定年退職した両親は「月3万円の仕送り」に一切手をつけず、ずっと貯めていてくれました。先日「10年分貯めたから」とそのお金を返してくれたのですが、この場合、贈与税はかかるのでしょうか?
父母や祖父母が子どもや孫にお金を渡すこと(=贈与)はよくあることですが、場合によっては贈与税がかかることもあります。   本記事は、贈与税の仕組みについて詳しく知りたい方に向けた内容です。「定年退職した両親が子どもから受け取っていた月3万円の仕送りを、10年間貯めた後に子どもに返した」という例を用いて、贈与税の仕組みについて解説していきます。

▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?

贈与税の仕組みとは?

贈与税は「個人から財産をもらったとき」に課税される税金で、課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」があります。1月1日~12月31日の1年間に受けた、贈与財産の価額の合計額(課税価格)が課税の対象です。
 
贈与税の一般的な課税方法は「暦年課税」ですが、「相続時精算課税」を選択して贈与時の贈与税額を低く抑えることも可能です。
 
また、暦年課税の計算方法には「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」がありますが、今回は一般的な計算方法である「一般贈与財産用」を紹介します。暦年課税の計算方法(一般贈与財産用)は以下の通りです。
 
贈与税額=(贈与財産の課税価格-110万円)×税率-控除額
 
贈与税の仕組みでは基礎控除額として「110万円」が定められているため、年間110万円までの贈与には贈与税がかかりません。
 
贈与税(一般贈与財産用)の速算表は図表1の通りです。
 
図表1

基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1000万円以下 1500万円以下 3000万円以下 3000万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 なし 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円