老後への備えとして1億円という金額を目標に掲げながら貯金する人が多いですが、明確な理由はなく、なんとなくそのくらい必要なのではないかと考えている人がほとんどのようです。実際、老後にそれだけのお金が必要になることはあるのでしょうか。そこで今回は、老後にかかる費用や貯金のポイント、さらには1億円貯めるためにおすすめの資産運用を紹介していきます。

1.老後の備えに貯金1億円も必要?

老後に安心して生活していくには、1億円は必要といわれることが非常に多いです。「老後に1億円」といわれるのは、ゆとりある老後生活費の約35万円(生活保障に関する調査)×12カ月×25年(65歳から90歳まで)=1億500万円が必要であるとする試算が大きな要因となっているようです。ただし、現役時の働き方や退職金の有無などによって大きく異なるうえ、生活スタイルも一様ではありません。老後に必要な金額は人それぞれです。必ずしも1億円なければ生活できないわけではないでしょう。

2.貯金1億円を貯めるにはどのくらいかかるのか?

実際、1億円貯めるとなるとどのくらいの年月がかかるのか具体的なイメージを持っている人は少ないでしょう。もちろん、月にいくら貯金するかでその期間も大きく変わってきます。毎月10万円貯めると仮定した場合、銀行預金なら83年4カ月(※金利0%)の時間が必要になりますが、これが毎月30万円貯めると仮定すると、27年9カ月と大幅に短縮されます。

さらに、毎月50万円貯金すれば16年8カ月で目標額に到達できますが、なかなかそれだけの額を毎月貯金できるような人はいません。多くの場合、毎月10万円貯金するのもハードルが高く、1億円を貯めるとなると何か別の手段を検討しなければ達成することはできないといえるでしょう。

3.貯金1億円を目指す際のポイント

1億円を貯金するためには、それなりに収入も必要になってきます。特別多くの収入があるわけでもない場合、本当に1億円貯めることなどできるのでしょうか。ここでは、老後に向けて1億円を貯金するために押さえておくべきポイントを解説していきます。

3-1.出費を削減する

普段から貯金する習慣がない場合、急に貯金しようとしてもうまくいかないことがほとんどです。なかなかお金が貯まらないと感じたら、まずは家計簿を付けるなどして家計の収支を把握し、無駄遣いをやめることから始めたほうがいいかもしれません。食費、交際費、固定費から無駄を省いて、その分を天引きで貯金に回すことで少しずつお金を貯めることができます。外食がメインの人はなるべく自炊することを心がける、携帯電話の料金はプランを見直して毎月の固定額を減らすなど、少しずつお金を捻出していきましょう。

もし毎月3万円のコストカットをして貯金に回した場合、30年で約1000万円を超える計算になります。老後の資金の足しになるのは間違いありません。生活費の見直しはなるべく早めに行ったほうがいいでしょう。

3-2.収入アップを目指す

生活費を見直すといっても、1億円貯めるとなると出費の削減だけでは限界があるのも事実です。日々の出費を抑えながら、そもそもの収入をアップする方法も同時に考えておかなければなりません。多くの場合、主な収入源は仕事となりますが、収入を増やすためには働き方にも注目しておく必要があります。サラリーマンの場合、昇給を目指して働くのも一つの手ですが、自分が思うように昇進できるわけではなく、頑張ったからといって必ずしも給料が上がるわけではありません。収入アップを目指すには、より給料の良い職場に転職をする、あるいは副業をして手取り額を増やすといったことも選択肢に入れておいたほうがいいでしょう。

とはいえ、収入を増やすのは簡単ではなく、出費を減らすのに比べると時間や労力もかかってきます。いきなり大きな変化を期待することはできないので、スキルの習得をしながら日々チャンスをうかがっておくようにしましょう。

3-3.資産運用をする

資産運用はうまくいけば飛躍的にお金を増やすことができる方法です。自分の労働力を提供して収入を増やすのではなくお金を動かすことで増やす方法ですが、資産運用する際はある程度知識を備えておかなければなりません。投資商品は種類が多く、リスクやリターンなどそれぞれの特徴を踏まえないと元本割れするリスクがあるものもあります。投資商品の選定は、しっかりと投資の勉強をしたうえで慎重に行うことが大事です。

