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親に対する扶養義務とは
日本では民法において「扶養義務」が定められています。これは直系血族および兄弟姉妹間に存在するもので、「親子含む一定の親族間でお互いに助け合うべきである」という義務が明文化されたものです。
しかし実際には、必ずしも全てのケースで扶養しなければならないわけではありません。扶養義務は状況によって判断されるため、義務とはいうものの、実際は強制力を伴うものではないのです。家庭の事情や経済状況などが考慮され「扶養義務を負わない」とされるケースも珍しくありません。
特に、子どもの親に対する扶養義務は、「自身や一緒に生活している家族の生活に優先しない」という点は覚えておくとよいかもしれません。
では、具体的に話を進めていきましょう。
一般的に、子どもの親に対する扶養義務が発生する条件として、親が自分の生活を維持できない状態であることが挙げられます。例えば「高齢の親が一人暮らしをしているものの、年収は80万円で、貯金も資産もない」というような場合です。
そのとき子どもが年収1000万円を有しており、経済的に余裕があるとしましょう。こういった場合は、扶養を求められることがあります。しかし、その条件に合致しても、必ずしも子どもが親の扶養義務を負うとは限りません。何らかの事情があり、子どもが自身の生活で手一杯である場合などは、状況に応じて免除されるケースもあります。