老後の備えや、海外旅行へ行く目的で貯金や節約を行っている人も多いですが、ただやみくもに始めても挫折してしまうことがあります。挫折しないためには、ダイエットと同じようにモチベーションを維持することが必要です。そこで今回は、節約や貯金についての基本的な考え方と、出費の項目別に具体的な節約術を紹介します。

1.節約や貯金をする際の基本的な考え方

節約や貯金を始める際に、挫折しないための基本的な考え方を紹介します。

1-1.貯金は天引きで確保する

確実にお金を貯めるには、貯金の仕組みづくりが鍵になります。毎月の給与から使って残った分を貯金するといった方式では、どうしても使ってしまい、貯金に回すお金が残らないことが多くなります。では、貯金の仕組みづくりとはどういったものでしょうか。貯金の仕組みづくりは以下の2点を実行するだけで可能になり、確実にお金が貯まるようになります。

1.貯金専用の口座を作る
貯金の仕組みづくりは貯金専用口座を作ることから始めましょう。銀行口座は1つに統一したほうが管理しやすくて便利ですが、給与の振り込みやクレジットの支払い口座と一緒にしていると、貯金額を把握しにくいというデメリットがあります。また、せっかく貯金が貯まっても、カードの支払いでいつの間にか貯金が減ってしまっていることもあります。これが、お金がなかなか貯まらない原因のひとつです。

2.貯金は天引きで確保する
あらかじめ毎月の貯金を決めておき、毎月の収入から差し引いて(天引き)、貯金専用口座に入金すれば、毎月一定額の貯金を確保することができます。貯金は「固定費」と考え、収入から天引きして確保すると、貯金の金額を毎月減らさずに継続することができます。銀行で口座振替や、定額自動送金などの手続きなどを済ませれば、半強制的に貯金ができるので、誘惑に負けずにお金を貯めることができるでしょう。

貯金の天引きには、給与の振込口座と同じ銀行の「自動積立定期預金口座」を利用すると便利です。自動的に積立用の口座が開設できるので、別途、貯金専用口座を作る必要はありません。振替日を給与の振込日か、その翌日に設定しておけば、自動的に貯金をすることができ、振込手数料もかかりません。

1-2.目標を立ててモチベーションを維持する

毎月の貯金額を増やすには節約が必要です。節約を続けるにはモチベーションを維持することが大切です。しかし、モチベーションを維持するのは難しいものです。ダイエットと同じように、途中で挫折して辞めてしまう人も少なくないでしょう。では、モチベーションを維持するにはどうしたらいいでしょうか。それは、目標を設定することです。貯金の目標を設定して普段から常にそれを意識することで、節約のモチベーションを維持することができます。貯金の目標を設定するというのは、貯金の目的、目標金額と期間を決めることです。

1.貯金の目的を決める
まず大事なのは、貯金の目的をはっきりと決めることです。これといった目的のないまま、将来のために貯金しておこうと思ってもなかなか貯まりません。目的はなんでも構いません。旅行へ行くとか、車を買うとか、なるべく具体的にイメージできる目的のほうが良いでしょう。老後の備えが目的の場合は、具体的にいくら必要なのかを決定します。

2.目標金額と期間を決める
次に、貯金の金額と貯金を貯める期間を決めます。いつまでにいくら貯めるのか、目標が明確であればあるほど、モチベーションの維持がしやすくなります。目的が決まれば目標金額はだいたい決まってくるので、貯める期間の設定が大事になります。実現可能な範囲内でなるべく短期間に設定することがポイントです。あまり長い期間に設定すると、モチベーション維持の効果は薄れてしまいます。老後の資金を貯めるような場合は期間が長くなってしまうので、1年ごとに期間を区切って目標金額を設定すると良いでしょう。

このように貯金の目標を立てて、自分に合った方法で節約を行えば、モチベーションを維持することができ、節約にかかる手間やストレスといった負担が少なくなり、継続しやすくなります。

