よりお金を増やすには自分が働くだけではなく、お金に働いてもらう必要があります。
貯金だけではお金を働かせることはできないため、増やすには資産運用が欠かせません。
しかし、資産運用において1つの商品に投資し続けるのはリスクの高い行為です。
資産家の多くは資産を分散させて運用しており、集中投資する人はそもそも資産家になれないと言われています。
今回は、金融商品の特徴を確認しながら、なぜ分散が重要であるか考えてみましょう。
貯金を増やすなら「分散」してリスク回避
仮にあなたが2000万円の貯金を1つの銀行に預けている場合、リスクを抱えていることになります。
確かに日本にはペイオフ制度があるため金融機関が破綻したとしても元本を預金保険機構が保証してくれます。
しかし元本保証の限度額は1つの銀行につき1000万円までと決められており、2000万円を1つの銀行に預けている場合は資産が半減してしまう可能性もあるのです。
また、貯金だけに資産を投じるのもリスクを抱えていることになります。
普通預金や貯蓄預金など貯金を預ける方法にはさまざまな預金制度がありますが、こういった預金制度は金利が非常に低く設定されています。
投資に回せば増えていたかもしれないお金を貯金しているため、機会損失というリスクを抱えているのです。
貯金を増やすなら「貯まる仕組み」と「口座を分散」
貯金や節約を進めるために、個人のモチベーションや意識の重要性を説く主張が聞かれますが、個人の意識には限界があります。
無理なく貯金をするには制度や仕組みを使うことで、強制的に貯金できる環境を作れば良いのです。
それでは、効率的に貯金ができるようになる仕組みの一例を見ていきましょう。
1.先取り貯金で勝手にお金を貯める仕組みをつくる
資産運用のためにお金を貯めておきたいと思っても、そこには「自分」というリスクが存在します。
人は手元にお金があるとどうしても使ってしまう習性があります。
例えば、月に3万円ずつ貯金しようと思っても、なかなかできないのはお金を余らせることが難しいからです。
自分の意思に関係なく貯金できるようにするには、先取り貯金がおすすめです。
先取り貯金は、会社からの毎月の給料の一部を、天引き方式で貯蓄用口座に預けるやり方です。
天引き後に残ったお金でやりくりするようになるため無駄な出費を防ぐことができ、節約し続けることが可能になります。
「収入-支出=貯金」という従来の形から「収入-貯金=支出」へシフトすることができます。
2.目的別に口座を分ける
貯金を増やすには、目的別に口座を分けて分散して貯めるのがおすすめ。
お金の目的は3種類あります。
1つ目は使う、2つ目は貯める、3つ目は増やすです。
そこで、以下のように口座を分けて貯金してみましょう。
・使う口座…生活費支払いや住宅ローン返済用で、月末には少額しか残らない口座。
・貯める口座…将来の出費や緊急時の備えのためにお金を預ける口座で、基本的には引き出さない。
・増やす口座…NISA口座や株式取引用の口座など、お金をさらに増やすための口座。
このように、お金の目的別に口座を分散させれば、効率的にお金を運用できます。
反対に、すべて1つの口座にまとめてしまうと毎月の出費の把握が難しいので、無駄を抑えることができなくなります。
3.できるだけ金利の高い銀行に預ける
普通預金でも定期預金でも、預金口座を開設する際は金利の高い銀行で開設しましょう。
「金利はどこの銀行も1%未満なので大差がない」と思うかもしれませんが、わずかな金利の差でも複利で大きな差となるため、長期で見ると違いが出ます。
さらに手数料も重要な基準です。
金利が低い銀行でもATM利用手数料が無料であれば、他の銀行より実質金利が高くなるかもしれません。
お金を育てるには貯金だけでなく運用にも分散させよう
学校や親からの教育で、貯金することの大切さを学んだ方は多いと思います。
確かに怪我や病気に備えて、貯金しておくことは重要です。
しかし貯金は将来の出費への備えでしかなく、貯金だけではお金が増えることはありません。
資産運用でお金に働いてもらい、積極的に増やすことも考えましょう。
資産運用でどれくらい利益が出る?
