「学資保険は入った方がいいの?」
かわいい我が子のために、学資保険に加入したいというご要望は私のところにも毎月のように舞い込んできます。
おそらく、自分もご両親が学資保険に加入してくれていたなどの経験があるため、我が子にも同じようにしてあげたいという心理が働くのでしょう。
また、郵便局や銀行の窓口、保険の外交員の方から営業を受けることも多いのかもしれません。
私も二人の娘がいますし、その心理は手に取るように理解できます。
しかしながら、私たちは親の時代とは全く状況が違うということを理解しなくてはなりません。
過去の成功の法則を今の時代に当てはめても成功するとは限らないのです。
実際に私が生まれたころの1981年ころは郵便貯金(ゆうちょ銀行)の定期貯金の金利がおよそ7%もあった時代です。ただ単に10年も寝かせておけば元金が2倍近くになっていた時代なのです。それに比べて今は0.01%。寝かせておいて元金が倍になるには7200年くらいかかります・・・。
そういう低金利の時代ですから、定期貯金だけでなく、学資保険も全くと言ってよいほどお金は増えません。
試しに、とある学資保険で私(38歳)を契約者と想定して試算してみました。
こども0歳~18歳までの保険料の支払いで、満期でもらえる学資金を300万円に設定したところ、月々の保険料が14,730円でした。
18年間でのトータルの保険料は3,181,680円となりますから相当な元本割れです。また、日銀が掲げるインフレ率目標2%が仮に毎年起こったと想定すると、18年後の300万円の価値は200万円くらいにまで落ち込むことになります。これでは将来、計画通りに大学に通わせてあげられないかもしれません。
重要なのは満期のお金の額面が保証されていることなのではなく、将来、物価(学費)が上昇しても学校に通わせてあげられるだけのお金を準備しておくことですから、今の学資保険には限界があるといわざるを得ません。
それでは、学資保険は全く無意味なのでしょうか?
決してそんなことはありません。学資保険はやはり保険ですので、保障機能が発揮されるときには意味があると言えます。
学資保険は契約者が父もしくは母になることが一般的です。仮にその契約者がお亡くなりになってしまった場合には、毎月の保険料は免除となりますが、将来、当初予定していた期日に満期の学資金が受け取れる仕組みとなっています。
通常の生命保険であれば即座に保険金が下りるわけですが、学資保険の場合はお子様が18歳になるなどのタイミングで保険金が下りますので、時差はあるものの、学資保険の本質は生命保険ということになります。
父もしくは母のどちらかに万が一のことがあると、日々の生活自体が苦しくなる可能性も高く、将来への積立は後回しにならざるをえないこともありますから、ときに元本割れの学資保険でも意味をなすケースが想定されるわけです。
ここまで学資保険のよいところ、わるいところをお伝えしました。
「結局どうすればいいの?」というお声が聞こえてきそうなのですが、やはり私なら「学資保険はおすすめしません」という回答になると思います。
なぜなら、そもそも元本割れしてしまうのがわかっているなら、極端ですが預貯金でも良いという話になりますし、上記でお伝えしたようなインフレまで考慮するのであれば、「NISA」や「つみたてNISA」などの税制優遇制度を活用し、投資信託でしっかりとリスクをとって増やしていくというのが健全だと考えるからです。
たとえば、学資保険の試算と同様に14,730円/月の投信積立を18年間、年3%の運用で回したとすると18年後にはおよそ420万円になっています。
もちろんリスクは発生しますが、長期投資、分散投資、積立投資の大原則を徹底することができれば、成功の確率を高めることは可能です。
学資保険のメリットである保障については、必ずしも学資保険でなくても死亡保障は他にもっと効率よいものがありますし、また、死亡以外に三大疾病や介護といった条件でも保障されるような保険もあり、保障範囲を広げることも可能です。
保障は保険、資産形成は投資信託などの金融商品といった具合に、一緒にしてしまうのではなく、それぞれの得意分野で取り組んでいくのが王道でしょう。
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