昨年ジェンダーギャップ指数ランキング114位となった日本の現状を嘆いた読者も多いのではないでしょうか。では隣国、中国のジェンダーギャップ指数ランキングの順位はいくつだったがご存知ですか? 中国の産休、育児事情をランキング結果とともに紹介します。
昨年「ジェンダーギャップ指数ランキング」が世界144カ国中114位となった日本の現状を嘆いた方も多いのではないでしょうか。
では隣国、中国のジェンダーギャップ指数ランキングの順位はいくつだったがご存知ですか? 実は日本より上の100位でした。中国のメディアはこの結果について「3ケタの順位に落ちてしまった」と嘆く論調で伝えています(2016年は99位)。
ジェンダーギャップ指数の項目は、「経済活動への参加と機会」(経済参画)「政治への参加と権限」(政治参画)「教育の到達度」(教育)「健康と生存率」(健康)の4つです。
中国と日本の指標ごとの順位を見てみましょう。中国は経済86位、政治77位、教育102位、健康144位。日本は経済114位(前年より上昇)、政治129位(前年より下降)、教育76位、健康1位です。
この結果を見ると、中国は日本と比べて、経済参画、政治参画における不平等の指数は小さいということがわかります。ただしジェンダーギャップ指数は、ある国家における平等のレベルであり、他国との比較ではない点に注意が必要です。
たとえば、2017年のカンボジアの順位は中国を上回りますが、この結果をもってカンボジア女性の平均教育水準が中国よりも高いということにはなりません。あくまでもカンボジアにおける男女間の格差は中国より良いということを意味します。
■役員やマネージャー層に女性が少ない中国
中国の経済参画の男女格差についての結果からは、無償労働は女性の方が多く、上場企業の社長はほとんど男性ということがわかります。この傾向は日本と変わらないようです。
中国の報道によれば、経済参画のスコアは世界平均を上回るものの(中国0.654、世界平均0.585)、マネージャー層には女性が少ない(中国0.201、世界平均0.320)と伝えられています。
■中国では夫婦だけでなく、両親も子育てに参加
「教育」の項目で比較されているのが男女の「産休」期間です。中国には「育休」はなく、産後休暇として、女性は産後約4カ月特別休暇があります。
省ごとに定められた男性の産休取得の規定もあり、7〜10日の休暇が取得可能です。こういった環境の中、男女別で取得される産休の平均日数は女性は128日(約4カ月)、男性は3日となっています。
男性の休暇期間が劇的に短いのは日本と同じと言えるでしょう。一方で女性の職場復帰も早く、「子育ては母親の役割ではない」という社会通念があることがうかがえます。この点は日本とは大きく異なるようです。
中国には保育園はなく、子どもの母親の両親や父親の両親を頼るのが一般的で、入園できる歳になると幼稚園に通わせます。そのため完全母乳どころか母乳育児へのこだわりも、筆者のまわりでは大きくないように感じます。
こういった日本との違いは、共働きでないと生活が難しいといった経済事情による、「性別に関わらずお金を稼ぐための仕事はするもの」という考えと、「結婚して子どもを産む」ことに対する規範意識の強さ、加えて保育園がないというインフラ不足という環境であれば、当然の結果ともいえます。
それでも、当事者の考え方によっては日本よりも子育てが楽な環境になりそう、と考えるのは筆者だけではないはずです。
■恋愛トークで見える日本の「日常」の違和感
ちなみに、中国の離婚件数は年々上昇しています。離婚率の高い地域は、年収や一人当たりGDPといった経済的な要因とは相関関係がなく、その地域での女性の地位の高さが関係しているそう。
一方で、私は堂々と「離婚した!」「再婚した!」と話す中国人には、まだお目にかかったことがありません(私の友人の範囲が狭いのかもしれません)。
絶対に取れない道ではないけれど、積極的な選択肢とは到底みなされないようです。
昨年は上海で男女平等をテーマにしたフォーラムが開催され、メディアでは北欧の男性の4カ月間の育児休業奨励の施策について紹介されていましたが、ひとつの事例としての紹介にとどまっている印象です。
中国では現状両親頼みの育児が成り立っていて、夫婦ふたりだけで家事や育児をシェアする必要性が低いため、育児休業という施策には目線が行かないのかもしれません。
男女関係における男女平等の意識でも、日本のそれとは少し違う印象を受けることもあります。筆者は中国人の友人から「日本の女性は男性の意見を容易に受け入れる傾向があると思う」「日本の男性は女性が自分に従うべきと考えているから、恋愛、結婚対象として付き合いづらいところがある」などの意見を聞いたことがあります。
私たちが日本で、夫婦間含め人付き合いで知らず知らずのうち従っている「こうあるべきだ」「こうで仕方ない」という常識。近いようで遠い中国の様子を知ることで、新しい視点から向き合い、場合によってはより気軽に生きることができるようになるのではないでしょうか。
引き続き中国のニュースを紹介しながら、日本そして中国の女性の生きる世界について考えていきます。
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