年収が上がっても手取りが増えないことに悩むサラリーマンはたくさんいます。しかし、サラリーマンであっても効果的な節税対策をすれば、手取り額を数十万円から数百万円増やすことも可能です。今回はサラリーマンの節税対策について分かりやすく解説します。
年収が上がると所得税率も上がる?サラリーマンが節税すべき理由
サラリーマンとして働いていると、所得税・住民税は毎月の給与から自動で天引きされます。また、自分で確定申告をする必要はなく、年末調整として会社が税金の計算をしてくれます。そのため、働き始めてすぐは税金を意識しない人がほとんどです。
しかし、所得が増えると高い所得税率が適用されるようになります。所得が900万円を超えると33%、1,800万円を超えると40%もの所得税率が適用されます。このことから、年収が高くなるほど額面と手取り額の差が気になってくる人が増えてきます。
確定申告をする習慣がない人には、節税といってもあまりなじみがないかもしれません。しかし、サラリーマンだからといって何も節税対策をしないのはもったいないことです。サラリーマンでも節税対策を行うことで、効果的に手取り額や貯金を増やすことが可能です。
サラリーマンができる節税対策8選!効果的に手取り額を増やす方法
続いて、サラリーマンの節税対策を種類別に紹介していきます。
iDeCo
節税とあわせて将来への備えをしたい人に人気なのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。国民年金・厚生年金が公的年金と呼ばれるのに対し、iDeCoは私的年金と呼ばれます。加入は任意で、運用方法も自分で選ぶことができます。
iDeCoのメリットは、支払った金額の全額を所得から控除できる点です。一般の生命保険の場合、支払った金額の一部しか所得から控除されません。その点、iDeCoなら大きな節税メリットを享受できます。
生命保険
万一の場合や入院した場合などに保険金を受け取れる一般の生命保険も所得控除の対象となります。一般の生命保険の場合、支払った保険料の全額ではなく一部が所得から控除されます。控除できる金額の上限は12万円です。
iDeCoと比較すると控除できる金額が少ないため節税額は小さくなりますが、商品の種類が多く自由に選ぶことができるのがメリットです。
医療費控除
自分や家族の医療費を年間10万円以上支払った場合、医療費控除を適用できます。医療費には、保険診療の窓口負担金や薬局などで購入した薬代、病院までの交通費などを含めることができます。
ただし、健診や予防接種の費用など予防にかかわるものや、審美歯科など美容にかかわるものは控除することができません。医療費控除の対象となるのは治療に必須の費用に限られているので、注意しましょう。
住宅ローン控除
ローンを組んで自宅を購入した場合、住宅ローン控除を適用できます。住宅ローン控除では、ローンの年末残高に1%をかけた金額を毎年所得税から直接差し引くことができます。
住宅ローン控除は10年から13年と長期間にわたって適用できることから、トータルでの節税額が200万円、400万円など高額になることも多々あります。マイホームを購入するなら住宅ローン控除を積極的に検討しましょう。
特定支出控除
特定支出控除とは、仕事をするうえでかかる費用が一定額を超えた場合、所得から控除できるという制度です。例えば、通勤費や転勤に伴う転居費、単身赴任の場合の帰宅費用、業務にかかわる研修費用、資格取得費用などが挙げられます。
ただし、特定支出控除を適用できるのは、かかった費用が「給与所得控除の2分の1を超えた場合」に限られます。給与所得控除は給与の額に応じて設定されており、2019年現在、例えば年収1,000万円超であれば220万円です。この場合は110万円を超える出費があった場合に限り、特定支出控除を適用できます。特定支出控除適用の判定基準となる給与所得控除額は、ここ数年で頻繁に変更されています。そのため、特定支出控除を検討する場合は、国税庁のサイトで給与所得控除額を確認するようにしましょう。
NISA
NISA(少額投資非課税制度)とは、株式や投資信託などで得た利益が非課税になる制度です。年間の非課税投資枠は120万円が上限です。通常は投資で得た利益には約20%の税金が課されます。NISAを活用すれば、その分の金額を節税できます。資産形成の選択肢として投資を考えているなら、NISAもあわせて検討しましょう。
両親を扶養に入れる
遠方の両親に仕送りをしている場合や同居して生活費を出している場合、要件を満たせば両親を自分の扶養に入れることが可能です。扶養控除を適用すると、条件によって38万円から58万円の所得控除を適用できます。
副業をしているなら青色申告控除
副業をしているなら、青色申告控除の届出を出すことで最大65万円の特別控除を受けられる可能性があります。青色申告控除を適用するには、事業的規模であること、複式簿記で記帳していることなどいくつかの要件があります。
手間と金額との兼ね合いですが、65万円の特別控除が所得税に与えるインパクトは大きいため、検討する価値は十分あるでしょう。