1-3.家計簿をつけて収支の管理をする

節約や貯金をしようと思った時、ただやみくもに始めてもうまくいかないことがあります。貯金がなかなか貯まらない場合は、まずは「何にお金を使っているのか」という点を洗い出すことから始めてみましょう。その際に活用できるのが家計簿です。家計簿をつけることで収入と出費を正確に把握することができます。すると、何にお金を使っているのかが明確になり「なぜお金が貯まらないのか」という問題点も見えてくるでしょう。

・家計簿は必要な出費と浪費を区別して記載する
家計簿を節約に利用するためには、必要な出費と浪費を区別して記載することが重要です。出費には生活するうえで必要な出費と、必要ではない出費があります。生活に必要でない出費は浪費です。たとえば、家賃や食費、水道・光熱費は必要な出費ですが、お菓子やジュース、映画などのレクリエーションにかかる料金は、なくても生活には困らないので浪費として記載します。このように家計簿をつけることで月々どのくらいの金額を浪費しているのかが把握できるようになります。浪費をなるべく少なくすることが節約のポイントです。

・浪費はある程度許容する
ただし、浪費を完全に無くしてしまうと生活に楽しみがなくなってしまいます。それがストレスにつながると、節約のモチベーションを維持できなくなり逆効果です。浪費もある程度許容して節約生活を楽しみましょう。

1-4.収入源を増やすことも大事

貯金をする上では、節約という出費の削減が基本となりますが、収入を増やすということも考え方としてあります。収入を増やすには、以下のような方法があります。

・副業を始める
副業については各社が解禁し始め、アフィリエイトや配送代行など、さまざまな種類があります。自分に合ったものにチャレンジしてみましょう。

・夫婦共働きをする
夫婦のどちらかが家事専業の場合は、共働きにすることで大きく収入を増やすことができます。いきなり本格的に働きだすと、ライフスタイルが大きく変わってしまうので、パートやアルバイトから始めたほうが良いでしょう。

・給与が高い会社に転職する
現在の給与が低い場合は、より給与が高い会社に転職するという方法も考えられます。同じ業種であれば、経験や知識を生かして即戦力になることができるので、収入アップが望めます。

以上のような対策を講じることで、貯金に回す金額を増やし、より安定した貯金を実現できる可能性があります。

1-5.資産運用でお金を増やすことも大事

コストカット(節約)と収入アップ、そしてもう一つ重要なのが、今あるお金を「増やす」ことです。具体的には資産運用などが挙げられます。低金利の日本では、銀行に預けていても利息はわずかです。投資信託や株式投資などを取り入れ、時間をかけてお金を増やしていくことも大事になります。資産運用にはリスクがつきものですが、リスクが低いものもあります。貯蓄におすすめなのが、投資信託と日本国債です。

・投資信託、日本国債
投資信託にはリスクの高いものとそれほどでもないものがあります。元本確保型投資信託は、運用する際に国債など価格変動しづらいものに投資する割合が多いので、特にリスクが少ない商品といえるでしょう。日本国債は投資信託や株式投資ほどの利回りは期待できませんが、元本割れのリスクがほとんどないので初心者でも安心です。なお、投資信託の場合は、話題のつみたてNISAや、iDeCo(イデコ)なら運用益が非課税になり、その分の税金が節約できます。株式投資ならNISAで運用益は非課税となり、株主優待など楽しめる要素もあります。

・NISA、つみたてNISA
NISAは投資で得た利益にかかる約20%の税金を非課税にできる制度で、「NISA口座」を利用することで、年間120万円まで5年間非課税になります。つみたてNISAというのは、少額から長期・積立・分散投資を支援するために新しくできた制度で、貯蓄から資産形成がしやすくなっています。従来のNISAとの主な違いは非課税投資枠が年間40万円、投資期間が最長20年になることです。

・iDeCo
iDeCo(イデコ)は個人型確定拠出年金のことで、資産運用としても利用価値が高く、節税効果が期待できます。年金なので60歳まで引き出せないというデメリットはありますが、老後資金の備えには向いています。