資産運用は生活費に手をつけてまで行わないようにしましょう。また、即効性があるわけでなく、すぐに多くの収入が得られるものでもありません。資金に余裕があればあるほど有利になってくるのが資産運用なので、無理して行わないことが大切です。とはいえ、長期に渡って運用することで銀行預金よりも高い金利が期待できます。資本がある人はぜひ活用しておきましょう。

4.貯金1億円のためのおすすめの資産運用1:投資信託

資産運用は多くの資産を手にすることができる数少ない方法ですが、リスクもあるため知識のないまま手を出してしまうと逆に損失を負ってしまうことになりかねません。なるべく失敗しないためには、リスクの少ない手段を選択しましょう。資産運用には初心者でも気軽に行える方法がありますが、ここでは特におすすめの「投資信託」について解説していきます。

4-1.投資信託とは?

「投資信託」とは、資産運用のプロにお金を預けて投資をしてもらう運用スタイルを指します。間に販売会社や運用会社などを挟むため、その分手数料を支払わなければなりません。その代わり、リスクを軽減しながらリターンが期待できるので、資産運用について知識がない人にはおすすめの手段です。

4-2.投資信託のメリット

投資信託のメリットとしては、「少額の資金から始められる」という点が挙げられるでしょう。「つみたてNISA」や「iDeCo」は少額からでも毎月コツコツと積み立てていけるうえ、運用益は非課税なので積み重ねた利益が減ってしまうようなことはありません。また、投資商品も種類が豊富なのでリスクを調整することもできます。そして何より運用のプロに任せられるため、初心者でも安心して行うことができます。投資は一筋縄でいかないことも多く、知識を得るにはそれなりに経験を積まなければなりません。投資の勉強に時間を費やすことができなくても資産運用できるのは、投資信託の大きなメリットといえるでしょう。

4-3.投資信託の注意点

投資信託はリスクの少ない運用方法なので安心して行えるのは確かですが、手数料がかかってしまう点にはあらかじめ注意が必要です。運用状況によっては手数料が引かれることで元本割れすることがあるかもしれません。また、投資信託は仕組みがややこしく、ルールも複雑なのですぐに理解するのは難しいでしょう。想定外のトラブルに巻き込まれないように規約等をしっかり確認しておく必要があります。

さらに、商品が多いのが投資信託のメリットではありますが、裏を返せばどれを選べば良いか悩んでしまう可能性もあります。初心者であったとしても、投資する金融商品の知識くらいは備えておいたほうがいいかもしれません。

5.貯金1億円のためのおすすめの資産運用2:株式投資

そのほかにおすすめの方法としては「株式投資」が挙げられます。投資信託は資産運用のプロに任せることができるので初心者に適している方法でしたが、株式投資はまた違った特徴があります。どのような特徴があるのか詳しく触れていきましょう。

5-1.株式投資とは?

「株式投資」とは、企業の株に投資することで資産を運用する方法です。似たようなものに社債がありますが、社債はお金を貸している状態なのでいつか返ってくるという前提があります。一方、株は出資することになるので、万が一倒産した場合は出資金が戻ってくることはありません。損失を抱えないためにも、出資先を決める際は企業の将来性などを見極める能力が必要になってきます。資金や知識が必要なのはもちろんですが、どれだけ先のことを読めるかが重要です。比較的難易度の高い方法であるのは確かでしょう。

ちなみに株式投資は、企業の株が上がった場合の値上がり益や配当金、株主優待をもらうことで利益を得ます。

5-2.株式投資のメリット

株は、配当金や株主優待などのインカムゲインと、値上がり益のキャプタルゲインの両方が狙えるのが特徴です。リターンの形がいろいろあるため、うまくいけばかなりの利益を得ることができます。発展途上の企業でも可能性を感じて投資しておけば、成長したときに多くの利益が得られるかもしれません。そういう意味では夢のある運用方法ともいえるでしょう。

