岩手の人気スポット「宮沢賢治童話村」は、広大な敷地の中に様々なテーマを盛り込んだエリアが点在しており、初めての方には少しわかりづらいことも。実際に現地を訪れた筆者が、回り方や所要時間などを詳しくガイドします!
「宮沢賢治童話村」ってこんなところ!
「宮沢賢治童話村」は、賢治の生まれ故郷である岩手県花巻市にある“樂習(がくしゅう)”施設です。賢治が生み出した数々の童話作品の世界観に浸り、大人も子供も楽しく学ぶことができるため“樂習”の名がつけられたそう。そこかしこに、ジョバンニやゴーシュ、又三郎にひょっこり出会えそうな雰囲気が漂います♪
宮沢賢治童話村は、メイン施設である「賢治の学校」をはじめ、「賢治の教室」「銀河ステーション」「天空の広場」「妖精の小径(こみち)」「ふくろうの小径」「山野草園」など幾つものエリアに分かれています。本記事では、全エリアをご紹介すると共に、すべてを回る際の所要時間を徹底ガイドします!
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「宮沢賢治童話村」を巡るモデルコース
①「銀河ステーション」のフォトスポットで記念撮影(10分) ②「賢治の学校」で童話の世界に浸る(40分) ③「賢治の教室」で創作のバックグラウンドについて学ぶ(30分) ④「ふくろうの小径」で森林浴(20分) ⑤「山野草園」~「妖精の小径(こみち)」を散策(20分) ⑥「白鳥の停車場」でお土産ショッピング(20分) 所要時間合計:約2時間20分 ※各施設間の移動時間は含まず
①スタートは「銀河ステーション」から【所要時間約10分】 童話村のエントランスは、「銀河ステーション」と呼ばれる石造りのゲートです。ここからさっそく賢治ワールドがスタート。まずはゲート前で記念撮影をしましょう。
気分はジョバンニ&カムパネルラ!SLフォトスポットに立ち寄ろう
ゲートをくぐる前に、駐車場脇の歩道に沿って右手に少し進むと、カラフルなミニSLが見えてきます。ブルーを基調としたビジュアルは、まさしく“銀河鉄道”!客車や運転席に実際に乗ることもでき、ジョバンニやカムパネルラになりきった写真が撮れますよ。
フォト撮影を楽しんだら、いよいよゲートをくぐって「童話村」の中に入場しましょう。
②童話の世界に浸れるメイン施設「賢治の学校」【所要時間約40分】
不思議いっぱいの仕掛けが楽しい「天空の広場」
ゲート前の広場からまっすぐ進むと右手に見えてくる、印象的な連続するアーチが「賢治の学校」への入り口です。こちらのアーチは錯覚を利用して、くぐるたびに“だんだんのっぽになる”という不思議な感覚が味わえます。
「天空の広場」と呼ばれるこのエリアには、他にも“階段を降りているのに上流へ行く”という小川や、星座を散りばめた水辺など、大人でもわくわくするような仕掛けがたくさん。これらを楽しみながらエントランスへ向かい、入場券を購入しましょう。場内は「ファンタジックホール」、「宇宙」、「天空」、「大地」、「水」の5つのゾーンに分かれています。
超有名なフォトスポット「ファンタジックホール」
まず始めの「ファンタジックホール」は、童話村を代表する超有名なフォトスポットです。賢治の童話作品にちなんだ白い椅子があちこちに置かれ、背景に描かれたデザイン画と共に写真を撮ることができます。いつも混雑している場所ですが、ここでの撮影はマストです!
ホール内には他に賢治の代表作品の紹介や、人物紹介などのコーナーがありますので、賢治について少し勉強してから先に進みましょう。
宇宙空間に迷い込んだ感覚になる「宇宙の部屋」
次のゾーンは「宇宙の部屋」です。賢治作品は『銀河鉄道の夜』を始め、『よだかの星』『双子の星』といった星にまつわるお話が多数。そんな世界観をモチーフにした「宇宙」ゾーンでは、足元に星が輝くガラスの回廊を歩きつつ、頭上の星座をのんびり眺めることができます。
3枚の大きな鏡を組み合わせて作られた空間は、まるで巨大な万華鏡!ストロボライトや光ファイバーを用い、リアルな宇宙を再現しています。また、鯨の彗星が飛び立つ音や星のきらめきを表現したBGMに包まれることで、さながら宇間空間に迷い込んだ感覚になりますよ。
花巻の自然風景を映像で体感する「天空の部屋」
続いての「天空の部屋」は、円形のホールの床面に40インチ16面のマルチ画面が埋め込まれた空間。画面には自然豊かな花巻の風景が俯瞰で映し出され、鳥や風になったような気分が味わえます。さらに天井からは5つの童話映像が投影されており、手や背中をかざしながら探してみるのも楽しいです。
アリになった気分になれる⁉「大地の部屋」 「大地の部屋」は、イーハトーブの自然に生きる昆虫や草木などを、ジオラマで再現した空間です。写真で見るとちょっと不気味ですが、実際にはふわふわのぬいぐるみのような感触で、小さいお子さんでも楽しめますよ。巨大な昆虫に囲まれて、自分がアリくらいの大きさになったような気分になります。
『やまなし』の世界が広がる「水の部屋」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」というフレーズが印象的な童話『やまなし』は、小学校の教科書にも採用されるほどの有名作品。青いライトで水のゆらめきを表現した「水の部屋」では、『やまなし』に登場する二匹の蟹の子どもたちのように、川の底からゆらゆらとした水面を見上げているような感覚に浸れます。
