(24万円-20万円)×12ヵ月×20年=960万円

2,100万円+3,240万円+960万円=6,300万円

養う家族が多いと生活費がかさむため、必要な資金は多くなります。ただ、リタイア年齢が高いほど定年まで働いたときとの年数の差がなくなってくるため、この例では先述の40歳独身の例よりも必要な資金が少なくて済みます。もちろんこの場合も、運用でうまくお金を増やすことを考えたいですね。

アーリーリタイアの実現のためにできること

アーリーリタイアに必要なのは次のようなことです。

・お金のリテラシーを高める

お金に困らない生活を送るためには、「入ってくるお金」「出ていくお金」「貯蓄に回すお金」のすべてに気を配りましょう。正しい知識を身に付けて、生活コストを見直して無駄な支出を省きつつ、貯金と投資を使いこなすことが大切です。

・アーリーリタイアの目的を明確にする

幸せなアーリーリタイア生活を送るために、その目的を明確にしておきましょう。「仕事から逃れたい」というネガティブなものではなく「海辺に住んで毎日サーフィンするため」のように理想の暮らしとリンクしたものにすると、リタイア後にぽっかりと燃え尽きたり退屈になったりする事態を防げます。

アーリーリタイアを目指すなら

アーリーリタイアを目指すなら、そのメリットとデメリットを知ったうえで、シミュレーションして具体的な目標を立てて近づいていくようにしましょう。生活費の節約や資産運用の検討はいつでも誰でもできますし、アーリーリタイアしなくても役立ちますので、まずはこうしたところから始めてみるのも1つの方法ですよ。

文・ばばえりFP事務所代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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