貯金が全くないと悩んでいる人でも、実は少しの工夫をするだけで貯金をすることはできます。たとえ貯金が本当にない状態でも、家計が支出を収入よりも抑えることができれば貯金ができるでしょう。しかし、そう簡単に実行できるとも限らず、貯金がないと悩む人は意外にも多い傾向です。そこで、この記事では貯金ゼロの人が貯金を作ってそれを増やしていくための具体的なステップや行動について説明していきます。

1. 貯金がない人の割合

金融広報中央委員会は、家計運営をサポートするために金融経済情報の提供、および金融経済学習の支援を行っている組織として有名です。金融経済団体や報道機関、学識経験者などで構成されている組織で、毎年「家計の金融行動に関する世論調査」をサポートの一環として実施しています。平成30年度に実施された調査によると、2人以上の世帯のうち金融資産がない(貯金をしていない)と回答した人の割合は約22.7%です。およそ5世帯に1世帯が貯金をしていないという厳しい状況といえるでしょう。

単身世帯を対象とした調査でも、およそ3世帯に1世帯が金融資産を保有していないと回答、つまり約38.6%の世帯が貯金をしていないと答えています。上記のことから分かることは、扶養家族がいる世帯もそうでない世帯も貯金をしていない人たちは一定数いるということです。もちろん、貯金している人が圧倒的に多い状態なのですが、調査からも分かるように生活していくのだけで精一杯という人たちは決して少なくありません。

単身者かつ高収入の世帯は、給与が多い分貯金をしている人も多くなっています。一方で、低収入の世帯では、生活費が占めている割合が大きいので貯金をしている世帯は少なくない傾向があるのです。しかしながら、年収300万円未満の世帯の半数以上が貯金を持っていると回答しているので、必ずしも収入の高低差が原因とは言い切れないでしょう。

2. なぜ貯金が大切か

2.貯金がない!ゼロから貯金を作るための具体的なステップとは?
(画像=『オカネコ』より引用)

貯金をすることの大切さは、経済的な困窮に直面してからでないと実感しにくいものです。若いころは、身体も健康なことが多く比較的貯金がなくても生活をしていくことはできます。そのため、老後のことまで考えがいたらないという人も多いのではないでしょうか。実際に、貯金をしない状態のまま老後を迎えて、年金生活を送っている人もいます。しかし、貯金をしていないばかりに、老後や想定外のトラブルが発生したときに困った事態に陥る人も多くいるのです。

ここからは、上記で紹介した平成30年度に実施された「家計の金融行動に関する世論調査」を基に、なぜ貯金することが大切なのかを紹介していきます。この世論調査では、2人以上の世帯に金融資産を保有する目的についてアンケートを行った結果が掲載されています。その中で回答の多かったものが下記の3つで、その全貌を知れば貯金をすることが侮れない理由が分かることでしょう。

2-1. 老後の生活資金に必要

老後の2000万円問題がニュースで取り上げられてからというもの、老後の生活資金について日本国内で関心が高まっています。そもそも、老後の2000万円問題とは金融庁が年金とは別に2000万円の資産が必要だと2019年の報告書で公表したことがきっかけで起こったものです。医療の発展に伴い、日本人の寿命が飛躍的に伸びていることが要因となっています。厚生労働省が発表している平成30年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.25歳、女性は87.32歳と男女ともに平均寿命が80歳を超えていることが分かります。

少なくとも定年を迎えてから約30年は生きることを前提とすると、年金では到底足りないというのが政府の見解なのです。この報告書は、のちに撤回されましたが国民の不満を受けて取り消しただけなので、老後に対する不安を漠然と抱えている人は多いのではないでしょうか。そこで、実際にどのくらい老後に生活費がかかるのか、総務省統計局が発表している家計調査年報2018年版を参考に算出してみました。調査年報によれば、夫婦のみの世帯で夫が65歳、妻が60歳で共に無職の場合は、社会保障給付を平均月額20万3824円もらっているというデータが出ています。

