
▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
40代の金融資産保有額は「平均811万円」
まず始めに、世帯主が40歳代の世帯を例に、貯蓄の実態について見てみます。金融広報中央委員 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和5年)」によると、40歳代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は「平均811万円」で、より実態に近いと思われる中央値は「180万円」でした。
ここでいう中央値とは、データの値を小さい順に並べた場合に、ちょうど中央に来る値のことです。平均値は、極端に大きい、または極端に小さい値の影響を受けやすいため、実際の平均値と解離することがあります。しかし、中央値はそのような影響を受けにくいため、より実際の平均に近い値になるとされています。
老後に必要な蓄えは最低でも「1400万円程度」
2019年に金融庁の「市場ワーキンググループ」が発表した報告書をきっかけに、「老後2000万円問題」が話題になりました。これは、平均的な高齢老夫婦の場合、老後30年で2000万円の金融資産が不足するとしたものです。
ただし、必ずしも全ての高齢者夫婦がこのケースに当てはまるものではありません。
より実態に近い数値として、総務省統計局が発表している「家計調査報告(家計収支編) 2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に「65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)」の家計収支を見ると、実支出が「28万2497円」であるのに対し、実収入は「24万4580円」で、毎月「3万7917円」の不足があることが分かります。
不足状態が解消されないまま85歳まで生活すると仮定した場合、30年でおよそ「1365万120円」不足する計算です。この不足金額を補うためには、おおよそ「1400万円程度」の蓄えが必要になる可能性があります。