フランスでは「来週あたりから再び厳しいロックダウンになるらしい」とか、「2月のバカンスに合わせて学校も長めの休みに入るらしい」とか、いろんな噂がまことしやかに囁かれています。大統領から新たな発表がある度にビクビク…。昨年からずっと閉鎖されているレストランやカフェなどの再開に関しても、再び延期され少なくとも4月まではオープンできないのではないかと言われ始めています。
以前ご紹介したように、もう長いことレストランやビストロ、カフェなどでは持ち帰りしか許されていないため、さまざまな店が「テイクアウトメニュー」を工夫しています。その場では食べられないけれど、大好きなお店の料理を持って帰っておうちでいただく。私たちの日常でテイクアウトはひとつの大きな楽しみとなっています。
その一方で、料理の種類によってテイクアウトへの向き不向きがあるのも事実。例えば、ピザやサンドイッチ、中華、和食(丼やお弁当)などは向いていますが、この国のメイン分野であるフレンチはどうでしょう。コース料理で出てくるフランス料理のお持ち帰りってあまり想像できないですよね。お店の空間で、サービスを受けながら素敵な器にセンスよく盛られてくるのをゆっくり食べるからこそのフランス料理であり、「持ち帰りで気軽に食べる」や「冷めてもおいしい」というのは、実現はなかなか難しいのです。「レンジで温めたら絶妙な肉の焼き加減など変わってしまう?」などなど、乗り越えなくてはいけない問題が山積み。
そんな理由から、特に高級であればあるほどフレンチのシェフたちは「テイクアウトメニュー」はしない、できない、したくないと、実施していないお店も多いのです。
しかし、1月22日からパリの超人気ビストロのひとつ『Les Enfants Rouges(レ・アンファン・ルージュ)』でもついにテイクアウトが始まりました。シェフがここ最近ずっと試行錯誤していた真空パックなどを利用して、「仕上げの部分は家でやってもらうことで、味のクオリティを保つ」という新しいスタイルです。
説明書に従って工作気分!自分で仕上げるテイクアウト
前菜・メイン・デザート、それぞれほとんどの出来上がっているものが真空パックや容器に丁寧に入っています。説明書きに従って、湯煎で温めトッピングをしたり、オーブンで温めたり。「温めて盛り付けるだけ」という冷凍食品と同じような簡単なステップで、一流ビストロの料理をまるで自分で作ったような気分になってしまう、とても楽しいテイクアウトです。
もちろんコースなので、最初は前菜からスタート。「サーモンのマリネとサラダ」は自宅ではマネできない美しい野菜が光ります。
こちらも前菜の「ジビエのテリーヌと野菜のピクルス」。
まだまだ続く…前菜の「キノコのポタージュ、温泉卵添え」。
そして待ちに待ったメインは「牛のほほ肉煮込みとマカロニグラタン」です。真空パックを湯煎で温めてマカロニグラタンはオーブンで温めました。
そしてこちらもメインの「帆立とトピナンブールのオーブン焼き、野菜添え」。湯煎とオーブンで温めるだけで、あっという間にビストロがそのまま我が家に登場しました!
デザートも欠かせませんよね。こちらは「抹茶のパヴロヴァ」のセット。サクサクのメレンゲがいただけるように、食べる直前に自分でクリームを絞り出し容器に入れていきます。
デザートは全部で3品。「バスクチーズケーキ」「抹茶のパヴロヴァ」「ババオラム」です。コースは2品で35ユーロ、3品で40ユーロ。ビストロクオリティがそのまま体験できて大満足の「お持ち帰りメニュー」でした。
フランス料理のテイクアウトが難しいということはわかっていながらも、お気に入りのビストロやレストランの味が食べたくてウズウズしていた人はたくさん。テイクアウト初日、ひっきりなしに用意しているシェフを見て、常連たちが大喜びしている姿が目に浮かびました。もちろん私もその中の1人です。苦しい時期はまだまだ続きそうですが、みんながそれぞれできることを試行錯誤して。応援して、応援し合って。観光客のいないパリは、ほんの少しずつ日が長くなり春の兆しが感じられます。
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