株で得た利益は課税対象となりますが、NISAを利用した場合は運用益が非課税になります。資産運用は動く金額が大きくなることもあり、非課税になることは非常に大きなメリットです。また、銀行預金よりも一般的に利回りが良いので、資金に余裕があるほど利回りの効果は大きくなります。最初は少額だったとしても、運用を続けて資金を増やすことができれば多くの利益を得られるでしょう。ただ貯金していくだけでは、いくらお金が貯まったとしても利回りは変わりません。1億円を貯めることを考えたら、銀行預金よりもはるかに効率がいいのは確かといえます。

5-3.株式投資の注意点

株式投資は、数万円で買える株もあるので始める際のハードルはそこまで高くありません。しかし、数万円で買える株は未知数な部分も多くリスクも高いものがほとんどです。また、急激な上昇を狙うのは簡単ではないため、どちらにせよまとまったお金が必要になります。投資信託と比較してみてもリスクは高く、増やそうと思った資産を逆に減らしてしまう可能性もあるので、資金に余裕のない人にはあまりおすすめできません。株式投資を行う際は、無くなっても惜しくないお金を準備すること、あるいは企業を見る目を養うことが大切になってきます。

6.貯金1億円のためのおすすめの資産運用3:不動産投資

もう一つのおすすめの資産運用として、「不動産投資」が挙げられます。上で述べたような方法とは違って始める際のハードルは高いですが、不動産投資ならではのメリットもあり、うまくいけばかなりの利益を得ることができます。不動産投資にはどのような特徴があるのか、ここで確認しておきましょう。

6-1.不動産投資とは?

「不動産投資」は、不動産を使って資産運用することを指し、主に2種類の収益パターンがあります。1つ目に挙げられるのが、アパートやマンションを購入して、部屋を貸し出すことで賃料を得る方法です。「家賃収入」と呼ばれることも多く、定期的に収入が得られるのが特徴といえるでしょう。もう1つが今後値上がりしそうな土地や建物を購入して、値上がりした時点で売り切る方法です。安い物件でも都市開発が進めば値段が跳ね上がることもあります。それを見極めるには相応の目利き力やリサーチ力が必要なため、誰もが簡単に行える方法とはいえません。

6-2.不動産投資のメリット

ハードルの高い不動産投資ですが、賃料で稼ぐ場合は長きにわたって安定的な利益が期待できるというメリットがあります。投資金も時間をかければ回収できるので、アパートやマンション、駐車場などを運営するのというのも一つの手かもしれません。インフレにも強く、不動産の価値は変わらないといわれています。間違った物件を選ばなければ堅実に利益を得ることができるでしょう。不動産同様、高利回りが期待できるほか、動かす金額が大きいので、将来に向けた資産形成にも役立てられます。

6-3.不動産投資の注意点

不動産は賃料で稼ぐことができるというメリットがある反面、空き家や老朽化のリスクがつきものです。価値の低下によって、損をする可能性があることも想定しておかなければなりません。また、自然災害にも弱いという特徴があります。少しでも被害を防ぐためには、土地柄などをしっかりリサーチしておきましょう。

そのほかにも、換金性が低いのでいざという時の現金にはなりづらいという点は理解しておいたほうがいいでしょう。相続税の対象にもなるので、老後のライフプランを考慮しながら慎重に検討することが大切です。

7.1億円を目指すならファイナンシャルプランナーへ相談しよう!

1億円の貯金は決して簡単に実現できるものではありません。少しでもその可能性を手繰り寄せるのであれば、ファイナンシャルプランナーに相談してみることをおすすめします。金額が大きいため、家計の見直しや資産の把握、計画などを含めて専門家の意見をもらいながら貯金していくことが大切です。無料で気軽にプロに相談できる「お金の健康診断」というサービスがあるのをご存じでしょうか。自分の相談内容に合ったファイナンシャルプランナーを紹介してくれるので、貯金で悩んでいる人は利用してみるといいでしょう。

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