
▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
介護は、介護を必要とする人にとって「生活」の一部である
一般的に「介護」というと、年老いて誰かに世話をしてもらうといったイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。確かに間違いではありませんが、このようなイメージには大切な視点が欠けています。
介護は、介護を必要とする方(要介護者)が自分らしく生きるための自立支援です。
つまり、介護は、介護を必要とする方が尊厳を失わず、自立した生活を送ることができるようにするための支援であり、その方にとって生活の一部であるということです。
介護が必要になった場合の生活場所は「自宅」 or 「施設」
介護は、介護を必要とする方にとっての「生活」の一部であるわけですから、まず、介護が必要になった場合、どこで生活するかを考える必要があります。
結論をいうと、介護が必要になった場合、「自宅」と「施設」のいずれかで生活することになります。一般的には「介護が必要になっても自宅で暮らしたい」という希望が多いようですが、本人の心身の状態や家族の事情に応じて施設を選ぶ方もいるでしょう。自宅には自宅なりの介護があり、施設には施設なりの介護があります。
他にも、介護サービスが受けられる「共同住宅」がありますが、詳しくは別の機会で話します。
介護老人保健施設と介護老人福祉施設の違い
続いては、施設での生活について詳しく見ていきます。
介護施設には大きく分けて2種類あります。「介護老人保健施設(老健)」と「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム:特養や老人ホームなど)」です。
介護老人保健施設と介護老人福祉施設の違いは、機能面にあります。介護老人「保健」施設には「医療」機能がありますが、介護老人「福祉」施設にはそれがなく、利用者(要介護者)の「生活」機能が重視されます。もちろん、介護老人保健施設にも生活機能はありますが、機能面で違いがあると認識しておきましょう。
介護老人保健施設には、「医師が最低でも1人常駐していなければならない」という配置基準があります。同時に利用者(要介護者)が生活する場所(基盤)でもあるため、介護老人保健施設は医療機能と生活機能を併せ持った施設ということができます。平たくいうと、住みながらにして、病気になったら治療も受けられる施設ということです。
一方、介護老人福祉施設には、介護老人保健施設のような医師の配置基準はありません。利用者(要介護者)は病気になった場合、どこかの病院に通院したり、訪問診療を受診したりすることになります。介護老人福祉施設はあくまでも、「利用者(要介護者)が生活する場所」という位置づけです。
また、介護老人保健施設では、リハビリを通じ、利用者の日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)を回復させることも支援の目的になっています。
これに対し介護老人福祉施設では、一般的にはリハビリ機能はなく、利用者(要介護者)が希望する場合は、他所でリハビリを受けるか、施設内で訪問リハビリを受けるなどのサービスを利用します。
介護老人保健施設と介護老人福祉施設のどちらを選べばよいかは、利用者の心身の状態や家庭環境などにより異なります。大まかな違いを理解した上で、利用者の特性に合わせ選択していくようにしましょう。