しかし、もらえるお金に対して出ていくお金は、食費や住居費などを含めると平均月額23万5615円となり赤字です。さらに、健康保険料など非消費支出に平均月額2万9092円かかることを考慮すると、社会保障給付だけに頼るわけにはいきません。毎月6万円程度不足する分を自分で補てんする必要があるため、30年間赤字状態が続けば約2160万円は必要となります。このことからも、老後の生活費が足りなくなることを見越して、貯金をしておかなくてはいけないと悩んでいる人は多い傾向です。

2-2. 病気や災害への備えに必要

貯金がないと、いざというときに困る場面が出てきます。例えば、病気や災害などの予測できない事態が起こったときです。有事の際に余分なお金を持っていないと、治療費や損失分を捻出できるどころか、生活費の支払いさえも危うい可能性があります。病気による医療費は医療保険、災害に関しては保険や公的補助を活用することも可能です。しかし、あくまでも病気や災害に関する損失分しか補てんできないので、それにより職がなくなったとしても、その後の生活が保障されるわけではありません。

職を失ったら次の職に就くまで収入がない状態が続くため、足りない分は貯金から捻出することが必要です。このような状態に陥った場合の生活防衛費は、給与の手取り額の6カ年分程度あることが望ましいといわれています。そのため、万が一働けなくなったときのためにも、貯金はしておくことに越したことはないのです。

2-3. 子どもの教育資金に必要

子どもがいる世帯では、夫婦のみの世帯や単身世帯よりもお金がかかることを頭に入れておく必要があります。子どもが大きくなったときに、小中高大と「公立に進むか」「私立に進むか」でも教育資金の負担は大きく異なるのです。もし幼稚園から高校まですべて公立に通わせると、子どもが高校を卒業するまでに約540万円はかかるといわれています。一方で、幼稚園から高校まですべて私立に通わせると約1770万円も必要です。

さらに、大学まで進むとなるとさらに負担は大きくなり、国公立で約500万円、私立文系が約730万円、私立理系は800万円程度必要になります。大学に関しては希望する学部によってもかかる費用は前後するので一概にはいえませんが、子どもの教育資金は総額1000万円以上かかる可能性があるといえるでしょう。生活費を仕送りするなど子どもを支援する場合は、さらに費用負担が大きくなることを覚悟しなくてはいけません。上記は、あくまでも教育資金だけなので大学を出るまでの22年間分の養育費、食費や医療費などで平均1640万円が上乗せされます。子どもの将来のためを考えるのであれば、早い時期から教育資金の貯蓄が必要です。

3. 貯金ができない人の特徴

どうして貯金ができない人が一定数いるのでしょうか。なぜなら、貯金ができない人は共通して貯まらない行動を取ってしまいがちだからです。ここからは、貯金がない人の特徴を3つ挙げていくので、いずれかの行動に当てはまる場合は意識して改善していきましょう。

3-1. 先取り貯金をしていない

主婦が「今月は出費が多くて赤字になった」と言っているシーンを漫画やドラマなどで見かけたことはありませんか。実をいうと、こういったシーンで使われている赤字は、収入よりも出費が多くなったという意味ではない場合があります。例えば、あらかじめ貯金分を引いた状態で生活費を捻出し、足りなかったときに貯金分から支払っていることを赤字といっている場合があるのです。そのため、このケースは貯金ができているといえます。手取り額から最初に貯金分を取るのは、先取り貯金といって堅実に貯金をしていくにはおすすめです。お金が貯まらない人は、先取り貯金をしていないことが多いといえるでしょう。

なぜ先取り貯金がおすすめかというと、手取り額からその都度生活費を捻出していては、想定しているよりもお金が残らないことが多いからです。余った分を貯金にする方法では、しっかりと生活費を管理しないと貯金はなかなか貯まりません。今の時点で貯金がない人は、お金の管理が得意ではないことが考えられます。そのため、残った分を貯金するという考えでは、つい使い過ぎてしまうことも十分にあり得るでしょう。それよりも、給与が振り込まれたらすぐに別口座に貯金するなどして、残ったお金で生活費を賄うほうが確実に貯金は作れて管理が楽だといえます。

