昨日は、どうあれ「あんぱんを焼く」という展開にこじつけた筋の悪さについて書きましたが、その意味での筋の悪さは今回、拍車がかかっているように感じます。稼ぎがなくなって困窮した石屋にパン焼き用の石窯を「作らなければパンは焼けない」とヤムおじ(阿部サダヲ)は言いますが、じゃあうどん屋で焼いてた第1話のパンや第1週の最後を締めくくった超うまそうなあんぱんはどうやって焼いたのか。うどん屋に窯があったというのか。あったならまた借りればよいではないか。

 と言いつつ、まあそれはそれでよいではないかと思っちゃったなぁ。石屋だから石窯、そんなもんでいいんじゃないの? という不真面目な態度で、映像の快楽に身を委ねつつ見ていきましょう。

 NHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』第8回、振り返ります。

ダンゴ屋大活躍

 首尾よくヤムを呼び戻し、パンを焼かせる約束を取り付けたのぶちゃん(永瀬ゆずな)。ヤムと、大量のあんこを抱えたダンゴ屋を連れ立って朝田家に帰ってきました。

「これから、あんぱん作るがやき!」

 気に食わないのは釜じい(吉田鋼太郎)です。「二度とこの家の敷居はまたがせんと言ったじゃろうが!」などといきり立っていますが、身体が痛いのでどうにもなりません。そんな釜じいを尻目に、ヤムはそこらへんの石を物色すると土をこね、おもむろに石窯を作り始めるのでした。

 ここで、冒頭の“筋の悪さ”が頭をもたげてくるわけです。やっぱ窯いるよね? と。一方で、ずっとヤムに対して感じていた「どうやってパン焼いてるんだ」という疑問があって、それがいよいよ明かされていく、描かれていくというワクワク感が勝っちゃうんだよな。ホント、視聴者っていい加減なもんだと思う。

 ここでは石屋の弟子・豪ちゃん(細田佳央太)は親方の目が光っているので手伝うことができません。結果、男手はあんこを持ってこさせられたダンゴ屋の爺さん1人ということになる。しかもヤムは途中でダンゴ屋に窯作りを任せて台所に消えてしまう。