2.食費にかかわる節約術&貯金術

ここからは具体的な節約方法を項目別に紹介します。まずは、食費にかかわる節約術&貯金術です。

2-1.買い物に行く頻度を減らす

食費を節約するには、買い物に行く頻度を減らしましょう。貯金ができない人は買い物に行く回数が多く、お金が貯まる人は買い物に行く回数が少ないという傾向があります。その理由は、買い物に行くと必要のない物まで欲しくなって、ついつい、衝動買いしたくなるからです。必要のない物は浪費につながります。買い物に行く頻度が多いと、そもそも「買う機会」が多くなり、「浪費する機会」も多くなりがちです。コンビニにしろ、スーパーにしろ、買う機会を減らすことで、誘惑を減らして浪費を抑えることができます。ネットショッピングも同様です。必要なものがない場合は、ネットショップにアクセスしないことが浪費を防ぐポイントです。

衝動買いを抑えるという意味では「お腹が空いているときに食品売り場に行かない」という点も大事です。お腹が減っている状態では、何でもおいしそうに見えてきます。特に、好きな物が目の前にあれば、どうしても食べたくなってしまうでしょう。食品売り場に行くのは食後がおすすめです。

2-2.安くても必要のないものは買わない

必要のないものは買わないこと。これが節約の大原則です。食料は週に1~2回、まとめて買い物に行くと良いでしょう。スーパーの特売日に合わせることができれば、いっそう節約効果は高くなります。食事メニューをあらかじめ決めておき、必要な食材だけを買い、それ以外はなるべく買わないことが節約のポイントです。

安いからといって、不要な食材をまとめ買いしてはいけません。冷凍食品など保存が効く食品は、大袋でまとめて買ったほうが経済的ですが、保存が効かない食材を余分に買うと、使いきれずに捨ててしまう可能性があるからです。安くても使い切れなければ無駄になってしまい、浪費につながります。

買い物に行く前に予算も決めておきましょう。予算が決まっていないと、ズルズルと出費がかさんでしまいます。その日の買い物で使う金額の上限を決めておけば、無駄な出費を防ぐことができます。買い物に制限時間を決めておくのも効果的です。時間に余裕があると、いろいろな食品が目に入り、予定にない品物まで買ってしまうケースがどうしても多くなります。時間に余裕がなければ、必要な食材のコーナーにしか立ち寄ることはないので、結果的に無駄な出費を少なくすることができます。

2-3.決済方法やポイントでお得に買い物をする

決済方法の工夫やポイントを活用することで、食費を節約することができます。現金で支払うよりも、クレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス決済を利用したほうが、ポイントが付いてお得です。利用する店舗や決済方法によって還元率が異なる場合があるので、かしこく利用しましょう。

店独自のポイントカードをうまく活用するのも一つです。ポイント付与の大きい商品を選択したり、ポイントが倍になる日に買い物をしたりすることで節約できます。こうした決済方法の工夫やポイントを意識した立ち回りをするだけでも、お得度はだいぶ変わってきます。浮いた分を貯金に回しましょう。

ただし、キャッシュレス決済は手持ちの現金が減らないので、支払った感覚に乏しく、いつの間にか出費がかさんでしまうことがあります。使いすぎを防ぐには家計簿をつけることが大切です。家計簿をつけることで、キャッシュレス決済で支払った出費も把握することができるので、浪費を防ぐことができます。

3.固定費にかかわる節約術&貯金術

次に、固定費にかかわる節約術&貯金術を紹介します。

3-1.保険や住宅ローンを見直す

保険は毎月固定でかかってくるものですが、本当に必要かどうかを見直してみましょう。加入当時は必要だったものが、今は不要になっていて無駄に払っているケースもありえます。保険の見直しのポイントは、必要最低限の保証に抑えることです。あったほうがいいと思う程度の保証は必要ないのでカットします。独身であれば、死亡保証金は葬式代として300万円程度で十分です。手厚い医療保険も必要ありません。健康保険や高額療養費制度などの公的な医療制度が充実しているからです。高額な医療費を支払った際は、高額療養費で払い戻しが可能です。

住宅ローンも金利によって借り換えたほうが、お得になるケースがあります。ネット銀行の中にはかなり低金利なものも存在します。住宅ローンは金額が大きいので、少しでも金利が下がれば、大きな節約につながります。常にチェックしてお得なものを選択したいものです。こうした固定費はかかることが当たり前という意識がありますが、見直すことで大幅に削減できる可能性もあります。固定観念にとらわれずメスを入れていきましょう。