3-2. 不要なものを購入してしまう

不要なものを購入してしまうと、出費が多くなるので当然貯金に回すお金も少なくなります。手取り額を丸々使ってしまう傾向がある人は、家の中の様子を見渡してみてください。部屋の面積に対して物が多い状態の人は、余分なものを購入している可能性が高いといえます。日ごろから「何かを購入したら、それを置くために別の物を処分する」という癖をつけると良いでしょう。購入したら何か手持ちの物を破棄するという思考が定着すれば、衝動買いを抑えることが期待できます。また、部屋も散らからないため、持っている物が確認しやすくなり、本当に購入すべきものを把握しやすくなります。

ただし、部屋に物が少なくてもブランド品など高価なものを購入していたり、お菓子やビールなど食べ物に費やしていたりするとお金は貯まりません。「本当に欲しいものか」「必要なものなのか」を考えて、買うものが決まっていない状態でのショッピングは控えるようにしましょう。コンビニや外食なども月単位や年単位で見れば、まとまった支出となるため注意が必要です。働いて得たお金を自分の好きなように使いたいというのは誰しもが思うことですが、感情のおもむくままに消費しているのでは当然貯金は増えていきません。家計が赤字にならないようにバランスを考えて、必要なものを購入するようにしましょう。

3-3. ポイント還元やセールに反応する

ポイント還元やセールでまとめ買いをする人は、お金を使い過ぎてしまう可能性があるので気をつけたいところです。安く買えるうちに日用品や食品をまとめ買いし、ストックしておいたほうがお得で効率が良いと考える人もいます。たしかに、安く買えるうちに買っておけば、トータル的に安くなるかもしれません。しかし、計画性を持って使わないと「まだ使ってもある」という安心感から余分に消費してしまい結果的に余分な支出につながる可能性があるのです。

また、食材を消費しきれずに廃棄してしまうことを考えると、確実に使いきれる分だけを購入すべきでしょう。ポイント還元やセールでは、トータル的に安く購入できるため、お得だと考えて財布のひもが緩みがちになります。正しい判断ができずに買い過ぎてしまう可能性を考え、ポイント還元やセールだからといって買いだめし過ぎないように注意してください。

4. 収入に対する貯金の目安

貯金額の目安は、収入によって異なります。例えば、一人暮らしの単身者の場合は生活費の占める割合が大きいなら、手取り額の10%程度を貯金すると良いでしょう。はじめて一人暮らしをする人や奨学金の返済がある人で、手取り額の10%を貯金するのが厳しいなら、5%くらいからはじめると挫折しにくいのでおすすめです。一方、実家暮らしの単身者で生活費があまりかからない場合は、もう少し金額を増やし手取り額の30~40%程度貯金できるのが理想的だといえます。

自営業や派遣社員の場合は、ボーナスがないことや急に仕事がなくなったときのことも考慮して、手取り額の15~20%は貯金しておきたいところです。子どもがいる世帯では、養育費や教育費がかかることを考えると、夫婦共働きならば手取り額の10%を貯めておいたほうが安心できます。夫婦のみ世帯ならば、養育費や教育費がかからない分、老後の蓄えとして手取り額の20%は貯金するようにしましょう。子どもが大きくなるにつれて教育費は高くなりますので、できるだけ子どもが小さいうちから貯蓄計画を立てると安心です。

5. 収入アップと支出カットから貯金を作る

3.貯金がない!ゼロから貯金を作るための具体的なステップとは?
(画像=『オカネコ』より引用)

収入と支出のバランスをしっかりと押さえておけば、収入が少なくても貯金は可能です。ここからは、少しでも貯金しやすい状況を作るために、収入をアップする方法と支出をカットする方法を紹介していきます。

5-1. 収入をアップさせる方法

インセンティブをもらえたり、歩合制で能力に応じて給与が増えたりしないかぎり、短期間で収入をアップさせることは困難です。そこで、ここからはメインの仕事以外で収入をアップさせる方法を紹介します。

