孫が大学に合格したので、1年目の「入学金・授業料」の150万円を払ってあげたい! 110万円を超えるなら「贈与税」が発生すると聞きましたが、学費なら大丈夫と聞きましたが、税金はかかるのでしょうか?
大学入試で見事合格を勝ち取った孫に対して、大学の入学金や授業料を援助してあげたいと思う祖父母もいるでしょう。しかし「1年間で110万円を超えると贈与税がかかるはず」「いや、学費なら贈与税はかからないのでは?」など、贈与の仕組みを詳しく知らず悩む人もいるかもしれません。   実はどちらも正しい情報で、年間110万円を超える贈与を受けると贈与税がかかるのが通常ですが、学費であれば贈与税がかからない場合があります。しかし、贈与の仕方によっては学費であっても贈与税が課されるため注意が必要です。   本記事では、贈与税を回避しつつ孫の学費を支払う方法を解説します。

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年間110万円を超えると贈与税がかかる。150万円の場合は?

贈与税は、1年間に個人から受け取った財産が110万円を超えた場合にかかる税金です。110万円まで非課税な理由は基礎控除があるからで、1年間に贈与を受けた金額から基礎控除額の110万円を差し引いた金額に贈与税がかかります。
 
例えば、150万円の贈与を受けた場合は、150万円から110万円を引いた40万円に贈与税がかかります。贈与税は贈与を受けた金額が多ければ多いほど税率が上がる仕組みです(累進課税)。1年間で贈与を受けた金額が200万円以下のときの税率は10%なので、贈与税の金額は「40万円×10%」で4万円です。
 
なお、贈与税は贈与を受けた人が支払います。翌年の3月15日までに支払わずに税務署の指摘を受けると、本来の贈与税に加えて延滞税や無申告加算税などが課税されるため、正しい申告と贈与税の納付が必須です。
 

学費として都度渡した場合、贈与税はかからない

国税庁は、「扶養義務者が学費や生活費として渡す、必要な都度直接学費に充てるための財産」は贈与税の対象外としています。民法上は祖父母も孫に対する扶養義務者です。
 
したがって、実際に入学金と授業料で150万円が必要で、そのために贈与された150万円は贈与税の対象外となります。
 
では、実際にかかる学費が145万円のところ、キリよく150万円の贈与を受けた場合はどうでしょうか? 確かに、150万円のうち5万円は「学費の都度贈与」に該当しないため課税対象です。ただし、基礎控除110万円の範囲内であるため、結果的に贈与税はかかりません。
 
これらのことから、通常であれば孫の学費援助に贈与税がかかることはないといえます。
 

注意! 学費の援助が贈与税の対象となる場合もある