居酒屋に「吐いたら罰金1万円」と書かれた張り紙があったのですが、実際に払う必要はあるのでしょうか?
居酒屋でつい羽目を外して楽しみすぎた結果、気分が悪くなり、トイレで吐いてしまったことがある人もいるでしょう。吐いた際に、お手洗いや部屋を汚してしまった場合、お店から掃除代を請求されることもあるようです。   そこで本記事では、居酒屋で迷惑をかけた場合、お店のルールにしたがって罰金を払う必要があるのかを解説します。

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吐いたらなぜ罰金を請求されるの?

居酒屋で吐いてしまった場合、罰金を請求するのは「片付けるまで他の客が利用できなかったことへの損失」「片付けにともなう手間や費用」などがあげられるでしょう。
 
また、嘔吐の処理にさまざまなリスクが伴う点も理由としてあげられるかもしれません。例えば、吐瀉物からノロウイルスなどの感染症に感染する恐れもあるでしょう。
 
東京都健康安全研究センターの「ノロウイルス対策緊急タスクフォース」最終報告書によれば、「模擬おう吐物を1メートルの高さから落下させた場合、半径2メートル程度の範囲に飛散する」という結果がでています。
 
つまり、トイレのように小さな空間であれば、壁や床など部屋全体にウイルスが拡散する可能性があります。そうなると、単に汚れをとるだけでなく、部屋全体を掃除して消毒しなければならなくなります。
 
また、ウイルスを除去するためには通常の清掃よりも多くの道具を使ったり、手間を要したりします。さらに清掃する従業員が感染するのを防ぐために、マスクや手袋、専用の服などを用意する場合もあるでしょう。これらのリスクや手間を考えて、お店はお金を支払うよう張り紙をする可能性もあると考えられます。
 

張り紙があったらお金を払わないと法的に問題はあるのか

民法七百九条では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定められています。そのため、今回のように店側のルールを破って迷惑をかけた場合は、損害賠償請求の対象になる恐れがあります。
 
しかし、それでは店の指示にしたがって罰金を支払わなければいけないのかというと、一概にそうとはいえません。なぜなら、このルールを守らなかった際に罰金を払うのは、あくまで「店のルールに客が合意していたかどうか」と「請求額が妥当であるか」が支払いの条件になるからです。
 
なお、「張り紙を必ず目に付くところに張っていた」というのは、合意を得たとはいえません。来店客に必ずルールを守ってほしい場合には、店側は予約時や来店時にあらかじめ店のルールを伝え、来店客からきちんと合意を得る必要があるといわれています。
 

1万円は妥当な金額なのか