5-1-1. 身の回りのものを整理する

手持ちの現金を増やしたいなら、「身の回りのものを整理して売る」ということも方法の一つです。一時的な収入にはなりますが、臨時の収入を得ることができます。不用品を売るなら買取業者に足を運ぶか、オークションやフリマサイトなどネットで売るのも良いでしょう。現状、生活費を支払うので精一杯で貯金がゼロという人は、不用品を売るメリットは大きいといえます。また、収入があるからと安心して次から次へと不要なものを購入していた人は、本当に必要かを考えて購入することが大切です。いくら節約して貯金しようとしても、不用品を買い続けていると当然貯金はできません。

基本的に、使っていくうちに不要だと判断したものは捨てずに、売れるものは売って少しでもお金に換えるという感覚を身につけておきましょう。

5-1-2. 副業を行う

副業可の職場なら、休日や空いている時間を利用して収入を増やすことも期待できます。しかし、副業を行うときはバランスを考えて仕事をすることが大切です。根詰めて副業を行うとプライベートな時間を確保できなくなったり、体調を壊したりするなど身体だけでなく精神的にも余裕がない生活になりかねません。また、副業に力を入れるあまり、本職に支障をきたしてしまうようでは本末転倒です。手軽に副業をはじめるなら、クラウドソーシングを利用した在宅ワークやブログで広告掲載料、アフィリエイト収益、ポイントサイトを活用して収入を得るなどさまざまな方法があります。

自宅にいながらできる仕事は意外と多いので、少しでも貯蓄を増やしたいという人は活用してみるとよいでしょう。

5-2. 支出をカットする方法

収入だけを増やしても、支出をカットできなければ貯金をするのは難しいです。特に、貯金に回すお金がない人は、支出の見直しを率先して行いましょう。ここでは、実生活で支出をカットする方法を説明していきます。

5-2-1. 固定費を見直す

毎月の固定費がいくらかかっているのかについてしっかりと把握をしているでしょうか。固定費とは、毎月一定額かかるものであり、住居費や保険、光熱費、通信費などを指しています。なかでも、住居費は支出の中でも割合が大きいため、見直しがしやすいポイントです。例えば、現在の家賃より2万円安いところへ引っ越せば、年間で約24万円を貯金に回すことが期待できるでしょう。もし大きめの部屋を借りている場合は、ワンサイズ小さい部屋に引っ越すことを検討してもよいかもしれません。戸建てや分譲マンションをローンで買った人は、住居費を簡単に削ることができないため、ある程度まとまった金額を計画的に繰り上げ返済して、少しでも総返済額が軽減できるようにしましょう。

通信費は、光コラボ回線や格安SIMなど企業が自由に参入できるようになったので、総体的にみて価格が安い企業が多い傾向です。そのため、安いものに切り替えれば数千円から数万円程度は通信費を抑えられる可能性があります。通信回線と同様に電気も自由化で多くの企業が参入してきているので、安い契約へと切り替えることも検討できるでしょう。電気やガスは、セット売りしているところもあるため、各社を比較して費用を抑えられるところにすると固定費の見直しができます。

5-2-2. 食費を見直す

食費は、固定費のなかでも特に見直しやすい支出の一つです。仕事をしている人は、ついコンビニやスーパーで惣菜を買ったり、外食をしたりする機会も多いかもしれません。しかし、外食やできあいのものは支出が大きくなるので注意が必要です。例えば、1日の食事に2000円程度かけていると、20日で4万円の支出になります。これは仕事の日だけの食費なので、休日の食費も合わせると確実に5万円以上はかかってしまうでしょう。家族が増えれば、その分食費の負担も大きくなるため、できるかぎり自炊に切り替えることをおすすめします。

仕事が終わるのが遅くて自炊できない人は、休日におかずを作り置きしておくのがおすすめです。カット野菜や加工食材を積極的に利用すれば、作り置きのおかずは簡単に作ることができます。お酒にかかる費用も第3のビールを取り入れて安く抑えるなど、工夫次第で削減が可能です。単身世帯なら自炊に切り替えると、2万円以内に抑えることも夢ではありません。食費を管理するときは、外食費を別に計上しておくと浪費の原因が外食なのかが判断しやすいのでおすすめです。

