今日ご紹介するのは、一流の味がテイクアウトできるミシュランの星つきレストラン『ES(エス)』のパティスリー。パリ在住の人たちのSNSでまたたく間に広がっていったこともあり、日々人気は高まるばかり。毎日予約の電話やメールが止まらないという、日本人パティシエMarikoさんが作り出すスイーツです。

駅伝の思い出から生まれた、パティシエMarikoさん

「お菓子オタク」な日本人パティシエが作り出す、星つきレストラン『ES』のスイーツ
(画像=こんなキュートな小柄な姿からは想像もできないほど、中身はバリバリの職人肌Marikoさん、『PARIS mag』より引用)

コロナの影響で、フランスのレストランやカフェなど飲食業は昨年秋からずっと閉鎖されたまま。その場で食べることは許可されておらず、唯一テイクアウトだけが許可されています。そのパリの状況下、テイクアウトのしにくさからフレンチレストランはシェフやオーナーの考え方でテイクアウト自体をするかしないか、内容をどのようなものにするか、対応が分かれています。

今日ご紹介するパリの1つ星レストラン『ES』は、食事に関してはテイクアウトしない考えですが、デザート部門を担当するパティシエMarikoさんの作るスイーツだけは予約制でテイクアウトできるようになっています。箱に入れて持って帰ることができるテイクアウト用のメニューですが、「シュークリーム」「モンブラン」「ロールケーキ」「誕生日ケーキ」「クッキー」など予約販売は常に完売が続いています。

「お菓子オタク」な日本人パティシエが作り出す、星つきレストラン『ES』のスイーツ
(画像=この秋冬何度もいただいたモンブラン。タルト部分以外はほとんど砂糖を使っておらず、優しい栗の甘みを味わえる、『PARIS mag』より引用)

Marikoさんは1日中キッチンにこもり、休みもとらず注文の品を作り続ける。「超」がつくほどの職人気質なお仕事ぶり。お菓子に対する態度が真摯すぎて話しかけるのもはばかられるほどなのですが、見た目はもちろん実はおしゃべりが始まるとすごくチャーミングな女性です!

中高時代陸上部に所属していたというMarikoさんは大阪で一番逃げ足が早かったらしい(笑)。中学の時、駅伝の試合後に食べた差し入れのフルーツタルトのあまりのおいしさに感激して、パティシエを目指すことになったといいます。星つきレストランのパティシエがまさかの駅伝から生まれていたなんて!

「お菓子オタク」な日本人パティシエが作り出す、星つきレストラン『ES』のスイーツ
(画像=こちらは抹茶黒蜜シュークリーム。こちらは中から黒蜜ソースがとろり、『PARIS mag』より引用)

大阪の製菓学校を卒業後、ケーキ店や製菓学校のアシスタント、チョコレート専門店などを経て2012年ワーキングホリデーで1年間のパリ修行にやってきます。ミシュラン1つ星レストランで半年間、その後パリの人気パティスリー『Aarnaud Larher(アルノー・ラエル)』で半年間働き一時帰国。労働ビザを取得し再びパリの『アルノー・ラエル」に戻り、3つある部門のひとつ「タルト&焼き菓子」部門のセクションシェフを務めたのだそう。そして、もっともっとフランスの素材に触れたいという願いからレストランで働き始めます。そして2014年から現在の『Restaurant ES』のシェフパティシエとなったのです。

お菓子が一番おいしい状態を日々研究

「お菓子オタク」な日本人パティシエが作り出す、星つきレストラン『ES』のスイーツ
(画像=クッキーの詰め合わせ缶も大人気。「焼き焼きモンスター」Marikoさんのこだわりがぎっしり詰まっています、『PARIS mag』より引用)

Marikoさん自身も自分のことを「お菓子作りオタク」とよく表現するのですが、お菓子へのこだわりっぷりは、たしかに「オタク」!食べる方としては大歓迎のうれしい「オタク」っぷりはここでは書き切れないほど奥深いのです。

素材のおいしさを引き出すことやそのお菓子にあったベストな焼き方を常に考え研究し、効率や金銭的なことは無視してそのお菓子が最高な状態で出来上がることだけを考えて作っているそうです。

「お菓子オタク」な日本人パティシエが作り出す、星つきレストラン『ES』のスイーツ
(画像=香りが飛んでしまう一部の味をのぞき、1時間以上火を入れるというクッキー、『PARIS mag』より引用)

シュー生地やクッキーなどはなんと1時間以上焼きます。もちろんこれはすべてではなく、素材によって香りが飛びやすいものなどはあえて焼き時間を短くするのだそう。

粉にじっくり中心まで火を通すことで「メイラード反応」が起こり、味の深みや粉の味わいが出るそうです。「店の光熱費が大変なことになってます!」って笑いながらも絶対にそのお菓子のベストな状態を作りたいというMarikoさん、私は彼女を「焼き焼きモンスター」と呼んでいます(笑)。

飲食業の制限が解除され、レストランやカフェがオープンしたら真っ先に行きたいレストランのひとつ!でもこんなコロナの状況だからこそ、普段はなかなか行けない星つきレストランのパティスリーを気軽にテイクアウトできるのだと思うと、今だからこその出合いに感謝しています。


提供・PARIS mag(シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン)

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