米プロ野球メジャーリーグの名門、ニューヨーク・ヤンキースが1976年から選手らに課してきた「ひげ禁止」のルールを撤回した。チームに規律を持たせるために前オーナーが導入したが「時代遅れで不合理」だとして、前オーナーの長男である現オーナーが2月21日に発表した。ワールドシリーズでの優勝が27回という圧倒的な記録を持つヤンキースは、2009年以降、優勝から遠ざかっている。「ひげ禁止」が原因で優秀な選手が獲得できなくなっていることが成績不振の要因の1つとされており、チーム強化のために規律を緩めたとの見方が有力だ。
軍隊出身オーナーの命令を息子が撤回 「見直す適切な時期」
オーナーのハル・スタインブレナーの発表は、スプリングトレーニングでのオープン戦初戦の直前に行われた。
「熟慮した結果、今後、選手や球団スタッフは、きちんと整えられていれば、ひげをはやしてもいいようにする」と述べ、多数の元選手や現役選手とも相談したうえでの判断だと強調した。「これまでの方針を見直す適切な時期だ」とも語り、「ひげ禁止」が時代にそぐわない不合理なものだ、との認識を示した。
ルールの撤回が発表されたのは金曜日で、その週の月曜日の時点では、ヤンキースのクラブハウスの椅子には、写真撮影にはきれいにひげをそって来るようにとの選手にあてた注意喚起のメモが貼られていたとされ、急な発表だったことがうかがえる。
「ひげ禁止」は前オーナーであるジョージ・スタインブレナーが1976年のスプリングトレーニング中に発表した。口ひげを除くひげと、シャツのえりに達するような長髪を禁止した。
空軍兵士だったジョージ・スタインブレナーは1973年にヤンキースを買収し、厳格な球団運営で知られた。ついたあだ名は「ザ・ボス」。勝つためには選手に規律を守らせることが重要だと考え、「ひげ禁止」を導入した。