NHK朝の連続テレビ小説『あんぱん』が始まりました。『アンパンマン』の原作者であるやなせたかしと、その妻・のぶをモデルにした作品だそうです。

 アニメの『それいけ!アンパンマン』って、たぶんちゃんと見たことないんだよな。もちろんアンパンマンという存在は子どものころから知っていたし、ドキンちゃんとかばいきんまんとか、ジャムおじさんのキャラクターもなんとなくはわかるけど、アンパンマンに熱狂した記憶はないんです。

 そのアンパンマンについての第一印象は、やっぱり「自分の頭をちぎって食わせる」というグロテスクな設定であって、端的に言って怖すぎたんだと思う。ヒーローに対する憧れというのは、自分もあんなヒーローになりたいという願望でもあるわけですが、ちょっと無理やなと思ったんだろうな。困っている人がいたら助けたいとは思うけど、頭をちぎって食わせるというのは、ちょっと無理だ。痛そうすぎる。

 私がアンパンマンに憧れを抱かなかったのは、大人の言葉でいえば、その強烈な自己犠牲の精神に対する畏怖だったように思います。

 そのアンパンマンがいつの間にかポップになって、「国民的」になってる。たぶんほとんどの「国民的な何か」がそうなんだと思うけど、原作者のやなせ氏にとっては想定外の広がり方だったと思うし、それは莫大な富をもたらしたけれど、いいことばかりじゃなかったんだろうなと思うわけです。

 その「国民的」なアンパンマンの萌芽がどういう人によって、どういう環境で生まれたのか。もともとどんな形で、誰のために作られたものだったのか。アンパンマンを「頭をちぎって食わせる」というその強烈な行為に走らせたものは、いったいなんだったのか。

 今回の『あんぱん』が、そこらへんをどんな感じで描いてくるのかというところに注目して見ていきたいと思っています。

 あと、今田美桜ね、この人の顔面は迫力あるんだよな。血気がある。直近の『花咲舞は黙ってない』(日本テレビ系)もすごくよかったので、豪華絢爛な脇役のみなさんも含めて、単純にお芝居合戦としても楽しめるかなと思っています。