日本は受験シーズンがそろそろ終わる頃でしょうか?今年は親戚や親友の子など、何人か身近な子どもたちが受験生だったので、受験に関するニュースをいろいろチェックしていました。幼稚園から大学まで、「お受験」塾が存在して、受験がテーマのドラマまであるくらい日本はお受験大国。勉強も受験用の特別なものが必要で、とてもとても特殊な世界ですよね。

さて、こちらフランス。フランスには基本的に幼稚園から高校まで「お受験」はありません。だからお受験用の塾もありません。学校以外で勉強を見てもらうとしたら必要に応じて家庭教師をつけるくらいです。フランスでは書類と面接と前の学校からの成績表・内申点で合格が決まるのです。ごく一部、学力テストや語学テストをする特別な学校もありますが、特別な学校の名前をあげて行ったほうが早いほど珍しいことなので、ここでは一般的なお話でという前提です。

フランスの受験は、書類審査と面接のみ

受験のための塾はナシ!でも、コネ重視?ちょっと意外なフランスのお受験事情
(画像=『PARIS mag』より引用)

フランスは3歳から16歳まで義務教育。以前は小学校からでしたが、2019年から幼稚園も義務教育になりました。義務教育になる前も、すでに約97%が幼稚園に通っていたのですが、地域ごとの学力の差が問題視されたため、義務教育になったのです。

フランスにも日本と同じように公立と私立の学校があります。フランスの公立校は無償で、基本的に住んでいる学区によって通う学校が決まります。パリだけを見ても地域によってかなり格差があったり、学区によっても学校の雰囲気が違うため、あの手この手を使って越境させるなど、公立の中でもいろいろな戦いはありますが…。

そして私立は幼稚園から高校まで合わせて全体の約17%程度占めますが、日本に比べると学費はかなり安く通わせやすい印象。私立は基本的にフランス版の受験、書類審査や面接をへて入学合否が決まります。

受験のための塾はナシ!でも、コネ重視?ちょっと意外なフランスのお受験事情
(画像=『PARIS mag』より引用)

「お受験」がないとはいっても、楽チンなわけではありません。フランスは日本より遥かにはっきりとした「階級社会」、そして「学歴社会」。日本のように自分が学んだ学部に関係なく職種を選ぶことはかなりの例外で、進む進路や学校によってどういう職業につけるのか、仕事でどこまでのぼりつめられるかが決まります。「グランゼコール」と呼ばれる教育機関を卒業できると、新卒でいきなり管理職になるなど、進路はその後の人生も決めるかなり重要なものになります。

受験のための塾はナシ!でも、コネ重視?ちょっと意外なフランスのお受験事情
(画像=『PARIS mag』より引用)

ただ、日本でいう「ある学校を受けるために学校外で特別な勉強をしなくてはいけない」がないのです。もちろんフランスにもいろいろなパターンはありますが、私立に入学したい場合、テストを受けて合否が決まるわけではなく書類や面接で決定されます。だから特別な準備はまったくなく、塾で放課後がつぶれることもなく、子どもは子どもらしい生活を送っていて、「お受験」がない世界も素晴らしいなと実感していいます。

コネが重要?意外な一面も

受験のための塾はナシ!でも、コネ重視?ちょっと意外なフランスのお受験事情
(画像=『PARIS mag』より引用)

一方で…学力による合否判別がないなら、一体どうやって合格が決まるか?!なのですが、まずは「兄弟枠」や「コネ」。「えっ!?」っと驚いてしまいますが、これがフランスの決め方。どの私立もまずは兄弟枠が優先で決定。だから願書受付の前に在校生には、兄弟で入学したい人がいるか聞かれる。残りの枠を新規の入学希望者が書類審査や面接を受けて競い合います。

我が家は、「公立派」「私立派」、いろいろな人の経験談を聞いて結果的に私立の幼稚園を選んだのですが、受験した学校のひとつでは、「兄弟枠ですでに22人埋まっているから、残り5人しか枠がないのでほとんどダメだと思ってもらっていいです」と面接の最初から宣言されたのでした。新規参入者にとってはなかなか厳しい競争ですが、もし選考する側にたったら気持ちもわかる。ある意味正しい選考方法?なんて思って複雑な思いをしたのを覚えています。


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