童話のストーリーをミニジオラマで楽しむ展示コーナーも 「水の部屋」から出口までの間には、『セロ弾きのゴーシュ』や『注文の多い料理店』のストーリーを再現した、ミニジオラマが展示されています。好きなシーンを見つけて「あったあった!」と声を上げる親子も多く、家族みんなで楽しめるコーナーです。
③「賢治の教室」で創作のバックグラウンドについて学ぶ【所要時間約30分】
「賢治の学校」を出たら、ログハウス調の建物が並ぶ「賢治の教室」に向かいましょう。こちらは、賢治の童話創作に影響を与えた「植物」「動物」「星」「鳥」「石」に関する展示施設です。ログハウス一棟ごとに展示されているテーマが異なるため、時間がない場合は興味がある棟に絞って見るのもありです。
所要時間は約30分としましたが、これはかなり駆け足で見た場合。植物や鉱物などの専門家でもあった賢治の研究成果をまとめた展示は、見どころがたっぷり。すべての展示の解説をじっくり読みたい場合は、一棟当たり10分で計50分程度かかるでしょう。
また、ログハウスのうち一棟はお土産屋さんになっていますので、賢治グッズなどの買い物をする場合はさらに余裕をもって見学してください。お土産は、最後にご紹介する「白鳥の停車場」でも買うことができます。
④「ふくろうの小径」でお散歩&森林浴【所要時間約20分】
「賢治の学校」の裏手には森林が広がっており、木立を通り抜ける散策コース「ふくろうの小径(こみち)」が設置されています。森の新鮮な空気を吸いながら散歩して、たくさんの展示を見て少し疲れた頭をリフレッシュしましょう。
森の中には絵本をかたどった巨大アートや、遠くにいる人の声がはっきり聞こえる不思議な伝声管などが点在し、お子さんでも飽きずに自然散策を楽しめますよ。
⑤期間限定で美しいオブジェで彩られる「山野草園」「妖精の小径」【所要時間約20分】
次にご紹介するのが、「山野草園」「妖精の小径(こみち)」エリアです。こちらも「ふくろうの小径」と同様の森の散策コースですが、『月夜のでんしんばしら』に登場する、行進する電信柱たちが原寸大で再現されており、賢治ファンにはたまりません!
さらに毎年夏から秋にかけては、散策路のあちこちがガラスでできた美しいオブジェで彩られ、最高にフォトジェニックな空間に。
期間限定で「山野草園」の池に設置される、“サウザンクロス”のオブジェ 日没後にはライトアップされ、特に必見なのは「山野草園」の池に設けられた十字架のオブジェです。『銀河鉄道の夜』の終着駅・サウザンクロス(南十字星)をモチーフにしており、闇の中でぼんやりと浮かび上がる十字架の明かりは、ため息が出るほど幻想的です。ライトアップは期間限定のイベントで、例年7月下旬~11月上旬の週末を中心に開催されています。
日没後はライトアップされ、幻想的な光景に!
ライトアップ期間中は『どんぐりと山猫』のオブジェも登場 ライトアップイベント期間中は、「天空の広場」に『どんぐりと山猫』のどんぐりをかたどったオブジェも登場します。ステンドグラスを組み合わせて作られたオブジェは、昼間に見るのもおすすめ。太陽光を受けてキラキラと乱反射するファンタジックな色合いは、いつまでも見飽きることがありません。
⑥忘れずに立ち寄りたいお土産屋さん「白鳥の停車場」【所要時間約20分】
場内を見終わり「銀河ステーション」まで戻ってきたら、冒頭で立ち寄ったSLのさらに先にある「白鳥の停車場」に立ち寄りましょう。こちらは、『銀河鉄道の夜』の最初の停車駅である「白鳥の停車場」をモチーフとした、小さなお土産屋さんです。
店先の木のベンチには、賢治愛用の帽子のレプリカが置かれていますので、フォトスポットとしても最適。貨車を利用した店内には、お菓子やグッズなどの定番土産以外に、賢治作品にちなんだハンドメイドのお土産も販売されています。他では手に入らないお土産を探したいなら、こちらのお店がおすすめです。
「宮沢賢治童話村」の営業時間・入館料・アクセス等 開館時間:8:30~16:30 ※ライトアップ期間中は21:00まで延長 休館日:12月28日~1月1日 入館料:大人350円、高大生250円、小中学生150円 ※宮沢賢治童話村、花巻市博物館、花巻新渡戸記念館との共通入館券あり アクセス:JR新花巻駅から車で3分、バスで2分。JR花巻駅から車で15分、バスで17分。バスの場合は土沢線「賢治記念館口」バス停下車後徒歩5分
おわりに
花巻の自然を感じながら、賢治ワールドに浸るのが醍醐味! 大人も子供も楽しめる「宮沢賢治童話村」のモデルコース記事、いかがでしたか?本施設は特に「賢治の学校」と「賢治の教室」が名称が似ていることもあって、初めて訪れる際はそれぞれの違いが分からず、悩んでしまうこともあるのでは(筆者もそうでした)。
ガイドブック等では、「賢治の学校」と「賢治の教室」だけをピックアップして紹介していることが多いのですが、それだけではもったいない!ぜひ森の散策路にも足を運んで、“賢治ワールド”にたっぷり浸ってみてください。賢治の奥深い創作の世界に、一歩近づける気がしますよ。