自分に自信を持てない人にありがちなのが、「こちらに好意があるとわかったら自分も好きになる」という姿勢で異性と関わること。傷つきたくない、安心して恋をしたい気持ちはわかりますが、そんな自分が相手にどんな印象を与えるかを考えないと、結局本命にはなれずに終わってしまいます。こんな人が見落としているものについてお話しします。
■“いい雰囲気”だったのに男性が離れていく
35歳のある女性は、好きになった人が彼女持ちで二股をかけられそうになったり、またあるときは交際している男性に浮気されたり、うまくいかない恋愛を繰り返していました。
「私に男を見る目がないからだ」と彼女は悩み、それから積極的に男性と親しくなることを避けはじめます。いいなと思う人がいても、自分から近づくことはやめ、相手がこちらに興味を持ってくれたら応える。そんな接し方で、相手の気持ちを先に知ってからじゃないと行動しなくなりますが、それでも仲良くなりたがる男性がいました。
食事やドライブに誘ってくれて、お店も彼女の好みをまず聞いてくれる男性。そんな姿に、彼女は「好かれている自分」を感じて幸せだったそうです。
ですが、そんな時間を何カ月か繰り返したにも関わらず、ある日、「何を考えているかわからない」と言い残して、男性は去っていきました。
「私なりにきちんと彼の気持ちに応えていたつもりだったのに、何がいけなかったのだろう」と彼女は悩みます。誘われればほかの用事を断っても彼を優先し、デートのときは服もメイクも女性らしさにこだわり、家に帰れば「ありがとう」のLINEを欠かさない。そうやって“自分なりに”男性に好意を伝えていましたが、それらが届いていなかったと彼女は考えていました。
“いい雰囲気”であることを彼女はわかっていたし、このまま関係が進めば自然と付き合えると思っていたけれど、現実では男性は遠ざかりました。彼女には、「そんな自分が男性にどう思われるか」の視点がなかったからです。
■「好かれてから好きになりたい」気持ちは隠していても伝わる
話を聞くと、彼女の言動は以下の点が目立ちました。
・自分からは滅多に誘わない
・連絡は彼を気遣って控えめに
・恋愛感情があることは伝えない
・デートの段取りはすべて男性に任せる
・まだ一緒にいたいと思っても、男性から言われない限り我慢する
つまり、自分の気持ちより男性の意思を尊重したいのであって、それが好意なのだと彼女は思っていました。確かに、自分から会いたいと言わないのも普段から用事がなければLINEを送らないのも、男性に負担をかけたくないからとする彼女の気持ちはわかります。食事が終わってさあどうしよう、という雰囲気でも、「まだ帰りたくないな」と言えば男性を困らせるかもしれない、と不安にもなるでしょう。常に男性の気持ちを先に知り、それに合わせる自分について、彼女は何の違和感も持っていませんでした。
それならどうして男性は去っていくのでしょうか。自分の意思を尊重してくれる彼女に、どんな不満があったのか。
彼女の言動は、男性に「常にこちらが先に好意を示さないといけない」というプレッシャーを与えます。
・いつも自分から誘わないとデートはできないし、連絡も彼女のほうからは滅多に来ない。
・一緒にいても自分が何も言わなければ、食事をしてそのままバイバイになってしまう。
・行きたい場所やお店なども、自分が段取りをするのが当然で彼女のほうから提案はない。
応えてもらえるのは確かにうれしいけれど、彼女のほうから積極的に関わる気持ちが見えないことが不安になるのですね。
彼女は、「一週間ひたすら彼からの連絡を待っていた」というときがあり、これも彼女にとっては「男性の連絡したくなる気持ちを待った」ことになりますが、男性からは「自分から連絡したくなるほどの好意はない」と見える可能性もあります。
彼女の言動は、男性にとって「自分から好意を示したときにだけ反応がある」のが実感です。それは、「好かれてから好きになる」という彼女の関わり方を知ること。男性は、そんな姿に関係を続ける気が失せたのではないでしょうか。彼女は「そんなことはない」と否定しますが、彼女の言動が受け入れられていなかったのは、男性が離れていった現実を見ればわかります。
■気持ちの交換を望む男性の気持ち
関係が終わったとき、彼女は「何を考えているのかわからない」と男性に言われました。
これを聞いて、彼女は自分なりに好意を伝えていたけれどそれが届いていなかった、と思ったそうですが、実際には「好き」「会いたい」など自分の気持ちを口にしたことはなかったそうです。反対に、男性は「いつでも誘ってほしい」「明日、もし良かったら会いたい」と彼女に伝えています。それを聞いてはじめて彼女は動くのですが、男性に返す言葉は「わかりました」や「大丈夫です」など、好意を感じられるとはいえないものばかり。
こんな返事をもらい、男性はがっかりしたであろうことが想像できます。
「もし良かったら会いたい」と言えば、望むのは「私も会いたい」と同じ気持ちであることがわかる言葉。「誘ってほしい」と伝えたのなら、「わかりました」ではなく「いつなら大丈夫そうですか?」と本当に声をかけてくれる彼女を見れば、好意も深くなるのではないでしょうか。
「誘ってほしい」と言われたとき、彼女は「いざ声をかけても彼の都合がつかなかったら恥ずかしいから」と思って行動しなかったそうです。そんな自分が男性にどう思われるのか想像できなかったことが、男性に「何を考えているのかわからない」と思わせます。気持ちの交換がしたいという男性の肝心な気持ちは汲まずに、「好かれている自分」を先に知りたがる姿勢が、関係の終わりを呼ぶともいえます。
■「まず、自分が好きかどうか」を考える
過去にトラウマがある、両想いになった経験がないなど、心が深く傷ついていると「これ以上惨めな思いをしたくないから」と先に好かれる恋愛を望むようになります。無意識のうちに「好かれてから好きになろう」と思っているので、どうしても受け身なまま関係を続けようとするのですね。
ですが、「好かれている自分」の実感を欲しがるばかりでは、相手のプレッシャーや負担に気がつきません。積極的に愛したい人は自分から誘うことなどは普通にこなしますが、それでも、「同じ気持ち」を感じられないつながりではいつしか寂しさのほうが大きくなります。
好きになることにためらいがないからこそ、相手はそうではないと知るのは悲しいことです。
「この人は私のことが好きだから、私も好きになる」という恋愛より、「ただこの人のことが好きだから」関係を続けたいと思う恋愛のほうが、シンプルで純粋な愛情を育てられます。相手に軸を置いた恋愛ではなく、「まず、私はこの人のとこが好き」と思えると、うまくいかせようとする気持ちが強くなりますよね。その心で相手の気持ちをしっかり受け止めるのが尊重であり、お互い負担を感じることなく愛情を向けられるはずです。
自信がないから先に好かれたいと思っても、実際に好きになった側は「その後」を考えます。いつまでも先出しの愛情に頼るのではなく、「まず、私が好き」と思えるのならこちらからも愛情を出し惜しみしないのが吉です。
その姿を見て、相手は「愛してもいいのだな」と安心感を得ます。気持ちの交換はふたりの絆を育てる大切な機会であり、伝えてこそ価値のあるものです。愛することには勇気がいりますが、それを避け続ける限り本当に望む関係は手に入らないことを、受け身の人は考えなければいけません。
※この記事は2020年2月27日に公開されたものです
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