毎月10万円、年間120万円のペースで貯金し続けたとしましょう。
この場合、10年後にはいくらになっているでしょうか。
銀行の普通預金の金利を0.001%と仮定すると、10年間運用し続けた場合、10年後の利息分累計額はたったの550円しかありません。
一方で、投資の運用で毎年5%の利益を出すことができたと仮定しましょう。
この場合、10年後にはおよそ1466万円となり、積立額の1200万円に対して266万円も利益が出る計算になります。
株式指数の1つであるNYダウは、近年、年間10%以上のペースで上昇しています。
年率5%は決して無理な話ではないのです。
複利効果を利用する
複利は、利息分に対しても利率が発生することです。
わずかな金利の差が将来的には大きな差につながります。
例えば5万円の資金に対し毎年それぞれ1%、2%、3%のペースで利益を出し続けたとしましょう。
最初の1年目ではあまり差が見られませんが、10年後には1%と3%で1万円以上の差が出ています。
さらに20年目では3万円近くもの差が出ており、30年目では1.5倍以上の差です。
「複利の魔法」と言われる所以がこれで分かると思います。
投資においてできるだけ損失を減らし、安定して利益を出し続けることができれば、複利の魔法によって驚くようにお金を増やすことが可能になります。
投資で貯金を増やすにも「分散」が大切
貯金のための手段を分散させることはリスク低減につながりますが、投資でも同じように分散が大切です。
ここでは、分散投資でどのようにリスクを回避できるのか見ていきましょう。
また、初心者でも簡単に分散投資をする方法も解説していきます。
投資では「時間」と「資産」を分散
ある金融商品を同じ日に一括で購入する行為はかなりのリスクを抱えてしまいます。
もしその日の価格がピークであった場合、その後は下落し続けるため含み損を抱えることになるでしょう。
ほかにも、以下のようなリスクを回避するために、分散投資は欠かせません。
・信用リスク…企業・金融機関の経営悪化により、社債返還が不可能になったり株価が下落するリスク。
・地政学リスク…政治・治安の問題から、その国の金融商品の価値が下落するリスクで、新興国に多い。
・流動性リスク…「商品を買いたい人がいない」「自分の手元に資金がない」という理由で金融商品を売買したいときにできなくなってしまうリスク。
リスクが低い分散投資なら「積立」
初心者向けの分散投資と言えば、積立型の金融商品です。
積立型のメリットは2つあり、その1つが少額でも始められるという点です。
手元にお金がなくても、翌月の給料が振り込まれた段階から始めることができます。
もう1つが投資の「時間」を分散できるという点です。
積立型なので毎月少しずつ購入することになり、高値掴みしてしまう危険性を回避できます。
初心者におすすめの分散投資3選
数ある分散投資可能な商品の中でも、少額で始めることができ経験が少なくても始められるものが初心者向きといえます。
特にプロに運用を任せるタイプの商品は、時間がないビジネスマンにもおすすめです。
それでは、初心者におすすめの比較的低リスクな分散投資の例を見ていきましょう。
1.つみたてNISA
つみたてNISAには、以下のようなメリットがあります。
・毎年40万円分の投資額に対する利益が非課税となり、非課税期間は最長20年間。
・金融庁が認めた商品だけが扱われており、比較的リスクの低い商品が多いため初心者でも始めやすい。
・対象商品には株式指数に連動するインデックス型の投資信託が多く、こういった商品を購入することで分散投資したことになる。
つみたてNISAは国民の投資を促す目的で作られた制度です。
プロが運用する投資信託が対象であるうえ、購入方式も積立型であるため初心者でも簡単に始められます。
しかし国が選んだ安全性の高い商品といえど、下落し続けた場合には元本割れしてしまう可能性もあります。
つみたてNISAの口座内で複数銘柄に分散させるなどして、リスクを回避しましょう。
2.iDeCo
iDeCoは老後のための私的年金となる制度で、自分で積立金の運用方法を決めることができます。
iDeCoのメリットには以下のようなものがあります。
・老後に年金もしくは一時金として受け取ることができ、原則として60歳になるまで引き出せないため、効率的に貯蓄できる。
・iDeCoで拠出した掛金は全額所得控除の対象となり、節税にも役立つ。
・毎月の掛金を5000円以上、1000円単位で設定できるため、無理なく投資を始められる。
このように、iDeCoは老後資金のための資産運用と節税ができる一石二鳥の制度です。
しかし60歳以降まで原則引き出すことができないなど、流動性リスクを抱えているため、拠出金額は無理のない範囲に設定しましょう。
3.ロボアドバイザー
近年AIの技術は目まぐるしい発展を遂げています。
投資用のAIは証券会社を中心に導入が進んでいましたが、これを私たちでも使えるようにしたものがロボアドバイザーです。
ロボアドバイザーのメリットは以下の通りです。
・希望の投資方針や毎月の投資金額を入力するだけで、自分に合う投資商品を提案してくれる。
・売買をAIに任せることもできるため、チャートを頻繁に確認しなくて済む。
・リスク分散機能がついており、株価下落局面では自動的に株の比率を下げてくれる。
ロボアドバイザーは証券会社に口座を解説するだけで、スマホで簡単に運用できます。
投資経験が少なくても始められるため初心者向きと言えますが、利用手数料として運用額のおよそ1%前後の手数料がかかってしまいます。
安全を買うための手数料と考えれば安く感じるかもしれません。
「分散」を意識して貯金・投資をしよう
貯金・投資において「分散」が大切という事は、認識できたのではないでしょうか。
分散投資に適した商品は数多く存在しますが、自分に合う商品を選ぶ必要があります。
また、商品名で「分散」と謳っていても、実際はあまり分散されていない商品もあるので注意が必要です。
最初のうちはポートフォリオの組み方に悩むかもしれません。
必要に応じて、FPなど資産運用のプロに相談してみると良いでしょう。
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