3-2.使っていないサブスクリプションを解約する

サブスクリプションとは月額定額制のサービスのことです。音楽聞き放題、映画やドラマ見放題、マンガ読み放題など、スマホの普及に伴って身近なものになってきました。便利なサービスですが、不要なサービスに加入していないか見直してみましょう。料金はクレジットカードなどで自動引き落としになるので、使っていないのに加入したままで、毎月料金を支払っているサービスがあるかもしれません。

サブスクリプションの一つひとつは低料金でも、契約数が多くなると家計の負担も大きくなってきます。使っているサービスでも、本当に必要なものかを吟味して、必要でないならばっさりカットするという決断も必要です。固定費の削減は額が大きいのに加え、カットした分をそのまま固定費として貯金に充てられるのが利点です。

3-3.水道や電気の使い方を見直す

身近な節約でいえば、水道代や電気代の削減も大事です。家計の節約面だけでなく、地球規模での環境面や省エネルギーにもつながります。水道光熱費は固定費ではありますが、使用した量に応じて料金が変動するので、自分の使い方次第では削減できる可能性があります。

たとえば、水道は水洗トイレの節水器や、節水シャワーヘッドなどを利用すれば、水の使用量を減らすことができます。電気の場合は契約アンペア数を下げることで、基本料金自体を下げることができます。また、電力自由化により電力会社を選べるようになり、夜間の電気代が安くなる料金プランなども選べるようになりました。生活にあった料金プランに変更することで、月に数千円の節約も可能です。日々使うものを意識することで、節約をしているという意識を毎回想起でき、節約への意識を高めることができます。

4.交際費や娯楽費にかかわる節約術&貯金術

最後に、交際費や娯楽費にかかわる節約術&貯金術を紹介します。

4-1.不要不急な飲み会には参加しない

飲み会の頻度が多い人ほど、その分の出費も多くなります。好きで飲み会に参加している場合は、飲み会が多い月はその他の出費を控えることで、全体の出費を抑える工夫が必要です。しかし、行きたくないのに無理に参加してお金を落としているのはもったいないことです。勤務先の行事や歓送迎会には参加せざるを得ない場合も多いでしょうが、日常の飲み会であれば断る勇気も必要です。本当に必要なものかどうかを考え、不要なものはキッパリ断り、コストカットをめざしましょう。

ただし、職場の人間関係も大事なので、その後の関係に影響のない範囲を意識したいところです。飲み会に参加しても1次会でやめるとか、金額を決めて参加するとか、柔軟に対応するのが良いでしょう。

4-2.お金のかからない趣味を始める

出費の中でも趣味に使う費用は人によってウェイトが異なります。こだわりのある人は趣味にお金をかけてしまい、家計を圧迫してしまいがちです。そのような場合は、お金のかからない趣味を導入するのも一つの手です。散歩や資格勉強、掃除、料理など比較的お金をかけずに楽しめる趣味はたくさんあります。お金のかかる趣味から、お金のかからない趣味へと移行できれば、趣味にかけていた費用を節約することができます。

おすすめなのは、散歩やウォーキングです。軽い運動なので誰でも簡単に始められます。健康にもいいし、ストレス解消にもなります。周囲の景色を楽しみながら歩くことで、脳が活性化して良いアイデアが浮かんでくる可能性もあります。

4-3.チケットを安く手に入れて楽しむ

休日にテーマパークや映画に出かける際には、チケットの入手方法を工夫することで、少しではあっても節約につながります。娯楽施設の入場券や、新幹線の乗車券などは金券ショップで安く入手できないかを確認してみましょう。金券ショップや株主優待などを活用できると、単価の高いチケットを安く仕入れることもできます。単価が高い分、割引率も高いので、浮いた分を貯金箱に入れれば、貯金も貯まっていきます。

節約中だからといって、レジャーには行かないと決め込むと、生活の楽しみがなくなってしまいます。その結果、ストレスがたまり節約のモチベーションが維持できなくなってしまう場合もあります。適度に遊びつつも、その中で節約できる方法を模索していくことが、節約を続けるコツです。

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