5-2-3. 嗜好品や娯楽への支出を抑える

嗜好品や娯楽は、がんばった自分へのご褒美として時には必要です。しかし、習慣化しすぎてしまうと固定費のように毎月一定額の支出となってしまいかねません。また、生活水準を一度上げてしまうと元に戻すのは非常に大変です。手取り額を考えたときに、嗜好品や娯楽を控えるべき状態なら、月にいくらまで使うかの上限は必ず決めておくとよいでしょう。特に、お酒やたばこ、菓子類などはお金がかかるだけでなく、取り過ぎると健康を害する可能性も否めません。

そのため、貯金をはじめると同時に嗜好品との向き合い方も見直すことが大切です。娯楽費として英会話教室など仕事や今後のための自己投資に多くのお金を使っているなら、通う頻度を調整し支出を抑えることを検討してみるのが良いでしょう。貯金したいからと、あまりにも趣味などの娯楽費を削減しすぎてしまうと、生活に楽しみがなくなりかねないため、バランスを考えることが重要です。

5-2-4. 浪費する癖をなおす

先取り貯金をして、残ったお金で生活することを習慣化しないと、浪費する癖は簡単には直りません。自分でお金を管理できる人ならば、とっくに貯金はできているはずなのです。お金をあるだけ使ってしまう人は、貯金に手をつけられないような環境を構築するところからはじめてみましょう。貯蓄ができる保険など、簡単に貯金を引き出せないようにする方法はたくさんあります。先取り貯金が習慣化してきて、貯金分を抜いた状態で生活できるようになったら、次は生活費を少しでも抑えられるように変えていきましょう。

もし生活費が余るようになったら余った分は貯金に回すことで、より一層貯金するペースが高まります。余ったからといって翌月の予算に繰り越すと気持ちに余裕が出て浪費してしまう可能性が高まるため注意が必要です。

6. ゼロから貯金を作るための具体的なステップ

まったく貯金がない人のために、ここからはゼロから貯金をするための具体的なステップを紹介していきます。

6-1.1:家計簿をつけて支出状況を把握する

お金の管理をするうえで、家計簿をつけるのは非常に大事なことです。何にいくら支出しているかが分かれば、無駄な出費を抑えることができます。家計簿を記入するのが面倒な人は、スマホの家計簿アプリを使うと簡単に記録をつけることが可能です。支払いをクレジットカードや電子マネーでしている人は、支払い方法を一本化することで明細書やWebで請求額を確認できるため支出が分かりやすくなります。家計簿アプリの中には、支出をグラフ化できるなど視覚的に把握しやすいアプリもあるので、それらを有効活用するのもおすすめです。

6-2.2:理想的な支出割合と比較して削減部分を探す

収支が確認できたら、理想的な家計支出の割合と比較してみましょう。そうすることで、何の支出が多いのかが明確になり費用を削減するときの参考になります。世帯人数や子どもの年齢によっても理想的な家計支出の割合は変動するため、自分の世帯の理想的な割合と比較してみるのがおすすめです。あくまでも一例ですが、食費15%で住宅費25%、水道光熱費および通信費5%程度が理想的な家計支出の割合といわれています。小学生の子どもを持つ世帯の場合は、教育費として支出するは10%程度が望ましいでしょう。

ただし、子どもが成長するにつれて教育費は膨らむ可能性が高いことは覚悟しておきたいところです。上記の理想的な家計支出と比べて極端に支出が多い場合は、削減できるものがないかについて見直してみましょう。

6-3.3:貯金額を先に取り置く

貯金を確実に作りたいなら、先取り貯金は重要です。特に、貯金がない人は収入が入ったらすぐに使ってしまう人も多いため先に取り置くことをおすすめします。毎月の支出で削減できるところがないか見直して、生活に支障をきたさない範囲で毎月いくら貯金するかを決めましょう。給与が入り次第、貯金額を別口座へ振り込んだり自動的に給与から天引きされるようにしたりしておくと確実に貯金できるようになります。財形貯蓄や金融機関の引き落とし機能を使うと、別口座に振り込む手間を省けるでしょう。

7. 貯金を殖やすために実践したい行動

4.貯金がない!ゼロから貯金を作るための具体的なステップとは?
(画像=『オカネコ』より引用)

