ティール組織は日本の働き方を変えるか? 事例をもとに考える
(画像=『さくマガ』より引用)

性善説をもとに社員を信じる

田中さん:さくらインターネットの田中です。エンジニア出身で、高専(高等専門学校)でロボットを作っていました。「趣味はなんですか?」 と聞かれることがあるんですけど、「趣味はサーバです」と答えるほどサーバが好きです。

27歳で上場をして、上場した年齢が4番目に若く、素晴らしい記録だと思うじゃないですか。ただ、2年で債務超過になり、最速債務超過ランキングでも4位になっています。売上が伸びず、多くの人が辞めてしまったことをきっかけに、働き方について見直すようになりました。

あと、2014年に青野さんが企画してくれて、「原丈人さんを囲む会」をおこなったんですね。原さんは「公益資本主義」を提唱されている方なんですけれども、原さんとの出会いによって「みんなが良くなる」という価値観が入ってきたのもきっかけの一つです。

さくらインターネットの人事ポリシーとして「性善説 社員を信じる」というものがあります。性善説をもとに、人事制度を作っているんですね。それが『さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)』制度です。いくつか紹介させてもらいます。

  • さぶりこショート30:仕事が早く終われば定時の30分前に退社できる。
  • さぶりこフレックス:勤務時間を自分で選べる。10分単位でスライド可能でショート30と併用も可能。
  • さぶりこパラレルキャリア:起業や別会社での就業、ボランティアを通して、さまざまなキャリアに挑戦できる。
  • さぶりこリフレッシュ:柔軟な有給休暇制度。休暇は1時間単位から取れ、2日以上の連続休暇で1日につき5,000円支給される。

働き方改革とよくいわれますが、経営者から変わっていく必要があると思っています。わたしは2年前に1ヵ月間バカンス休暇を取ったんですけど、会社がまわらないんじゃないかという不安があったんです。それと同時に会社がうまくまわってしまったらどうしようという不安もあったんですね。

結果はうまくまわってました(笑)。社長ってそんなもんだと思うことで組織はよくなるのかなと思います。

ティール組織は日本の働き方を変えるか? 事例をもとに考える
(画像=『さくマガ』より引用)

多様性は強さ。組み合わせたらさらに強くなる

青野さん:サイボウズの青野です。わたしたちのキーワードは「100人100通りの働き方」です。「男性」「女性」といったカテゴリで分けないで、一人ひとりを重んじませんか? という考えですね。

もともとはベンチャー企業なので、昔はみんな長時間労働が大好きで、週に1回徹夜会議があったんですよ。2005年に離職率が28%まであがってしまって、「これはマズイぞ」となっていろいろと対策を始めました。

辞めていく人の理由はさまざまということが分かり、一律のやりかたではあかんぞということで「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」という人事制度の方針をかためました。

働き方の多様化へのチャレンジをいくつか紹介します。

  • 働く時間と場所の選択:残業なし、短時間勤務、在宅勤務、週3日勤務等を選択できる。
  • 副業(複業)の自由化:誰でも基本会社に断りなく副業できる。
  • 人事部感動課:社内に感動を作る専門職種がある。
  • 自由に作れる部活動:自由に部を作れて、部員ひとりあたり、年に1万円支給。
  • 大人の体験入部:誰でも他の部署に体験入部できる。

他にもたくさんありますが、キリがないので省略します。日々、議論をしていて、人気のない人事制度はリニューアルや統廃合されています。こうした取り組みの結果、離職率は28%から5%前後まで改善し、売上も伸びています。

多様性が大事とよくいわれますが、多様性は強さだと思うんですよ。組み合わすとさらに強くなるし、違うからこそ強いと思っています。

まとめ

今回のイベントでは、各社の働き方について事例をまじえて紹介していました。

イベントに参加された皆さまが熱心にお話を聞いていたのが印象的です。働き方については誰もが関心のあることだと思います。まずはこれまでの働き方を見直して、新しい働き方を考えてみてはいかがでしょうか。

ティール組織は日本の働き方を変えるか? 事例をもとに考える
(画像=『さくマガ』より引用)

[イラスト解説]ティール組織――新しい働き方のスタイル

作者: フレデリック・ラルー,羽生田栄一,エティエンヌ・アペール,中埜博,遠藤政樹
出版社/メーカー: 技術評論社
発売日: 2018/11/27
メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

提供・さくマガ(「やりたいこと」を「できる」に変えるWEBマガジン)

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