いくら子どもを信頼していたとしても、「お金のことに関しては一線を引いておいたほうがいいかもしれない」と話すのは、シングルマザーの奥村華子さん(仮名・40代/契約社員)。

 そんな華子さん自身も、息子を信じすぎて大反省したひとりです。

◆中学生のしっかり者の息子にスマホデビューを

スマホを見る制服の男の子
※画像はイメージです
 華子さんは、息子Tくんが保育園の年長に上がる頃に夫と離婚。その後は、生活費やTくんの将来の学費を稼ぐため、早朝から夜遅くまで働く毎日を送っていました。

 小学生のうちは学童保育に預けていましたが、中学生になれば頼れるところは塾ぐらい。

「ただ、あまり高い塾費は支払えないので、Tは週に何日かは誰もいないマンションに帰ってくる“カギっ子”になりました。不安はありましたが、私は親を亡くしていますし、兄弟もいない。Tを信じるという選択肢しかなかったのです」

 ただ華子さんは、Tくんが幼かった頃からひとりの人間として尊重し、何でも相談するなど、よい関係を築いてきたという自負がありました。そしてTくんも華子さんの期待に応え、真面目に宿題や勉強をしていたといいます。

「そんな息子から、『スマホを持っていないのは自分だけ』とせがまれ続け、中学2年生になった頃に『課金などはしない』という約束でスマホを購入したのです。息子が使うものでも親の私が付き添うなどしなくてはいけないので、私名義で契約しました」

◆減った給料を補うためにWワークを開始

洗濯物を膝に乗せて天を仰ぐ女性
 また、「契約後には閲覧や使用時間の制限をかけるかを悩みましたが、結局面倒になって設定しませんでした。そのことと、自分の名義で契約してしまったことは、いまでも反省しています」と、華子さん。

「スマホ購入後も、最初のうちは宿題や勉強、スマホを使った時間などをチェックしていました。でも、仕事の業務内容が変わって疲れがたまるようになった頃から、Tが口頭で報告したことを全面的に信用するようになっていったのです」