ここまで説明した貯金の心得を守って実行していけば、確実にお金を貯めることができます。無理は禁物ですが、貯められるなら貯金額が多いことに越したことはありません。そこで、ここでは貯金額を少しでも増やしたい人が実践したい行動を5つ紹介していきます。

7-1. クレジットカードや電子マネーを利用する

キャッシュレス決済を使う人は、年々増加傾向です。背景としては、支払い額に応じてポイントが付与されることが理由として挙げられます。貯めたポイントは、現金と同じように利用できたり商品と交換できたりすることは大きなメリットです。現金払いにはない特典になるため、支払いをクレジットカードや電子マネーに変えるだけで生活の足しにできるでしょう。クレジットカードや電子マネーの支払いに切り替えられるものとしては、食品や日用品などの支払い、水道光熱費、家賃、保険、携帯電話料金などがあります。特に、クレジットカードは会社によって長期利用で優遇されるものもあるため、どの会社のものを利用すればよりお得になるかを見極めたいところです。

7-2. 複数の口座を開設する

貯金をうっかり使ってしまわないにようにするためにも、貯蓄専用の口座を用意しておきましょう。できれば2つ以上口座を開設しておくことで、支出用と貯金用で管理しやすくなります。支出用の口座を作ることで残高が明確になり、支出を抑えようという意識を身につけることが期待できるでしょう。

7-3. ゲーム感覚で貯金をする

無理なく貯金をしたい人は、ゲーム感覚で貯金をするのもおすすめです。ここでは、2つの貯金方法について見ていきましょう。

#365日貯金
365日貯金は、1~365まで数字を書いたシートを用意してランダムに数字を選び、その数字通りの金額を貯金するという方法です。1年続けると仮定して365の数字を記載すれば、1日あたりの貯金平均額が183円になるため、手軽にはじめやすいでしょう。

#500円玉貯金
お金を崩したときに出た500円玉を貯金箱に貯金するという方法も、簡単なので挑戦してみてください。500円玉専用の貯金箱は、最後まで貯めると10万円や50万円になるものも多いので意外と多く貯金できるのが魅力です。

#新札貯金
500円玉貯金が面倒だという人は、新札が手に入るたびに貯金する新札貯金をするという手もあります。ATMで引き下ろしたり、買い物でおつりをもらったりするときしか貯金しないので、回数が少ないのが魅力的です。

ひとくちに貯金をするといっても、さまざまな方法があります。自分が楽しんで貯金ができるような方法を選択することで貯金のモチベーションを下げずに続けることができるでしょう。

7-4. ふるさと納税を活用する

ふるさと納税は、自治体に寄付する金額により税金の控除を受けられて、同時に地元の特産品など返礼品と受け取れるという制度です。世帯数や収入によって上限額は異なりますが、寄付金額から2000円引いた金額が税金から引かれるため、うまくいけば実質2000円程度で豪華な返礼品が受け取れます。返礼品には、食材や日用品なども多いため、有効活用すれば食費や日用品を浮かせることも可能です。節税以外にもメリットが大きい制度だといえます。

7-5. 貯まったお金を資産運用に回す

貯金だけでは金融資産をそこまで増やすことはできないので、貯蓄を資産運用に回して増やすという方法もあります。金利の高い金融機関に貯金するという方法もありますが、低金利の時代ではなかなか預金で資産を増やすことは困難です。そのため、投資信託や株式投資を検討するのも良いでしょう。毎月一定額を投資信託へ投資するだけでも、資産運用をすることはできます。NISAなどの非課税制度もあるため、うまく活用しながら長期間運用するほど複利効果により資産を増やすことが期待できるでしょう。ただし、投資は預金とは異なり元本が保証されている商品ではありません。

必ずしも資産運用がうまくいくとはかぎらないので、貯金の全額を投資するなどは厳禁です。例えば、毎月の投資の目安を収入の20~30%に抑えたり、貯金額の30%を上限としたりするなどルールをあらかじめ決めておきましょう。投資を行う際は、なんとなくおすすめされた商品を購入するのではなく、自己責任でしっかりと知識とつけてから行うことが大切です。

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