
▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
私たちを取り巻く社会環境の現在地
2025年はいわゆる、「団塊の世代」が後期高齢者(75歳以上)になる年です。いよいよここから、高齢社会における諸問題が顕在化しやすくなることが予想されます。
具体的には、例えば医療・福祉の分野において、人手不足を原因とするサービスの低下が目立つようになること、また、孤独・孤立といった社会問題が取り上げられる頻度が高まることが考えられます。
社会学の分野において「核家族」が現代社会における問題と指摘され、かなりの年月がたちました。その先に「個人化」という現象の広がりがありますが、社会の連帯が希薄化する傾向は今後も続くのではないでしょうか。
国は「地域共生社会の実現」を目指していますが、バラバラになりつつある個人のつながりを取り戻すという「共同体の回復」に向けて、地域社会が協力し、みんなで助け合える方法を模索しています。しかし現実に周りを見渡すと、商店街が消え、お祭りの担い手が減るなど、目に見える形で共同体の衰退が進んでいます。
「高齢の親の面倒を家族で見切れない」という介護の問題や、共働き世帯が増えるなか、幼い子どもを保育園に預けるのが当たり前になりつつある育児環境などもあります。
また、結婚を希望する若者が減り、家族を持たない選択肢が広がりを見せるなか、「103万円の壁を178万円に引き上げる」という国民民主党の提案が受け入れられない光景を私たちは目の当たりにし、憎悪に満ちた姿なき声がSNS上で噴出しました。
さて、戦後の復興を経て、この国は「脱工業化」を果たしました。人々は豊かになり、経済的な自由を手に入れ、行きたいところに行き、やりたいことができる社会を手に入れました。これは経済的な豊かさを背景とした自己決定が確立されたことを意味します。
その後、個人の尊重が叫ばれ、多様性が叫ばれ、私たちはどこまでも自由であることがあたかも価値あることであるかのように捉えるようになりました。その行き着いた先で、さまざまな社会問題が沸き起こっています。