【執筆者:西出 滋】
銀行、証券・投資顧問、保険と金融3業態すべてを経験した、金融業界25年のFP。外資系投信投資顧問とヘッジファンドで年金運用のファンドマネージャーを歴任しており、特に資産形成・資産運用の相談を専門としている。
今回は、投資で幸せになることができるのかについてお話しします。
みなさん何かをするときには目的があると思います。では、みなさん投資で幸せになれるのかについてどう思いますか。
いくつかの根拠を示しながら投資で幸せになるにはどうするのかを紹介します。
お金で買える幸福度には限界がある
大前提として、お金で買える幸福には限度があることが明らかになっています。
言い換えれば、幸福と所得は比例しないということです。ある程度のところまでは比例するのですが、一定以上になると比例しないことがわかっています。
これはアメリカの調査会社ギャラップが発表したデータ結果です
この会社は投資家のセンチメントなどを発表している会社です。投資家が今強気なのか何に注目しているのか、今後株式が動く要因は何かなどを発表しています。
幸福には様々な側面があります。どういったものかというと以下の3つが挙げられています。
①楽しみ、笑顔、笑いなどのポジティブな感情
笑顔の時は幸福感を感じているのではないでしょうか。
このような幸福もある一定の所得を超えてしまうとあまり大きくならない、ピークをすぎると伸びないことがわかっています。このピークになる所得水準とはいくらかというと、6万ドル程度(640万円)と言われています。これは日本を含む東アジアの数字です。
これを大きく超えてもポジティブな感情は人によってあまり違いがないのです。
②ネガティブな感情が湧かなくなる
ストレス、怒り、不安などを感じると自分は不幸だと考えることもよくあると思います。この感情もある所得水準を超えてくると湧かなくなってくることがわかっています。
このピークは5万ドル(535万円)くらいとなっており、この所得を超えてくると日々の生活に不安や怒りが湧かなくなってくるのです。これは理解しやすいのではないでしょうか。
③人生における総合的な満足度
認知的評価とは何が自分へのストレスになるのかと定義されています。わかりやすくいうと人生における総合的な満足度というように考えて問題ありません。
この幸福度のピークは11万ドル(1177万円)程度と言われています。
ここまで行くとほぼほぼどんなことも幸せに感じられる、所得的にも幸せな状態と言えるでしょう。
日本の現状と比較
では、日本の所得水準はどうなっているのか。厚生労働省のデータによると、
世帯平均年収は551.6万円
平均値は上の異常値に引っ張られるので、正しくみるには中央値から判断するべきでしょう。
中央値は423万円
この数字はいかがでしょうか。
この中央値は①の幸福を感じる所得ピークに対して、200万ちょっとの差を埋めるのに投資でできるかもしれません。
②投資によってネガティブな感情が湧きにくくなるに対しては110万円程度の差がありますが、①幸福よりもさらに差が小さく投資によって埋めることはさらにやりやすくなるでしょう。
③人生の幸福に対しては少し乖離が大きい数字となっています。しかし、長い年月をかければ配当や だいぶ緩和はできるのではないかと思います。
投資で幸せになるための注意点
ただし、一番よくないのは投資に振り回されることです。ネガティブな感情を投資によって逆に生み出してしまう可能性もあります。
SNSを見ていても投資に失敗してしまったという方は多くいらっしゃいます。もしその人が年収650万円だったとしたら何しなければネガティブな感情を生み出さなかったはずなのに、投資によってそれを生み出してしまっていることになります。
将来の資金を蓄えるために投資をしている方は、長期的な視点で日々の相場の動きに一喜一憂しない方が良いかもしれません。
すでに高い年収を得ている方は、投資とは社会的貢献を果たしているのだという程度に考えると幸福度が上がるのかもしれません。
まとめ
投資で幸せになることができるのかについて説明しました。
所得による幸福は限界値があるということ、そして投資によって不幸感を味わうことがないように気をつけてほしいというのが今回の内容です。
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