
▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
3月~5月に残業しない方がよい理由は?
3月~5月に残業しない方がよいといわれる理由は、社会保険料が高くなる可能性があるからです。健康保険や厚生年金保険といった社会保険料は、毎年4月~6月の給与を基に標準報酬月額が算出され、その年の9月から翌年8月までの1年間の保険料に影響を及ぼします。
そのため、3月~5月にたくさん残業するとその分4月~6月の給与が多くなり、標準報酬月額も上がり社会保険料が高くなるのです。
例えば、全国健康保険協会に加入している東京都在住で30歳の方が、4月~6月の給与の平均が20万円だとします。その場合、健康保険料は月額9980円、厚生年金保険料は月額1万8300円です。
一方で、平均が25万円にアップすると、健康保険料は月額1万2974円、厚生年金保険料は2万3790円にアップします。5万円給与が増えると、社会保険料が8484円高くなる場合があるのです。
このように4月~6月の給与が増えると社会保険料が高くなるため、3月~5月は残業しない方がよいといわれています。
3月~5月の残業のしすぎは損するだけではない
3月~5月に残業をしすぎると社会保険料が高くなる点は損になりますが、社会保険の給付を受ける可能性がある方にとっては、必ずしも損になるとは限りません。給付をもらう際は、原則として標準報酬月額が高い方が給付が多くなるからです。
例えば、全国健康保険協会によると、出産のため産前産後に会社を休み給料の支払いがない場合、申請すると出産手当金がもらえます。出産手当金の1日あたりの支給額は、「支給開始日より前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額÷30日×2/3」で求められ、標準報酬月額が高いほど支給額も多くなるようです。
また、傷病手当金も出産手当金と同様、「支給開始日より前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額÷30日×2/3」が1日あたりの支給額となります。傷病手当金は、病気やけがで4日以上仕事を休んでおり、かつ会社から給料がもらえていない場合に受け取れます。
このように、やむをえない事情で働けず給料ももらえない状態のときは、社会保険の給付を受けられるのです。働けず収入がなくなってしまうと生活が厳しくなるため、少しでも多く給付金をもらいたい場合は、標準報酬月額が高くなるように働いた方がよいでしょう。