出典:国税庁「パンフレット「暮らしの税情報」(令和6年度版) 退職金と税」を基に筆者作成
住民税の計算は、所得割が10%と均等割の合計が一般的ですが、均等割額については自治体によって異なります。所得税と住民税を退職金額から引くと、手取りが分かるでしょう。
2000万円の退職金を受け取ったときの手取り額は?
今回は、以下の条件で退職金の手取り額を計算します。
・勤続30年
・退職金2000万円
・一括受け取り
・適用される控除は退職所得控除のみ
まず、退職所得控除は「800万円+70万円×(30年-20年)」で1500万円です。退職所得の計算式に当てはめると「(2000万円-1500万円)×2分の1」となるため、250万円になります。
退職所得が250万円のときを表1の所得税率に照らし合わせると、税率が10%、控除額は9万7500円です。計算すると、所得税は15万2500円になります。
住民税は所得割と均等割(5000円と仮定)で「250万円×10%+5000円」となるため、25万5000円です。退職金額から所得税と住民税を引くと、手取りは1959万2500円になります。
もし、中古マンションの購入に退職金を充てたい場合は、この手取り額を基に考えた方がいいでしょう。
老後の生活費はいくらくらい必要?
総務省統計局の「家計調査 家計収支編」によると、2024年時点での二人以上の無職世帯で、65歳以降の月の平均実支出は以下のように変動します。
・65~69歳:35万2686円
・70~74歳:30万3839円
・75~79歳:29万216円
・80~84歳:26万1156円
・85歳~:25万6883円
例えば、65~69歳の平均額を毎月出費すると考えると、1年間で423万2232円が必要です。年齢が上がるにつれ必要な金額は下がりますが、ある程度使えるお金に余裕があった方がいいでしょう。
年金と貯金額にもよりますが、全額をマンション購入に使わず、一部にすることで、老後の生活にゆとりができる可能性があります。